2007年08月05日

夕暮れの風の中で・・・根岸「鍵屋」

鍵屋気温35℃・・・ひゃ〜、やっぱりこうなると暑いなあ、などと思いながら街を歩いて地下鉄の駅に降りる。午後南北線の某駅近くで打ち合わせの後、外に出たらこの暑さ。腕時計を見ると、まだ、3時過ぎ。ビールでも飲みたいけど、ちょっと早いなあ。駒込で山手線に乗り換え。駅のホームがまた暑いの何の・・・。夏休みポケモンラリーに参加している親子連れもげんなりしている様子だ。そこに外回り電車が入ってくる。方向は逆だが・・・乗っちゃえ。

久しぶりに東側の店にでも行ってみるか、と思ったわけだが・・・京成線に乗り換えるかなあ、それとも上野とかにしようかなあ・・・それにしても鞄が重い。この暑さの重い鞄を抱えて歩き回るのもつらいなあ。しっかり店を決めて行動しよう。・・・で、最初に頭に浮かんだ店に決める。根岸の「鍵屋」だ。渋いぞ・・・そうか、落ち着いた店でゆっくりしたかったんだな、自分よ。

鶯谷駅下車。降りると同時に襲ってくる暑さ・・・ほへ〜。たまらん。目の前をあるいているおじさんのシャツは背中いっぱいに汗が染みている。すごいなあ。脱水症状とかにならないのだろうか。普通なら南口の方が近いのだが、まだ、開店時間まで一時間以上あるので、どこかで時間をつぶさなければならない。北口側の方に確か「ドトール」があったよなと思いながら駅を出る。

「ドトール」の入り口を見ると・・・な、なんだよ!行列ができている。暑いからなのか・・・しょうがない、道の向かい側にマクドナルドがある。そっちにするか・・・。マクドナルドに入るとここでも人の列。でも、店の中に入れるだけでもマシ。しばらく待って自分の番に。「アイスコーヒーのMサイズ(190円)」と注文。ふ〜。アイスコーヒーを受け取って2階に上がる。どへっ、女子高生のグループが席を締めている。その中にひっそりと一人席がある。仕方がない・・・すみませ〜んって感じでその席にもぐりこむ。・・・「うっそ〜、マジで!」という声が聞こえたが、それは自分のことではないようだ・・・。

女子高生の大声に対抗するため、ipodを取り出す。ビバルディの「夏」を大音量で聞きながら、仕事に取り掛かる。細々とした仕事はこういうときに済ませておかねば・・・。調子が乗ってきたところで、音量を下げる。さて、集中、集中。1時間はこうして過ぎていく・・・。「どんだけだよ!」などと女子高生の声は時々耳に入るが、大丈夫・・・みたいだ。

さて、4時50分にマクドナルドを出て、「鍵屋」に向かう。怪しげなホテル街を抜け、言問通りを渡ると、右へ。路地を入って・・・店の前に到着。まだ、5時まで3分くらいある。自分の前には本を読みながら、開店を待っている男性が一人。その後ろに立って、自分も待機。すぐに、店の方が出てきて、店の前に電気看板をおいて灯をつける。その作業が終わったところで、「お待たせしました。どうぞお入りください。」ときびきびとした声を掛けてくれる。前の男性に続いて、暖簾をくぐる。「こんばんは。」カウンターの中の大将が「いらっしゃい、こちらにどうぞ。」と応えてくれる。

店は右手にカウンター。左手に小上がり座敷。あまり広くないが、歴史を感じさせる澄んだ空気が店を覆っている。カウンターの中ほどに座る。「お飲み物はどうします。」「ビール、大きいほう(680円)で。」「はい。」大将がサッポロ黒ラベルをグラスと共に届けてくれる。同時に奥から「お通し」の煮豆が出てくる。何はともあれ、ビールだ。ここまで長かったからなあ。グラスにビールを注いで、一口・・・うぐっ・・・うま〜い。「どんだけだよ!」とさっきの女子高生に突っ込んでほしいくらいのうまさだ。

ビール&お通し

そこでおつまみを・・・「玉子焼き(510円)とくりから焼き(610円)をお願いします。」・・・スタミナをつけようを無意識に思ってしまうのだろうか。タタミイワシと大根おろしという選択肢もあったのだが・・・。まあ、夏だからな。それにしてもビールが美味しい。もう一人のお客さんは、最初から燗酒である。

