寄り道Blog

山手線はまたもすごい混雑だ。とても高田馬場まで乗っている気がしない。それでつい新宿で中央線の各駅停車に乗り換えてしまう。１４番線にがら空きの黄色いラインの電車が入ってくる。うーん「中野」止まりか・・・。「三鷹行き」なら阿佐ヶ谷まで行けるのだが・・・。まあいいか。中野まで座っていって、それから乗り換えればいいや。

座るとつい、うとうとしてしまう。はっと気がつくともう終点中野だ。ここでいつもなら三鷹行きの電車を待つところだが、ちょっと寄り道してみたくなる。時間は午後８時過ぎ。向かうは立ち飲みの「やきや」。荻窪「やき屋」の兄弟店だ。今夜はホッピーと焼き鳥だな。

いつもは人が一杯で、入れな日もある「やきや」だが、今日は一段落ついた時間帯なのだろうか。すごく空いてる。メインのカウンターに２人、サブカウンターに２人、グループ用テーブルに５人。ほぉ〜、めずらしいぞ。メインカウンターの真ん中にゆったりと立つ。

左隣のサラリーマン風のお客さんは漫画を読んでいる。これだけ空いていると余裕で本が広げられるよな。チラッと覗くと「テニスの王子様」だ。ちょっと気になるぞ。・・・後ろのサブカウンターのおじさんはどうやら長時間飲んでいるらしく、顔が赤い。マスターに「ウーロンハイ、何杯飲んだっけ？」などと聞かれている。少し前の時間は込み合っていて伝票を付け忘れたらしい。「５杯だよ。５杯まではいつも覚えてるんだ。この後は分からなくなるからな。」「じゃあ、次からはしっかり数えとかなきゃ。」というやりとりが周りの笑いをさそう。そういっているそばから「ウーロンハイお替り！」・・・６杯目突入。

自分はホッピー（300円）と煮込み（250円）。煮込みは荻窪「やき屋」の方が安い（150円）が量は圧倒的にこちらの方が多い。ホッピーを飲みながら一息つく。ラジオの音が心地よく聞こえる。ラジオのノスタルジックな雰囲気がホッピー＆煮込みによく合うぞ。ホッピーが体にしみわたる・・・。

なんといっても、この店は焼き鳥が自慢。この前、新高円寺「屯」で気に入った「鳥はつ」を注文。あわせてレバーも塩で。しかし、のんびりしてるなあ、今日の「やきや」は。「ナカお願いします。」「はい、お待たせ。」「どうも。」・・・スムーズにことが運ぶ。ストレス無し！

漫画を読んでたお客さんが「お勘定」。「明日から田舎に帰省します。ウチの会社、年末の休みなので。」なにー、もう休み？まだ、12月の半ばだよ。うらやましー。周囲の羨望の中、悠々と店を出て行く。はぁ〜。誰からともなくため息がもれる。

焼き鳥は焼き専門の方が焼いてくれるので、美味しい。「ナカお替り」・・・すぐ届く。いいぞ。

そこに学生風のお兄さんが入ってくる。ちょっと迷って、結局サブカウンターに立つ。「生ビール中お願いします。」この店では大も中も小もないのだが・・・、初めてなのかな。「え〜と、この店には煮込みはありますか？」緊張気味である。自分のことのようにはらはらしてくるぞ。「普通の？それとも卵入り？」彼には思ってもみなかった質問だろう。一瞬の後「じゃあ、卵入りをお願いします」・・・予想通りだ。初めての店でこう聞かれたら、自分でも卵入りを注文してしまうだろう。微妙な心理だ。

客は少ないのだが、その分、混んでた時にたまった皿などマスターは洗い始める。こういう時は、マスターが顔をあげた瞬間にさっと注文するのがいいのだ。ところがこの学生風のお兄さんはそのタイミングをつかむのがすごく下手。ジャーと水道の水を出してる時に「すいません」と声をかける・・・聞こえてない。マスターが下を向いたときに、手を挙げる・・・見てない。面白いほどタイミングがずれまくる。店の女性店員さんの方に声をかけようとすると、グループ客から声が先にかかってしまう。

見かねて「こちらのお客さん、注文らしいです。」とマスターに声をかける。「はい、どうぞ。」「め、めかぶをください。」・・・ちょっと意外な注文だぞ。

今日もナカ２杯で終わりにしようかな。「お勘定、お願いします。」マスターが丁寧に計算してくれる。後ろのウーロンハイのお客さんはまだ飲んでいる。何杯目だろう。

今日はゆったり飲めてよかった。さて、また電車とバスを乗り継いで鷺ノ宮までのんびり帰ろうかな。新宿駅で感じた疲れも和らいだようだ。