2010年01月04日

川辺の風景・・・広島「市松寿司」&純喫茶「パール」

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正月も3日。今日の広島はよく晴れて、眩しい日差しが降り注いでいる。風は冷たいが、日向を歩くとぽかぽかしてくる。今日は家の用を午前中にすませて、昼食をとりに街にでかける。広島そごうの地下に降りて、センター街アッセ側に向かう。そこに小さな回転寿司屋「市松寿司」がある。

回転寿司とはいえ、この店は侮れない。さよりやかんぱち、小鰯、地だこを初めとする広島の魚が楽しめる寿司屋なのである。最近は帰省するたび毎に来ている。ビルと同じ開店時間なので、早い時間が狙い目だ。店の前に来ると、空席が3つある。「1人ですけどいいですか?」と尋ねると、店の女性が、「どうぞ、こちらへ。」と正面の席を示してくれる。「どうも。」さっそく座る。すると、カウンターの中の職人さん2人が、「らっしゃい!」と威勢良く迎えてくれる。

で、まずビール。「ビール(315円)お願いします。」と注文しておいて、小皿にガリをとり、準備完了。ビールが届く。大き目のグラスに入った生ビールだ。一口・・・くぅ〜、今日もまたまた早い時間・・・今日は12時過ぎから、生ビールとは!・・・美味しい! 自分がビールを飲むのを笑顔で見守っていてくれた職人さんが、「何から握りましょうか!」と声をかけてくれる。
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この店は、回転寿司なのだが、初めて来た時、回っている皿を取ろうとしたら、「握りますよ!回っているのは見本ですから。」と声をかけてくれた。もちろん、見本が回っているわけではないのだが、こういう一言がちょっと嬉しかった。まあ、最近は回っているのは無視して、直接注文している人が多いが、店の人からこう言われたのは初めてだった。

「煮あなご(263円)を。」と注文する。「はい!煮あなご一丁!」・・・ビールを一口飲んで待つ。「煮あなご」が届く。シャリは小さめでネタは大きい。では、一口・・・とろける〜、おひしひよ〜・・・美味しい!甘いタレもくどくなくていい!ビール、ビール!ふい〜。「次、何行きましょう?」「はまち(210円)!」「はい!」・・・「はまち」が届く。一口・・・身が締まってる〜、こりっとした感じかたまらん!美味しい!ビール、ビール。はふ〜。「次、何にしましょう?」・・・。
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お正月ということで、さよりや小鰯はないようだったので、ちょっと変り種で・・・「牛カルビ(210円)と食べてみようかな。」「はい!」・・・カルビ肉をバーナーで炙ってくれる。それを丁寧に握って、「はい!お待ち!」・・・一口、肉が柔らか〜い・・・炙ってあるので温かいのもいい・・・脂も程よくて・・・美味しい!
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出汁巻き卵と鉄火巻きと頼んで、〆ることにする。出汁巻き卵(126円)は、甘さがぐっと抑えてあって、出汁が効いている。寿司飯との相性が抜群でとても美味しい。鉄火巻き(263円)は海苔の風味がよくて、鮪がまたさくさくとしたいい食感でたまらない。ビールのつまみとしても相性がいい。ああ美味しい・・・。
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「ごちそうさま。」「どうも!ありがとうございます!」・・・満足して店を出る。やっぱりこの店はいいなあ。・・・広島そごうの地下を抜けて、紙屋町の地下街である「シャレオ」に出る。少し歩いて、階段を上がり、本通り商店街に出る。今日はまたすごい人出だ。大きな袋を持った人々が溢れている。前に進むのも難しいくらいだ。店を2,3軒回って、頼まれた買い物などを済ます。
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例によって八丁堀から、路面電車に乗って、窓から見える風景をのんびり見ながら広島駅前へ移動。毎日同じことの繰り返しのようだが、これが自分にとってはいいのだ。特別どこに行くわけではなく、高校時代からなじみの行動範囲を辿るだけ。バスに乗り、路面電車に乗り、街を歩く・・・なぜかそれだけで心が安らぐ。・・・あとビールがあれば、なお結構。

