2007年05月11日

雨宿り・・・大崎「味楽」

味楽天気予報では午後雨になるということだった。でも、午後になっても空模様は変わりそうもなく、このまま天気は持つのではないかと思った。しかし、さすがに6時過ぎには雲行きが怪しくなり、もしかしたら降るかなと思い始めた・・・らすぐに雨が降り始める。JR大崎駅付近。歩いている人々が、急に駅に向かって走り始める。自分も傘を持っていないので、駅まで雨に濡れながら走った。

駅の近くにいたからよかったものの、ますます激しくなる雨の中を走っている人を駅舎の2階からみると、これからどうしようという気になる。どこかでやむまで待つかな・・・。それとも、電車で新宿まで行って、どこかの店に入るとか・・・でも、いずれにしろ店まで行くためだけに傘を買うのもなあ・・・ビールも早く飲みたいし。・・・ん!そうだ!この大崎に雨に濡れずに行ける店があるじゃないか。

東口階段を下りる。その階段を降りるとすぐ目の前に居酒屋がある。「いわし料理」の大きな看板を掲げている「味楽」だ。この店は「いわし」はもちろん、新鮮な青魚を出す店として有名だ。その他のメニューも豊富なので、いつも勤め帰りの人々でにぎわっている。

雨やみをのんびり待とうという人が、階段に座って本を読んでいる。その人の脇を抜けて駅の入り口まで降りる。風が強くなっている。駅の入り口の屋根が途切れたところから、店までは1メートルくらい。その1メートルを抜ける時だけ雨に濡れる。えいっと、飛び出して、すぐ目の前の店の戸を開ける。ほとんど濡れなかたぞ。

「こんばんは。」と声をかけると、店の奥で客の注文をとっていた女性が振り向いて、「いらっしゃい!」と迎えてくれる。入り口から向かって左側にはテーブル席。奥にむかって5つ並んでいる。その席はすべて埋まっている。入り口正面がカウンター席。10席くらいあるが、一番奥に二人組がいるだけ。右手は大きな厨房だ。カウンターの真ん中辺りの席に座る。

「お飲み物は?」「瓶ビール(大600円)を。」・・・2階にグループ客がたくさん入っているらしく、厨房は大忙しだ。焼き台には焼き鳥の串がずらりと並んでいる。鍋物も用意されている。名物の「いわしのつみれ汁」だろうか。美味しそうである。お客さんの多くは焼酎のボトルを置いているようで、水や氷をもらってみんなで飲んでいるといった感じ。

ビール

ビールが届く。早速、一口・・・冷えてます・・・ふぃ〜、美味い!今日は仕事で緊張する場面が多かったので、精神的に緩めなければ・・・。ああ、今日もこの時間になったんだなあ・・・。「お通しです。」・・・「たこのマリネ」だ。たこをシャキシャキした野菜と一緒に口に入れる。甘みを少し帯びた酸味が口に広がる。たこは柔らかい。・・・いいつまみになるなあ・・・ビール、ビール。

たこマリネ

「青魚三点盛り(850円)をお願いします。」と注文。やっぱり、これを食べなくては。三点とは「いわし、あじ、〆さば」のことで、この三種類の刺身盛り合わせなのだ。ビールを飲みながら、ゆっくり待つ。厨房の中には4人の男性。60代位のご主人から、20代の若者が指導を受けている。とても素直でまじめそうな若者である。「はい、わかりました。」とうなずく坊主頭が爽やかだ。

「青魚三点盛り」が届く。まずは「いわし」から・・・一口・・・ふ〜む、いわし特有の香りがすっと広がる・・・素朴な味わいだが、身はしっかりとして歯ごたえもいい・・・美味しい!・・・さて、つぎは「あじ」に・・・一口・・・うんうん、
このもっちりとした食感・・・味は淡白だが、上品な旨みがある。これもいいなあ・・・で、次は「〆さば」・・・一口・・・くぅ〜、脂の部分が甘い!それを引き締める酢の味が絶妙!・・・美味しい!ビール、ビール。よし、次は・・・「チューハイ(300円)ください。」

