寄り道Blog

空は抜けるような青空。朝の光が眩しい。気持ちのいい朝ではあるが、さすがに寒い。6℃くらいかな。気持ちは引き締まるが、鞄を持つ手の指先は感覚がなくなるほど冷えている。鷺ノ宮駅前に来ると、ちょうど「阿佐ヶ谷駅」行きのバスが止まっている。西武新宿線のホームで風に吹かれながら待つのも辛いなあ、という思いが一瞬頭の中を巡る。バスに乗って阿佐ヶ谷からＪＲで行こうかな。踏切が空くのを待っているバスに乗り込む。

昨日（17日）は、職場と病院と行ったり来たり。しかも、仕事が神経を使うものだったので、慎重に進めた結果、夜も遅くなってしまった。今朝は、10時30分からの会議に間に合えばいいということで、いつもよりのんびりと職場に向かっている。

朝の光の中をバスは走っていく。車窓から差し込む陽の光が、暖かく感じられる。休日なら、ワクワクするような朝かもしれない。15分ほどでバスは阿佐ヶ谷駅前へ。まだ、時間も早いので、この辺りでゆっくり朝食をとり、温かいコーヒーを飲みたい。今日は、職場に行く途中の寄り道だ。さて、どこへ・・・。

バスから降りると、すぐに「可否茶館」という喫茶店が目につく。入口が赤い色でデザインしてあるので、すぐに分かる。ゴールド街という高架下の商店街の2階にある。阿佐ヶ谷の高架下は、荻窪寄りが「ダイヤ街」、高円寺寄りが「ゴールド街」。ついでに、南口のメイン商店街が「パールセンター」。宝石っぽい名前で統一されているのだろうか。

「可否茶館」の入口は、外から直接店に階段を上がったところにもあるし、ゴールド街に入って、エスカレーターを登ったところにもある。今日は外から階段を上がることにする。看板には「明治21年創業」と書いてある。上野で創業し、阿佐ヶ谷に移ってきたのは昭和43年。いずれにしろ、歴史ある店だ。

階段下には「モーニング」のメニューがある。Ａセットが「トースト」、Ｂが「シナモントースト」、Ｃが「ホットドッグ」、Ｄが「ホットサンド」の4種類。すべて、ゆで卵と、コーヒーか紅茶がつく。モーニングセットって、いつ以来だろう。ゆっくりと気持ちの整理でもしながら食べようかな。


階段を上がる。ドアを開ける。右側は黒を基調としたソファーの席が並び、左側はカフェ風の白っぽい椅子の席が並んでいる。カフェ側には若い女性が一人、熱心にノートに書き込みをしている。ソファー側では、仕事前のキャリアウーマン風の女性一人が雑誌を読みふけっている。店は綺麗に整えられている。北口ロータリーを見渡せるソファーの席を選んで座る。


お店の女性がメニューとおしぼりと水を持って来てくれる。なんだか、ジャズ歌手のようなけだるい雰囲気を持った長身痩躯の女性だ。なんだか、この店に合っている感じ。「ホットサンドのモーニングセットで。飲み物はホットコーヒーでお願いします。」と注文する。

鞄から本を出して読み始める。香西秀信著『論理病をなおす！処方箋としての詭弁』だ。なかなか面白いのだが、集中できない。ぼんやりと、北口ロータリーに出入りする赤いラインの関東バスを眺めたり、ビアンキの自転車に乗って颯爽と駆け抜けていく人を目で追ったりしてしまう。それでも、この時間はとてもリラックスしていい感じだ。

10分くらい待っただろうか、モーニングセットが届く。大きな皿に、ホットサンドとゆで卵、サラダがのっている。ホットサンドは、対角線でカットされ三角形になったものが2つ。コーヒーにミルクを入れて、一口・・・酸味がしっかり利いた苦みの少ない味・・・美味しい。


ホットサンドを一口・・・トーストしてあるのでパンはザックリとした歯触り・・・なかはタマゴとハンバーグ、トマトソースが入っている。文句なしで美味しい！できたてで温かいのもいい。サラダは、白いフレンチドレッシングがかかっている。トマトと缶詰のみかんが一つ入っていて彩りを添えている。

懐かしい味だと思いたくなるのは、店の持つ歴史がそうさせるのだろう。しっかりした味で、丁寧に作られている。今風のおしゃれなカフェで出てきても、それはそれで納得できるはずだ。でも、雰囲気に飲まれてみるのもいいかもしれない。懐かしい昔ながらの喫茶店の味・・・そう思いながら食べるのも楽しいものだ。

食べ終えて、コーヒーをゆっくり飲み干す。また駅前ロータリーを眺めて、少しだけ物思いに耽る。本を読む気にはもうならない。・・・さて、そろそろ時間だ。立ち上がってレジに向かう。

階段を降りて、外に出る。真っ青な空を見上げる。気持ちがキリッとよみがえる。深呼吸して駅に向かう。



東京都阿佐谷南2-42-1　ゴールド街2F
03-3338-4953
8:00〜24:00