2005年03月31日

W杯予選の日に・・・学芸大学「やべ」

やべサッカーW杯最終予選バーレーン戦はもう始まっている。どこかの店に入って見たい。どうせなら気になっている店に入りたい。ということで学芸大学駅を出て西口商店街を歩く。商店街を歩いていった先に、美味しそうなおでん屋があるのだ。おでんはテイクアウトできるようで、外からもおでん鍋が見える。店の名は「やべ」。

商店街の人通りがいつもに比べて極端に少ないのは、やはりサッカーが原因だろうか。ここまでとは思わなかった・・・。「やべ」の前に着き、さて中に入ろうかとドアに手をかけようとしたとき、中から女性が出てくる。どうやら店の方らしい。すれ違って中に入る。お客さんはいない。テレビの場所は分からないが、興奮した実況アナウンサーの声が聞こえる。よかった!テレビがあるぞ。カウンターに腰掛けながらキョロキョロ見回す。

テレビの場所を探していると、「いらっしゃいませ。」と声がかかる。「えーと瓶ビール(500円)。」慌てて答える。テレビは・・・あれ、これ?・・・それはカウンターの中のマスターの自分用のテレビ。画面は10cm四方しかない・・・しかも、室内アンテナで画面はほぼ映っていいない・・・さらに客には見えにくい場所にある・・・しまった!

お通しが届く。切干大根の煮物だ。テレビの音だけ聞きながらビールを飲む。そこに、さっきの女性が帰ってくる。「お客さん連れてきたよ。誰も歩いてないんだもの。」そのお客さんも女性。カウンターの奥に座る。店の女性がそのお客さんに話しかける。「今日はまったくお客さんがこないのよ。来ても女性だけ。」と言いながらちらりとこちらを見る。あらっ、来てたの?って感じ。

やべお通し

じゃあ、おでん食べようかな。カウンターにはおでんのメニューがズラリ。値段は書いてない。「牛すじ、がんも、厚揚げ、チーズ巻き・・・でお願いします。」・・・この店には女性が3人。マスターの奥さん、その娘、そのまた娘かな。それとも、奥さんと娘姉妹?こういうことは聞く訳にはいかない・・・。

おでんが届く。チーズ巻きは注文を受けてからスープの中に入れるらしい。チーズが溶けだすとまずいからか。それ以外の3品だ。目立つのは牛すじの大きさとがんもの小ささ。牛すじから食べる。コリコリだ。柔らかい牛すじを期待していたが、この店のは固い方。しかし、このコリコリがいい。美味しい。こりゃあいいや。こりこり。すじの味が噛めば噛むほど出てくる。ビール、ビール。

やべおでん

スープは鰹だしがよく効いた薄味。さっぱりしていて美味しい。地元の人たちが惣菜として買っていくだけあって、癖のないシンプルな味。厚揚げはそのスープがよく滲みて味わい深い。

女性客は焼酎を緑茶で割ったものを飲んでいる。この店は、ビール、日本酒(400円より)の他は焼酎中心。基本は「いいちこ」で、キープボトル(2500円)が壁の棚にずらりと並んでいる。その他に、芋焼酎系がカウンターの上に何種類か置かれ、地酒系が冷蔵庫に入っている。

ビールの後は焼酎のレモン割(400円)にすることに。サワー類はなくて、ウーロン茶や生レモン、生グレープフルーツ、水などで割ったものがメニューにある。レモン割が届く。大き目のグラスだ。一口、おお、酸味がキツイがいいちこの香りとよく合って、スッキリとしている。なかなか、美味しいぞ。

そこに60代くらいの男性が2人入ってくる。常連さんらしい。「サッカーはどうなってる?」「テレビが映らないから、分からないけど点は入ってないみたい。」「まったく、ここの親父は客のためじゃなくて、自分のことしか考えてないからなあ。大きいテレビ置こうよ。」とからかう。マスターが苦笑い。娘さんの方が「今日は、女性のお客さんしか来ないのよ。」・・・だから来てるって。

常連さんはおでんではなくて、ホワイトボードのお薦めメニューを見ている。「黒豚とんかつってどんなの?」「とんかつなんですけど、中身が黒豚なんです。」「じゃあ、それもらおうかな。」・・・な、なんていう会話だ。成立しているところがすごい。