煮豆をつまみにビールを飲んでいると、玉子焼きが届く。小皿の醤油をちょっとつけて一口・・・うん、程よい甘さが、この暑さにはいいなあ。疲れが引いていくよ。それから玉子の味かしっかりしているところも、つまみとしては最高だ。日本酒が飲みたくなるよな〜。早くビールを飲んでしまおう。

玉子焼き

そのビールが残り少なくなって来たところに、うなぎのくりから焼きが届く。この店の看板メニューだけあって、ほとんどのお客さんが注文する逸品だ。さて、一口・・・柔らか〜い。うなぎの串焼きを出す店はいろいろあるが、くりから焼きがこんなにふわっと柔らかいのはここしかない。タレもべとっとしてなくて、上品な味わいだ。美味しいなあ。ビール、ビール。」

くりから焼き

お客さんが一人入ってきて、左隣に座る。「お酒ね。」「燗?常温?それとも冷や?」「冷やしてあるのもあるんですか?」「はい。」「じゃあ、冷やを。」 自分もビールを飲み終えて、さて日本酒に。「桜正宗(500円)を燗でお願いします。」「はい。」表の戸が開け放してあるので、風が心地よい。この店のきりっとした雰囲気が涼感を引き立てている。

お酒が届く。すっとした白いお銚子が気持ちいい。では、一口・・・真夏の燗酒らしく、ほんのりとしたぬる燗。ほわっと口の中に酒の香りが広がる。優しい味だ。いいなあ。風が吹いてきて、盃をもった腕にあたる。もはや暑くはない。ぬる燗の味をゆっくり楽しめる。

お

ここで大将が奥に入って、女性と交代。その時、右手の甲に蚊が・・・。左手でパシッとたたくと、すっとどこかに消えていしまう。「すみません。今、蚊取りをつけましたから。戸を開けておくとどうしても風に乗って入ってきてしまうんです。」「そうですね。風が気持ちいいので、このままがいいです。」・・・一匹くらい蚊が入ってくるのは仕方ない。すぐに忘れてしまう。

「お酒のおかわりと冷奴(490円)ください。」と注文。お客さんも入ってきて、カウンターは6人になった。小上がりには1組。冷奴が届く。小さなすのこにのっている。「薬味です。」とネギがたくさん入った箱が届けられる。薬味をたっぷりとのせて、醤油をつけて一口・・・口の中で溶けてしまいそうだ。涼しい味。「お酒です。」・・・とどいたお酒を一口・・・う〜ん。夏の居酒屋の楽しみだなあ。いいぞ。

冷奴

お酒を飲み終わって、この辺で。「ごちそうさま。」「ありがとう存じます。」・・・いいなあ。ありがとう存じますとは。お勘定を済ませる。「新しい札でお支払いありがとうございます。」おお細かいところまで・・・「どうも。」店を出る。「ありがとう存じました。」と背中によく通る声がかかる。おお、ちゃんと過去形になっている・・・。

駅に向かって歩く。凌雲橋を渡って南口に向かう。夕陽が駅舎の上に広がり始めている。夏の一日が暮れようとしている。

この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
寄り道さん、お久しぶりで〜す。ヒロミですよ〜。
毎日暑いですね。ビールがおいしいです!
うなぎのくりから焼き、おいしそうですね〜。
うなぎでビールというのもよさそうです。

Posted by ヒロミ at 2007年08月08日 14:01
ヒロミさん、こんにちは。
お久しぶりです。
相変わらず、暑い中でも元気いっぱいですね。
夏は、冷房よりも自然の風の中で飲むのが気持ちいいです。ぜひ、試してみてください。
Posted by 寄り道 at 2007年08月08日 14:14
旅チャンネルでの太田和彦さんの居酒屋シリーズの
新シリーズは一回目が鍵屋です。
Posted by とおりすがり at 2007年08月16日 22:28
とおりすがりさん、こんにちは。
「鍵屋」は、いい居酒屋の条件がそろってますからね。旅チャンネルも見てみたいと思います。
Posted by 寄り道 at 2007年08月25日 16:21