2010年02月03日

自分の人生・・・阿佐ヶ谷「アルフォンソ」

DSC01004今日(2日)も昨日に続いて、4時起きで早朝からの勤務。午後になると、少々疲れが出てくる。それでも、頑張るしかないので、夕方まではお茶を飲む時間も惜しんで仕事。その甲斐あって、とりあえずの区切りがついたのが午後7時30分。昨日よりも2時間ぐらい早く職場を出ることができた。

朝は路面に残った雪をざくざくと踏んで、駅まで歩いたが、帰り道はもう雪もほとんど残っていない。朧に霞んだ月が印象的な夜だ。山手線に乗って新宿へ。新宿から三鷹行き各駅停車に乗り換えて阿佐ヶ谷へ。

阿佐ヶ谷駅に着いたのは、午後8時40分過ぎ。北口に出て、スターロードへ。少し歩くと、バー「アルフォンソ」の看板の灯りが見える。なんだかほっとする。今日も仕事が終わった・・・。ドアを開ける。カウンターには3人のお客さんがいる。真ん中のお客さんが吸う煙草の煙の向こうにマスターの顔が見える。「いらっしゃいませ。」

3人のお客さんは、少しずつ間隔を開けて座っているので、どこに座ろうか少し迷う。3人はお互い顔見知りらしいので、間にはいるのを遠慮して、一番奥の席に座ることにする。マスターがおしぼりをすっと差し出しながら、「お仕事、お疲れ様でした。」と声をかけてくれる。「どうも。昨日、今日と朝が早いので、少々疲れ気味です。」と答える。「明日も早いんですか?」「あと、2日ぐらいは4時起きです。」「頑張ってください。」

「生ビールをお願いします。」「かしこまりました。少々お待ちください。」・・・マスターはまず隣のお客さんのショートカクテルを作り始める。ビールを待つ間、棚のボトルを眺める。入口側にはシングルモルトウイスキー、その次にブレンディッドウイスキーとアイリッシュウイスキー。真ん中当たりにリキュール類。奥の棚、つまり自分の正面辺りがバーボン。

「お待たせしました。どうぞ。」生ビールが届く。冷たいビールが乾いた喉を潤していく・・・美味しい!「昨夜の雪は大丈夫でしたか?」とマスター。「ちょうど激しい時間だったんですけど、電車も止まらなかったし、阿佐ヶ谷でもタクシーにすんなり乗れて、大丈夫でした。」「私は明け方帰ったんですけど、駅周辺は歩くのには支障がなかったですね。」・・・昨夜はあれから、阿佐ヶ谷駅でタクシー待ちの列に並んだのだが、タクシーがどんどん来てくれたおかげで、5分くらい待っただけですんだ。その時は凄まじい雪になっていて、新青梅街道は、もう真っ白。運転手さんも「お客さんを最後にして、家に帰りますよ。」といっていたくらいだ。
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マスターはすべての客に平等に話しかけるので、話が一段落すると、隣のお客さんの前に移動してしまう。一人になったので、ビールをゆっくり飲みながら物思いに耽る。今日の仕事のこと、明日の予定・・・。頭から仕事が離れないなあ・・・。ビールをもう一口。

カウンターの中央に座っていたお客さんが、ほぼ同時に席を立つ。「もう一度行ってみるよ。」「お気をつけて。行ってらっしゃい。」というマスターの声に送られて店を出て行く。どうやら他の店で食事をするらしい。「席を1つずれてもいいですか。」とマスターに問う。「どうぞ。」・・・奥から2つめの席に移る。一番奥の席はカウンターの下が、出入り口になっているので、自分がずっと座っていると、マスターがカウンターから出られないのだ。「気を使ってくださってありがとうございます。」マスターが笑顔で言う。

