寄り道Blog

今日も順調に仕事が終わり、鷺ノ宮に着いたのは７時過ぎ。う〜ん、こんなにスムーズに地元に到着できるとは・・・。さて、今日は「ペルル」で少し飲んで帰ろうかな。実は先月の下旬に「ペルル」に行った時、たまたま誕生日を数日後に控えていたということで、マスターがシャンパンをご馳走してくれたのだ。しかも、店のお客さんが皆で「ハッピーバースディ」を歌ってくれた。照れくさかったなあ・・・でもシャンパンは美味しかった！

などと回想しながら「ペルル」まで歩く。店のドアを開けて中に入ると、マスターがいない。「いらっしゃいませ。」と迎えてくれたのは火曜日のお手伝いの女性、ヒロミさん。カウンター中央に座りながら、「マスターは？」と尋ねる。「ちょっと、お色直し。」をヒロミさんが微笑みながら答えてくれる。

いつものように後ろの棚からヒロミさんが自分の「メーカーズマーク」のボトルを探してくれるが、見つからないようだ。最近キープボトルが増えてしまって、棚に乗り切らないとマスターが言ってたが・・・。ん、この前は来た時の席にそのまま置いてある。カウンターの上にキープされていたか。

炭酸（300円）と氷（500円）をもらって、バーボンソーダを作る。じわ〜ん、という泡の音が清々しい。さて一口・・・ふ〜ん、これこれ、この味。落ち着くなあ。ふと見ると、カウンターの上に「吉田拓郎全曲集」という本が置いてある。昨夜は吉田拓郎を皆で歌って盛り上がったんだな。昭和の雰囲気が漂うなあ〜。

マスターが店に入ってくる。青いワイシャツに赤い蝶ネクタイ。相変わらずお洒落だ。さぞや昔は・・・と想像させるぞ。「いらっしゃいませ。」「この前はどうも。」「いやいや。」などと挨拶をする。

この前の地震の話題が出る。地震のときにいた場所が、ヒロミさんは鎌倉の江ノ電の駅、自分は田園調布のビルの５階、マスターは店の2階の部屋。ヒロミさんは海のそばの駅にいたので、もし津波が来たらどうしようと怖かったという話。自分は、ビルのエレベーターから降りてすぐに地震がきたので危なかったという話。マスターは、もし棚から酒の瓶が落ちていたらどうしようと、すぐに店に下りてきたのだが、無事でほっとしたという話。場所や状況でいろいろな体験をするものだなあ。

ここで「ブルーチーズ（500円）」を注文。いつもミックスナッツかオリーブなので、今日はちょっと変えてみたのだ。ここのブルーチーズは赤ワインには相性がいいのだが、バーボンソーダにはどうかな・・・。「おまたせしました。」皿に載せられてブルーチーズが届く。一口・・・この独特の香りがまたいいなあ・・・それに強めの塩気が味を引き立ててる・・・そこにバーボンソーダをぐびっと・・・ほわ〜ん、なんだか味がすごく柔らかくなったぞ。これはいい！美味しい！



そこに常連の女性、Mさんが入ってくる。「マスター、どうもお疲れ様。」「ああ、どうもありがとう。」・・・日曜日に、「ペルル」のお客さんとマスターで奥多摩バーベキューという企画があったのだが、その時の話らしい。「どうでした？」と尋ねると、「暑かったけど、その分ビールが美味しくて！」との答え。羨ましいぞ。

何でも10リットル入りのビールの樽が5本空いたらしい。それに焼酎も飲んだということなので、なんだかすごいバーベキュー大会だったようだ。「何人くらい参加したんですか？」「大人が20人くらいいたかな。」・・・さすが、「ペルル」の常連さんは元気な人が多いなあ。話が一段落したところで、マスターとMさんは、企画の無事終了を祝ってビールで乾杯。

「今夜はワインを開けようかな。」とMさん。「ペルル」にはボルドー産をはじめ、スペイン、チリなどのワインが揃っている。Mさんはチリのワインが好みだそうだ。マスターがフラン製のソムリエナイフを器用に使い栓を抜く。4つのグラスに注がれ、その１つが自分の前に置かれる。「ありがとうございます！」「みんなで乾杯しましょ！」・・・というわけで「かんぱ〜い」・・・一口・・・ふ〜む、まろやかな優しい味だ。この雰囲気に合ってるなあ。

ワインを飲みながら４人で話しているうちに、なぜかマスターの新宿修行時代の話題になる。昭和30年代の歌舞伎町。カクテルは1杯100円の時代。開店前には床を雑巾掛けし、朝4時までの営業が終わると皆の朝食を作り・・・。マスターの話はいつも面白く、当時の新宿の喧騒が聞こえてきそうだ。話に引き込まれて、ついもう1杯バーボンソーダを作ってしまう。こんな話を聞きながら飲む酒こそ、本当の味がするんだなあと思う。鷺ノ宮の夜が夢のように更けていく。