三点盛り

新しい客が戸をあけて入ってくると、さあっと冷たい風が流れ込む。まだ雨は強く降っているようだ。「チューハイです。」と先ほどの若者が厨房から出てきてグラスを届けてくれる。両手でそっと置くところが初々しくていい。気に入ったぞ、若者よ!次の注文は・・・「いわしの竜田揚げ(550円)、お願いします。」

チューハイ

カウンターの右隣に二人組が座る。「まずは、生!・・・で、いわしの刺身とから揚げでいくか。」などと元気がいい。相方も「いいねえ!完璧!」などと調子がいい。そのすぐ後、左隣にも二人組が座る。ボタンダウンのシャツにノーネクタイ、コットンのジャケットにチノパン。メガネは縁の小さいヤツ。髪の毛は少々さびしいのだがお洒落である。団塊の世代で「VAN」とか着こなしていた世代だろうか。ちょっとかっこいい。「ウイスキー、ロックで!」・・・うーん、団塊の世代だなあ。

「いわしの竜田揚げ」が届く。早速、一口・・・このサクッとした歯ごたえがいいんだよなあ・・・芳ばしい香り・・・いわしの旨みが十分に引き出されて、ほのかな甘みまで感じる・・・美味しいなあ。てんぷらもいいが、この竜田揚げというのもいわしにはいいなあ・・・チューハイ、チューハイ!・・・「すみません!チューハイお替り!」

いわし竜田揚げ

2杯目のチューハイを飲み干して、席を立つ。雨はどうなったかなあ、などと案じつつ会計を済ませる。戸を開けると強い風が吹いてくる。雨自体は弱まっているようだ。えいっと、1メートルを渡って駅に入る。階段を見上げると、まだ、座って本を読んでいる人がいる。随分読み進めることができただろう。

階段を上る。さて、埼京線で新宿まで行こうかな。新宿に着くころには、雨も止んでいればいいが・・・。初夏の雨にしっとりと濡れた街が、駅の窓から見える。

>雨の大崎

東京都品川区大崎1-21-4  03-3494-0335

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この記事へのコメント
こんばんは。
味楽の青魚三点盛り!
さすがです。
Posted by 熊 at 2007年05月12日 19:35
熊さん、こんにちは。
おお、もう「味楽」はチェック済みでしたか!
さすがです。
Posted by 寄り道 at 2007年05月14日 17:25
寄り道様

だいてんでございます。

実はこの「味楽」は次の候補に入れていたお店だったのです。仕事場が戸越銀座なので前々から気になっていました。また、5月13日(日)近くに穴場の立ちのみ店を発見、次回はその店とこの「味楽」のコースで行く予定だったのです。

また、戸越の住宅街にひっそりとある有名店「ヤマニ」でホッピーの後、この「味楽」まで歩くというコースもいいかもしれません。


Posted by 居酒屋探偵DAITEN at 2007年05月14日 17:37
>あぁ、今日もこの時間になったんだなぁ…。
僕が毎晩感じているこのフレーズ。活字で見れて、妙に頷いてしまいました。
至福ですよね。
もう一軒寄り道したくなってしまいました。
Posted by たけ at 2007年05月14日 21:44
だいてんさん、こんにちは。

「味楽」のメニューは、いわし料理以外のものも美味しそうです。活気もあるし、いいお店ですね。

戸越「ヤマニ」は↑の熊さんが詳しいのです。文句なしの名店ですね。
Posted by 寄り道 at 2007年05月15日 17:22
たけさん、こんにちは。
「ああ、またこの時間になったんだなあ。」と思うときは、安らぎの一瞬ですね。とにかく一口目が嬉しいです。「さてっ」という一口目がたまりません。
Posted by 寄り道 at 2007年05月15日 17:25