広島駅前に到着。今日は早くもUターンラッシュということで、大きな鞄を持った人々が多い。慌しくも、少々寂しい光景でもある。南口の松原町を歩いてみる。駅前にデパートができたものの、猿猴川近くの一帯は、シャッターを閉めた店が並び廃墟寸前の様相を呈している。自分の子どものころは、ちょっとした繁華街だったという記憶がある。広島百貨店(古い!)やオメガランドというゲームセンターには子どもながら思い出がある。今はパチンコ屋が目立つくらい。再開発はいつなのだろうか。
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この近辺で残っている飲食店といえば、出雲蕎麦の「大黒屋」、居酒屋の「やよ福」、それから喫茶店の「パール」と「ブランカ」(朝6時からやっている!)、「マツヤ」・・・。どの店も独特の存在感をもつ歴史ある店だ。今日は純喫茶「パール」でコーヒーを飲もうかな。
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ドアを開けると、入り口右手のレジカウンターに座っていたママさんが、すっと立ち上がり「いらっしゃいませ。あけましておめでとうございます。」と迎えてくれる。新年は今日から営業のようだ。「おめでとございます。」と答える。店は広い。店の左右にテーブル席がずらり。グループ客や、カップルなど5,6組が入っている。店の左手、窓の横の席を選んで座る。すぐに、ママさんが水を持って、注文を取りに来てくれる。「何にしましょうか?」「ブレンドコーヒー(360円)を、お願いします。」と注文する。
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奥の壁には、大き目の液晶テレビが据え付けてある。競馬がある日は競馬中継をやっている。今日は高校サッカー。「広島観音高校VS尚志高校(福島)」だ。地元チームの試合だけに、お客さんたちも時折画面に目をやっている。昭和32年創業の店内は、当然古びているものの、やけに落ち着く雰囲気だ。
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ブレンドコーヒーが届く。ピーナツ付だ。では、一口・・・酸味が強くシャープな味だ。美味しい!ピーナツをポリポリ・・・。マスターが奥から出てきてお客さんたちに挨拶している。「いらっしゃいませ。今年もよろしく。」大きなカウンターの中に入って、カップを洗ったり、お客さんに声をかけたりしている。地元の人々に愛されている店という雰囲気が漂う。
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男性客が1人入ってくる。「おめでとう。今年もよろしく。」手を挙げて、入り口近くの席に座る。」「忙しい?。」とママさんが声をかける。「いや〜、百貨店さんは人が多いようじゃがのう。」「みんな福袋を買うてじゃけえねえ。」「すごいよのう。」・・・この店は駅前のお店や市場の人たちが、昔から通っている店だ。このお客さんもその1人なのだろう。

若い男性客が大きな鞄を持って入ってくる。「エッグセットちょうだい。」・・・エッグセットは、卵のホットサンドイッチにフルーツとコーヒーのセット。モーニングっぽいが、一日中やっているメニューだ。「今日帰るん?」「これから。」・・・帰省を終えて、新幹線で帰る人なのだろう。昔からのお客さんのようだ。美味しい卵サンドを食べてから、広島を後にする・・・う〜ん、しみじみするぞ。

年配女性が1人で入ってくる。「本年もよろしくお願いします。」と丁寧な挨拶をしている。座ると同時に、タバコに火をつけて一服。「ミルクコーヒーね。」・・・ミルクコーヒーだ!この店にはミルクコーヒーというコンデンスミルクを入れた甘いコーヒーがある。それとは別に牛乳コーヒーというカフェオレもあってちょっとややこしい。・・・それにしても、この店にいるだけで、広島を感じることができるようだ。店の歴史とはそういうものなのだろうか。
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高校サッカーがハーフタイムに入ったことろで、席を立つ。「ごちそうさま。」「ありがとうございます。」・・・店を出る。目の前を路面電車が通り過ぎていく。

帰る前に、近くの猿猴川に出てみる。橋の上に立つと、冷たい風が吹いてくる。川面が光っている。広島の街が川に沿って広がっている。いつまで見ていても、見飽きない風景だなと思う。
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市松寿司
広島県広島市中区基町6−27 広島そごう地下1階
082−512−7967

純喫茶「パール」
広島県広島市南区松原町5-4  
082-263-2171

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この記事へのコメント
あめの休日どのようにお過ごしですか。
Posted by イーデザイン 評判 at 2012年06月17日 11:04