さて、ビールの次は何にしようかな。目の前の棚にバーボンが並んでいる。今日は久しぶりにバーボンを飲もうかな。「すみません。エライジャ・クレイグをソーダ割りでお願いします。」と注文。・・・最近、バーボンはほとんど飲んでないなあ。「エライジャ・クレイグ」も何年か前に、野方のピュアで飲んだのが最後だ。・・・「どうぞ。」エライジャ・クレイグのソーダ割りが届く。濃い赤みがかった色。甘い香り。さて、一口・・・いい香りだなあ。香りがソーダによって沸き立っているようだ・・・やや重みのある味わいもいい。美味しいなあ。
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入口近くの席のお客さんも席を立つ。「じゃあ、また明日。」と言って店を出て行く。店の中はマスターと自分と2人だけ。・・・「最近、ボルダリングのジムに通い始めたんですよ。」とマスター。「へぇ〜、ボクササイズもやってましたよねえ。」「ボクササイズも週に1回通っていますよ。」「両方やってるんですか!すごいなあ。ボルダリングってあの壁をよじ登るやつでしょ。」「ええ、上半身を鍛えようと思ってボルタリングを始めたんですが、なかなか最初はうまくいきませんね。分かってても、腕が動かないんですよ。」「なるほど。」

エライジャ・クレイグのソーダ割りをおかわり。「で、何のために上半身を鍛えようと思ったんですか?」「別に何のためでもありません。筋肉を見せたいという気もありませんしね。ただ、身体を動かして、鍛えるってことが大事だと思うだけです。」「ふ〜ん。そうか・・・。」「自分の身体、自分の人生ですからね。」

「最近、仕事のことばかり考えてませんか?」と笑顔でマスターが言う。「そう・・・かな。」「仕事は一生懸命やるべきですが、それだけじゃあ寂しいですよね。」「そりゃあそうですよね。」「自分のためになることも、少しはとり入れてもいいんじゃないですか。自分の人生ですから。」・・・また、お見通しか・・・。余裕を持たなきゃな。ありがとう、マスター。

「じゃあ、この辺で帰ります。」「ゆっくり寝て、明日も頑張ってください。」「ありがとう。じゃあ、また。」「お気をつけてお帰りください。」

外に出る。今夜も冷えるなあ・・・。マフラーを首に巻き付ける。・・・余裕か。とにかく、今夜はマスターの言うようにゆっくり寝よう。明日は明日。そう思うと、少し気持ちが軽くなる。朧に霞んだ月をもう一度探す。

東京都杉並区阿佐谷北2-2-1
03-3330-5602

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この記事へのコメント
私は阿佐ヶ谷は近くですが、何せ下戸なので残念ながらアルフォンソにも行けないのですが、お酒飲めるなら行ってみたいなあってお店だなあってブログ読みたびに思います。

「仕事は一生懸命やるべき、でも、それだけじゃ寂しい」

寄り道さんの文章からはいつもマスターの仕事ぶりが見えてきます。そのマスターの語るところの言葉ゆえに深みがあります。一見矛盾するかのような上の言葉ですが、実際にボルダリングやらボクササイズやら実践しているマスターからして、矛盾させてないんだなあって感心させられます。
Posted by ファンの一人 at 2010年02月03日 18:53
ちょっとこの日記とは外れてしまうのですが
春日部の丸金を検索していたら、寄り道さんのブログがヒットして、びっくり
僕の父親は、春日部でラーメン屋をやっていて、
来年で開業五十年。

そんな昔かたぎの父親が絶賛するもつ焼きが
丸金なんですよ。

丸金さんも結構昔からやっていて、
独自の仕入れのルートを持っているそうです。

実は、僕自身はまだ行ったことがありません。
次の休暇では、真っ先に駆けつけたいと思います。
(とは言っても、一番最初は実家の餃子にビールですが!)
Posted by 春日部のわだりん at 2010年02月04日 09:36
ファンの一さん、こんにちは。

「アルフォンソ」のマスターは努力家なので、学ぶところが多いです。
話をしているだけで、楽しいですしね。

アルコールが飲めなくても大丈夫ですよ。
ノンアルコールのカクテルもありますし・・・。
マスターと話しにぜひ行ってみてください。
Posted by 寄り道 at 2010年02月05日 15:00
春日部のわだりんさん、こんにちは。

お父様のお店、美味しそうですね〜。
自分もお店で「餃子にビール」を頂いてみたいです。

開業五十年。素晴らしいです!
お父様の味を楽しめるというのは、幸せですね。
うらやましいです。
Posted by 寄り道 at 2010年02月05日 15:04