そのホワイトボードに「すじポン(500円)」というのがある。たぶん、さっきの牛すじをポン酢で食べるんだろうな。これにしよう!「すじポンください。」「はい!すじポンね。」期待しちゃうなあ。もう1人の常連さんは「牛すじ2本ちょうだい。」とおでんを注文。やっぱりこの店は牛すじがメインか・・・。

そこに40代後半のサラリーマンが入ってくる。カウンターの右隣に座る。座るや否や「サッカーどうなってます?」「まだ点は入ってないよ。」とマスター。「そう。」・・・映ってない小さな画面をじっと見ている。生ビールを注文。「えーと、牛すじ煮込みね。」・・・おっ、いいぞ。実はすじポンと煮込みで迷ったのだ。煮込みの方を見てみたいぞ。「やっぱり煮込みやめる。おでんの牛すじね。」がくっ!

「ずじポン」が届く。牛すじの上にたっぷりネギがかかっている。「七味唐辛子をかけて食べてね。」・・・はい、はい、七味、七味・・・で、まずこの大ぶりのやつを・・・コリコリだがさっきのよりも柔らかい・・・この歯ごたえと味・・・ポン酢によく合うなあ・・・たまらん!美味しい!コリコリ、くぅ〜。コリコリ、はぁ〜。

レモン割をお替り。「外、誰も歩いてないよ。」・・・なんだか寂しくなってきたなあ。常連さんは上機嫌で飲んでいる。奈良の出身の方らしく、吉野の桜の話題も出る。もう1人の常連の方は京都出身。「嵐山はもみじやな。秋はこっちや。」・・・奈良に京都か・・・で、自分が広島・・・飲んでる場所は学芸大学・・・なんだか不思議な気もするぞ。

W杯予選も気になるのでこの辺で。それにしても牛すじ美味しかったなあ。「ごちそうさま。」カウンターの中の4人が「ありがとうございました!」・・・家庭的な店というのはよく聞くが、ここはまさしくそれ。カウンターの中では容赦ない家族の会話が繰り広げられる。それがまた暖かい。店の雰囲気はそこから醸し出されているようだ。

外に出る。確かに商店街を行きかう人はますます少なくなっている。日本中がサッカーで盛り上がっているんだろうな。携帯で途中経過を確認しながら、駅へ急いだ。

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この記事へのコメント
こんにちは。
やべ、きょうもその前を通りました。
改装する前の方が、雰囲気はよかったような。
でも、もの凄く常連っぽい(こんな形容の仕方があるのか?)店ですよね。
すじポン、気になります。

きょうはわずかな時間しかないのですが、
教えていただいたお店のどこかに出没するつもりです。
へへ、たのしみ。
Posted by mesinosuke at 2005年03月31日 15:57
mesinosukeさん、こんにちは。
「常連ぽさは確かにありますが、この店のファミリーはとても気さくなタイプなので、どんな客でも関係ないようです。「すじポン」ぜひ一度食べてみてください。
Posted by 寄り道 at 2005年04月01日 03:39
ぜんぜん関係ないかもしれませんが・・・
やべの看板の下にあるのは、スヌーピーの顔のぬいぐるみでしょうか???
Posted by まりみる at 2005年04月06日 01:27
まりみるさんいらっしゃいませ〜
あれは「やべ」のスヌーピーだったのか、その隣の花屋のスヌーピーだったのか、思い出せません・・・。でも、さすがにまりみるさん、いい所に目をつけますねえ。・・・うん、さすが。
Posted by 寄り道 at 2005年04月07日 19:37
地元に住みながらこのお店が直ぐに思い浮かばなく、先日商店街を散歩していたら発見しました。
改装する前のお店は知っていましたが、新しくなったんですね。
先日は先約が入っていたのでお店には入りませんでしたが今度覗いて見ます。
Posted by BIB at 2005年04月17日 15:38
BIBさん、こんにちは。
やっぱり「牛スジ」ですよ。これがまた、美味しいんです。「すじポン」食べたくなって来ました。
Posted by 寄り道 at 2005年04月18日 18:15