23時30分・・・鷺ノ宮「ペルル」
やっと鷺ノ宮駅にたどり着く。駅前は電車から降りた人々が足早に帰り道を急ぐ。そのあとはひっそりと静まり返る。駅前の通りを右に向かう。明るい光を放つ牛めしの「松屋」の角を曲がる。腕時計を確認すると、午後11時。「ペルル」の閉店時間まで30分。3杯は飲めるな・・・。
さらに道を右に曲がってしばらく歩くと、「ペルル」の古びた看板が光っている。ドアの前に立つと、中から笑い声が漏れてくる。ドアを開ける。カウンターのお客さんがこちらを見る。マスターが顔をあげて、「おお、いらっしゃい。どうぞ。どうぞ。」とカウンターの中から声をかけてくれる。カウンターは入り口付近からズラリと埋まり、奥から3番目の席が一つ空いている。コートを脱いで、鞄とともに後のテーブルに置く。お客さんたちに挨拶しながら奥に向かい、椅子に座る。マスターがおしぼりをさっと出してくれる。受け取りながら、「あと30分ですね。」とマスターに話しかける。「今日は遅かったですね。お疲れ様。」とマスター。この言葉だけで今日一日が報われるような気がする。
いつものように、自分のボトル「メーカーズマーク」が、自分の前に置かれ、氷が出てくる。大きな氷片を一つ入れてバーボンを注ぐ。氷がカチっと音を立ててグラスの底に沈む。ソーダを加えて、さて、一口・・・ふぅ〜、本当にお疲れ様。美味しい!BGMはPPMの「500マイルも離れて」に切り替わる。冷たいバーボンソーダが心地よく体に滲みて行く。
2杯目。この店のお客さんで、タイのチェンマイを拠点にNGO活動をしている方の話になる。自分もメールをもらったので、その中の言葉をマスターに紹介する。「ペルルは大学だと思っている。って書いてありましたよ。それだけ、この店で学ぶことが多いし、様々な出会いもあるってことでしょうね。」「えー、そんなことを書いてくれましたか・・・。」マスター、照れている。「でも、ウチは大学じゃありません。」隣のお客さんが「じゃあ、何?」と尋ねる。マスターは笑顔で「大学院!」・・・ありゃ。「もっとレベルが高いんだ。」と隣のお客さんが突っ込む。「ははは、本当は幼稚園。」マスターらしい捉えどころのない返事だ。でも、考えてみると、大学、大学院、幼稚園、どれもが当っているような気がする。
3杯目を作りながら時計を見ると、あと5・6分で閉店時間。ゆっくり飲みながら、この店の雰囲気の中に浸る。誰かの冗談に、笑い声が起こり、その声が消えたころ、マスターが「じゃあ、そろそろ。」と声をかける。それぞれが立ち上がり会計の確認を始める。自分も800円の会計を終え、コートを着る。外の看板を片付けているお客さんもいる。「じゃあ、お休みなさい。」マスターにそれぞれが挨拶して、みんなで店を出る。
「寒くなりましたね。」とか「明日は早いんですか?」などとお客さん同士話しながら、駅に向かう。途中「自分はこっちですから。」と皆さんに別れを告げる。「ああ、お休みなさい。また、飲みましょ。」と声をかけられる。手を振って、一人で歩き始める。鷺ノ宮の23時30分はあくまで静かだ。
Posted by hisashi721 at 17:01│
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お久しぶりです。reicoです。
こんないい雰囲気のお店があるなんて。
友だちと行ってみようかな。
reicoさん、こんにちは。
ご無沙汰してます。
ペルルでは大歓迎されますよ、きっと。
店内はクリスマスの落書き大会が始まってます。