2009年12月21日

日曜日は終わらない・・・阿佐ヶ谷「川名」

DSC00352今日(20日)は日曜日ながら、家で仕事をしなければならない事態になってしまった。朝からパソコンの画面とにらめっこをし、ここまでやっておけば、なんとか来週は大丈夫という所までできたのが午後3時。せっかくの休日なのに、このまま終わるのは無念なので、早速出かける。

といっても時間も時間なので、遠出はできない。高田馬場まで出て、文庫本(津原 泰水『ブラバン』・・・広島弁がいい!)を買い、さかえ通りのニューヨーカーズカフェで読み・・・そんなことをしているうちに、もう辺りは薄暗くなってくる。ああ、一日が終わってしまうよう〜。なんだかいたたまれない気持ちになり、店を出る。そうだ。「千成屋」のおじさんに会いに行こう。あの毒舌を聞いて元気を出そう。

早稲田通りを歩いて、千成屋の前に来る。店の中に入って、奥の方で何かやっているおじさんに、「こんにちは。」と声をかける。「なんや。」「なんやって、たこ焼きを食べに来たんです。」「あかん。これから、100個の予約分を焼かんとあかんのや。うちはいっぺんに30個しか焼けんのやで。6時にとりにくるから、今から焼かんと間に合わん。」なんだか焦ってるなあ。まだ、4時50分なのに。「じゃあ、生ビールでも飲んで待ってますよ。」「そやから、あかんのやって。忙しいんや。」「100個焼くのも、110個焼くのもあんまり変わりないでしょうに。」「大違いや。わざわざ来てくれて、すまんなあ。」・・・ちぇ・・「じゃあ、また。」「おおきに、すまんな。」・・・来る度ごとに、扱いが粗くなってるような気がする。

さて、5時か・・・。このまま、鷺ノ宮まで西武新宿線で帰るのも寂しい。どうしよう。そういえば、阿佐ヶ谷の「川名」の冬休みって17日までだったよな。もうマスターはハワイから帰っているはず。久しぶりに、行ってみようかな。・・・というわけで、阿佐ヶ谷へ。高田馬場から阿佐ヶ谷は、地下鉄東西線を使うのが一番早い。

東西線で2つめの駅が中野。中野で三鷹行きに乗り換える。そして2駅で阿佐ヶ谷だ。北口ロータリーを渡り、旧中杉通りを北に向かって歩く。今の中杉通りができるまで、この狭い道を関東バスが走っていたというのだから驚きだ。泉麻人の本にその当時の写真が載っていたが、事故が起こらなかったのは奇跡としか思えない。バスが小さかったのだろうか? 7分くらい歩くと「川名」の赤い看板が見えてくる。さて、席は空いてるかな。

ドアを開ける。テーブル席は満席。奥の座敷にも人が入っているようだ。カウンターは入口近くが2席空いている。「いらっしゃいませ。」と奥から声をかけてくれたお店の女性に、入口から2つめの席を指さして「この席いいですか。」と問う。何か言っているけど、奥のテーブルの客が大きな声で話しているので、聞こえない。返事を確認せずに座ってしまう。「ご注文は?」今度は近くまで来て聞いてくれる。「赤ホッピー(336円)を。」と注文する。

ホッピーが届く。と同時に「おつまみは?」と女性に聞かれる。お薦めが書いてあるホワイトボードからあらかじめ選んでおいたので、すぐに答える。「まぐろぶつ(420円)と姫やっこ(294円)を、お願いします。」と注文。氷と焼酎が入ったジョッキにホッピーを注いで、一口・・・ふわ〜、今日は仕事の日曜日になったけど、最後はゆっくり楽しもう・・・という開放的な味がする。今日のお通しは、なし。なんだか寂しいぞ。
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「そうか。そうだよなあ。」と隣の男性が言う。えっ?何が・・・。がくっと、男性がうなだれる。「肩、痛いな。」肩をぐりぐり回す。「うん、うん。」と頷く・・・独り言だったのか・・・。「豚もつ煮込み」をつまみながら、考え事をしながら飲んでいる。それぞれのスタイルがあるので、気にしないことにする。

「まぐろぶつ」が届く。ぶつといってもちゃんとした刺身だ。この店の刺身は美味しいからなあ・・・一口・・・ふむふむ、このスコッとした歯触り、いいなあ。美味しい!ホッピー、ホッピー。どうして、こんなに安く、こんなに美味しい刺身を出せるのか・・・。マスターの努力に乾杯! この店の魅力の一つだろう。
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「姫やっこ」が届く。一口・・・ふお〜、滑らかな舌触り・・・この滑らかさがこの豆腐のいいところだなあ。美味しいぞ。ホッピー、ホッピー。「すみません。ナカ(294円)お願いします!」早くも、ホッピー2杯目。今日はピッチが早いなあ。
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日曜日ということで、グループ客が多いようだ。「4人なんだけど、入れる?」「ごめんなさい。空いたら、電話しますよ。」「電話受けたら、3分で来るからね。」などという会話が続く。さすが人気店だなあ。テーブル席の真ん中は、常連さんの集まり。何曜日に来てもそこで飲んでいる。楽しそうだ。よくそんなに毎日話すことがあるよな、と思うくらいだ。

一人客が立ち上がる。「ごちそうさん。」「部長、お帰りで〜す。」という声がかかる。「部長、ありがとうございました。」・・・すっかり「部長」という呼び名が定着しちゃったなあ。このお客さん、時々部下を連れてくるのだが、その時、部長、部長を呼ばれているので、そういう呼び名になったらしい。「部長、ハワイのお土産です。」とマスターが部長に声をかける。派手なTシャツをもらった部長は、「俺、こんなの着れないよ。」と泣き顔をつくる。周りから、「似合うよ、似合う!」という声がかかる。「じゃあ、デートの時着るよ。」「いいねえ。でも、夏にしなよ。今は寒いから。」

6時を過ぎると、カウンターのお客さんが何人か席を立つ。開店の4時から飲んでいる人は、そろそろ酔ってくる時間。この店は酔っぱらいは出入り禁止になるし、酒類は4杯までと決まっているから、2時間くらいで限界だろう。カウンターの席が空いたからということで、奥の座敷で飲んでいた一人客が、カウンターに移動。その中に知ってる顔が・・・。「どうも。」「隣いいですか。」ということになる。

「ナカとじゃこ天(294円)、お願いします。」そろそろ、フィニッシュにかかる。ナカが届く。さて、ホッピーをジョッキに注いで・・・あれ、ホッピーが・・・気にせずにホッピーを前の2杯に注いだため、もう残っていない。それでも何滴か注いで、一口・・・ほぼ、というか、完全に焼酎だけの味。うい〜、酔いが急激に回りそうだ。

「じゃこ天」が届く。炭火でしっかり焼いてあるので、見るからに美味しそうだ。では、一口・・・おお!このじゃこの骨っぽい味がたまらなく香ばしい!ボリュームもあって、いいつまみだ。ホッピー、ホッピー・・・じゃなかった、焼酎、焼酎・・・きく〜。でも、美味しい!
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知り合いと話をしながら、最後の一杯を飲み干す。では、今日はこの辺で。「お先に。」と声をかけて席を立つ。「ごちそうさま。」「ありがとうございました。」

外に出る。うわ〜、寒い!こんなに寒かったっけ・・・。もう一回川名に戻りたくなるくらいだ。バス停まで、歩いて5分。どこかで燗酒でも飲もうかな、などと思い始めてている。日曜日はなかなか終わらないのだ。





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