迷いながら、パールセンター商店街に入る。アーケードは明日からの「七夕祭り」を前に、華やかな飾りつけが出来上がっている。店ごとに大きな張りぼてが吊り上げられ、準備万端というところだろうか。その飾り付けが風に揺れる中、この時間でもまだまだ人通りは多い。今こそ夏本番。人々の顔も明るい。
土日も仕事だから、七夕祭り本番には来ることはできない。でも、こうして歩いていると、雰囲気だけには浸ることができる。冷たいビールにフランクフルトソーセージ・・・ああ、去年の七夕祭りが懐かしいぞ・・・。などと考えていると、余計にお腹が空いてくるじゃないか・・・。何か食べなくては。
とにかく何も食べていないので、一発でお腹が満たされるものを・・・。ん、パールセンターを駅まで戻ってきてしまった。え〜と、ラーメン屋があるな。「せい家」か・・・。ガラス戸越しに店の中を見ると、黒いTシャツの店員さんと目が合ってしまう。そのお兄さんの笑顔に引かれるように、店にはいる。
カウンターの入り口近くの席に座る。「いらっしゃいませ!」と水を入れたコップを持って、さっきのお兄さんがやってくる。「ラーメン(500円)ね。」と注文を伝えて、その水をぐっと飲む。ふは〜、水、うま〜い。喉も乾いていたのか・・・。
隣のおじさんはトッピングたっぷりのラーメンを食べている。ネギとチャーシューが丼からはみ出している。すごい勢いで食べているので、すがすがしささえ感じる。そうだなあ、疲れてぐたーとしながらラーメンをすするというのは、いかにも人生の悲哀を感じさせてしまうよなあ。こんな風に、颯爽と元気よくすすらなきゃ。おじさんがハンカチで汗を拭う。そしてまた麺に向かう。いいぞ!
「ラーメン」が届く。こってりした感じのスープで、中の麺が見えないぞ。箸で麺をぐっと持ち上げると・・・おお、これは太い麺だなあ。よし!元気よく豪快に行こう・・・ん〜、麺が太い分、食べ答え抜群・・・こってりしたスープが力強く太い麺に絡んでいる・・・空っぽの胃袋にはたまらない刺激だ。美味しいなあ。どんどん、景気よくすすらなくては・・・。疲れを吹っ飛ばしてやる!
ふ〜、完食だ。「ごちそうさま。」「ありがとうございました。」外に出る。風が気持ちいい。隣のおじさんに教えられた食べ方(勝手に自分で納得したのだが・・・)で、なんだか元気が出たようだ。ただ、空腹が満たされたというだけではない力が湧いてくる。明日もがんばらねば。七夕祭りの飾りが風にそよいでさらさら音を立てている。夏の夜はとても貴重な時間なのだ。