2009年11月04日

夕暮れの灯り・・・富士見台「酒摩里」

DSC02005今日(3日)は、朝から明日からの九州出張の準備。それからこまごまとした用事をこなしていると、それが意外に手間取ってしまい、気がついたらもう午後3時半を過ぎている。最後に、昨夜やり残した仕事を済ませてしまおうと思ったのだが、さすがに一息入れたくなった。そこで、コーヒーでも飲みながらやろうと、家を出て、富士見台までやってきた。

富士見台の駅には3つのカフェがある。ひとつはミスタードーナッツ。それから、モリバコーヒーという、自由が丘の「フォレストコーヒー」系列の店。さらにアンテンドゥというパン屋さん併設のカフェだ。その中で一番のお気に入りはモリバ。富士見台の駅前では、毎月第2日曜日に朝市が催されているのだが、自分はいつもそれを楽しみにしている。ワインやパンを買い、福引をして、さて朝食でも食べて帰ろうという時は、モリバコーヒーに寄って、150円のブレンドコーヒーに170円のサンドイッチを注文する。のんびりとしたいい時間を過ごすことができる。
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今日も、そのカフェで仕事をやってしまおうと、パソコンを持って来たのだ。カウンターの隅っこの席が空いていたので、コーヒーを飲みながら、約50分。仕事が終わってほっとする。時間を見ると、そろそろ5時。カフェを出て、隣の本屋に入り、新書本を一冊購入して、さて、帰ろうと「ふじみ銀座」を歩いていると、居酒屋「酒摩里」の看板に灯がともっている。仕事を終えた解放感と、夕暮れの薄い闇が、「おいおい、このまま素通りかい?」とささやく。・・・もちろん、素通りなんかできるはずはない。
ドアを開けて店の中に入る。「こんばんは。」カウンターの中のマスターが、「いらっしゃい!」と笑顔で迎えてくれる。入り口側のテーブル席には、まだお客さんはいない。奥の小上がり座敷に、家族連れが一組。カウンターの真ん中あたりに座ると、女将さんが、さっとおしぼりを出してくれる。「瓶ビール(中500円)をください。」と注文する。 カウンターの右上には液晶テレビ。ニュース番組をやっている。

瓶ビールとお通しが届く。では、ビールを一口・・・う〜ん、今日一日、バタバタしたけど、やるべきことはできたし、まずまずの休日だった・・・という気にさせる味だ・・・美味しい! お通しは、たらこの煮付け。どれどれ、一口・・・おお!薄味に仕立ててあるので、たらこの旨みが際立つ。いくらでも食べられそうな味だ・・・ビール、ビール。
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家族連れは、若いご夫婦と、小さい男の子二人。お父さんが生ビールを飲み、お母さんが子どもたちに話しかけながら、出てくる料理を食べているという感じ。会話は弾んでいるが、店の迷惑にならないように声を抑えているし、男の子たちも、騒いだりしない。とても好感がもてる。居酒屋の子どもづれ家族は、ともすれば子どもたちがはしゃぎまわり、それをほったらかしにして親は飲んで、しゃべり、気がついたように大きな声で子どもたちを怒鳴るということになりがちだ。この家族は、本当に周りに気を使いながらも、楽しんでいるという雰囲気がある。こちらまで嬉しくなってくる・・・お母さん正座だし・・・。

この店は、マスターが河岸から仕入れてきた美味しい魚を出す。阿佐ヶ谷の居酒屋で偶然知り合った方に教えてもらったのだ。その当時は、駅の北側の古い民家で営業していたのだが、今は、「ふじみ銀座」の中ほどに移転してきた。前の店も渋かったが、こちらも広くて、さっぱりとした気持ちのいいつくりになっている。さて、それではお刺身を・・・「さわらのお刺身(700円)をお願いします。」

テレビでは、天気予報。今日は、震えるほど寒かったが、明日以降は朝晩は気温が下がるものの、日中は20℃を越える予想。明日から行く九州地方もどうやら同様で、これから何日かはそんな天気が続くという。ちょっといい気分になる。

さわらのお刺身が届く。切り身が厚く、それが花のように盛ってある。つやもいい。見た目からして美味しそうだ。では、一口・・・さっぱりとしているが、噛んでいると芳香というか、魚くさくない、しっかりとした香りが口の中に広がってくる。これは、やっぱりマスター自慢の刺身だけのことはある。美味しいの一言!
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ビールを飲み終えたので、次の飲み物を考える。ご主人お薦めの日本酒か、それとも焼酎。寒いので燗酒にするなら、この店は神鷹だ。メニューを見ながら、少々迷う。結局、普段はほとんど飲まない焼酎のお湯割にすることに。焼酎は何種類かある中で、「華吟河」という雅なネーミングのものを選ぶ。「華吟河のお湯割り(420円)をお願いします。」

焼酎が届く。一口・・・おお、名前の通り香りがいい。お湯で割ってあるから、それが強調されている。飲み心地はさわやかだ。それに、何よりも温まるのがいい。テレビは、日本シリーズ。ジャイアンツ対ファイターズ。カープファンの自分にとっては、なんとも微妙だが、野球ファンとして興味はある。なんとなく始球式の様子を見ていると・・・あれ、この外国人は・・・どっかで見たことが・・・ブッシュ元アメリカ大統領ではないか!思わずマスターに「ブッシュさん、いつの間に日本に来てたんですかね。」と言ってしまう。マスターも「まさか、このために来たんじゃないでしょうね。」と笑っている。
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お刺身の次は、煮物にしようと思う。今日はホワイトボードに書かれている煮物の中で、ちょっと気になるものを選ぶ。「牛スジと里芋の煮物(500円)をお願いします。」・・・この組み合わせが、いかにも美味しそうだ。楽しみ、楽しみ・・・「それから、焼酎もおかわりお願いしますぅ。」・・・準備万端。

牛スジと里芋の煮物が届く。では牛スジから一口・・・もほ〜、柔らかい。でも、独特のねっとりとした味わいも残っている・・・甘辛い味付けとよく合ってるなあ・・・焼酎、焼酎・・・。次は、里芋・・・ほくほく・・・でもジャガイモとは違うしっとり感がある・・・文句なし!・・・んもう〜、これは焼酎でしょう・・・。
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こんな調子で飲んでいたら、さすがに、おろっ、ちょっと酔ってきたか?という自覚症状。このまま飲み続けて、もっといい気持ちになりたいという誘惑も強いが・・・ここまでにしとこう・・・そうしなさい・・・と自分を説得して、席を立つ。「ごちそうさま。今日も美味しかったです。」「ありがとうございました。」

店の外に出る。ふお〜、寒っ!でも、空気が澄んでるなあ。月も冴えわたっているように感じる。家までは歩いて15分。商店街を抜けて少し歩くと人通りがなくなる。さっきのブッシュ元大統領の投球フォームを真似てみる。やっぱり酔ってるのかなと自分に問いかける。

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この記事へのコメント
ひょっとしたら、阿佐ヶ谷の川名で、偶然に同席させていただき、さんまの刺身を携帯に写メールしていた方でしょうか?その時に、このお店を紹介させていただきました。偶然の出会いであれば、感激です。
Posted by 340 at 2009年11月06日 23:07
340さん、こんにちは。

お久しぶりです。川名でご一緒させていただいた者です。よく冷えた浦霞を飲みましたよね。懐かしいです。

あれから、時々「酒摩里」に行ってます。もし、お会いできたら、また一緒に飲みましょう。
Posted by 寄り道 at 2009年11月09日 15:19