寒い日のホットウイスキー・・・中野「ブリック」
今日(6日)は土曜日だが、通常通りの勤務。昼食時に外出した同僚が、「今日は寒いよ〜」「風が強いし、気温も低いね。」などと寒さを訴えている。暖房の効いた部屋の窓からは、よく晴れたのどかな風景に見える。そんなに寒いのか・・・。そう思いながらも、午後の仕事をこなすうちに外の寒さのことは意識しなくなる。
午後6時過ぎ、仕事を終えて職場を出る。おお!・・・空気が凍っている。冷たい風の中を歩いていると、手の指先が凍えてくる。これは、この冬一番の寒さだ。目黒駅前のロータリーでは、人々が走っている。寒いからゆっくり歩いていられないのだと思われる。震えながら、ホームで電車を待っていると、ビュンビュン風が吹いてくる。隣で待っている人は足踏みをしている。早く、早くぅ〜。
電車に乗っても、いつものように身体が温まらない。やっぱり今日は特別だなあ・・・。座席に座っている人も腕組みをしている人が多い。電車の中も静かだ。新宿で中野行き各駅停車に乗り換え。土曜日は、ちょっと遠くまで寄り道をしたくなるものだが、今日はその気にならない。いつもの「ブリック」で少し身体を温めてから帰ろう。ホットウイスキーが頭の中をよぎる。
中野駅北口ロータリーは、いつもの土曜日よりも人通りが少ない。パフォーマンスをするグループもも見当たらない。寒々とした風景だ。横断歩道を渡る。いつもなら必ずいるティッシュ配りの人たちは、中野サンモール商店街のアーケードの中に移動している。吹きっさらしのローターリーにはさすがに今日は立っていられないのだろう。ますます、今日の寒さを実感する。
ブリックの前に立つといつものように、ドア係のバーテンダーさんがすっと内側にドアを引いてくれる。「いらっしゃいませ。」「こんばんは。」・・・カウンターには2人組が入り口側に座っているのみ。テーブル席は6人くらいのグループ1組。土曜日の7時過ぎにしては、お客さんは少ない。いつもなら、1階は満席で2階にもたくさんのグループが入っている時間だ。やっぱりこれも寒さのせいだろうと思う。
入り口側の若いバーテンダーさんの前の席に座る。おしぼりが出てくる。手を拭きながら「今日は、本当に寒いですね。」と話しかける。「そうですね。風も強いですしね。お客さんも、今日は家から出たくなくなりますね。」・・・そうだよなあ。「今日はまずホットウイスキーにしたいんですけど。」「はい、出来ますよ。」「じゃあ、カナディアンクラブでお願いします。」
ホットウイスキー用のグラスが用意される。カナディアンクラブがシングルショット入れられ、ポットのお湯が注がれる・・・湯気が立ち昇る・・・温かそう〜。「どうぞ。」・・・来た、来た・・・一口・・・熱すぎないように温度を抑えてあるのがいい・・・カナディアンクラブの香りが温められて、口の中でほわっと広がる・・・お腹の中から温まる感じ・・・美味しいなあ。「寒いときには、ホットウイスキーも美味しいですよね。」とバーテンダーさん。「美味しいですねえ!」
寒くてもいつもは、まずモルツビールなのだが、今日はさすがにその気にはならなかった。今日はホットウイスキーが本当に美味しい。お通しが届く。「ポテトサラダ」だ。一口・・・自家製のマヨネーズの旨味とポテトのバランスが素晴らしい。ファンが多いのも頷ける。ホットウイスキーにもよく合う。美味しいなあ・・・。
「この前の雪の日、ちゃんと帰れましたか?」と聞いて見る。「ええ、なんとか帰れました。」この店は12時閉店だから、一番雪が激しい時間帯だったはず。「11時過ぎでも、雪はもう積もってましたから、1時過ぎは大変だったでしょう。「靴の中まで濡れました。」「そうでしょうね〜。」「水曜日も雪が降りましたよね。」「予想してなかったんで、びっくりしました。」・・・
やきやの縄のれん越しの雪景色を思い出す。
それにしても店内は静かだ。いつもなら、笑い声が響いているのに、今日はお客さんたちも、声を抑えて話している。カウンターのお客さんの1人が「どうもすみません。」と言う。一瞬、自分に話しかけているのだとは思わなかったが、どうやら自分の方を向いているようだ。「えっ、なんでしょう。」「うるさくて、すみません。」「いや、そんなことないですよ。」「静かに飲もうと思って、この店に来たんですが、慣れなくて、つい大きな声を出してしまうんですよ。」「今日は、店の中が静かなだけです。大丈夫です。気にしないでください。」
ホットウイスキーをおかわり。カウンターの2人客が席を立つ。「うるさくてすみませんでした。」とバーテンダーさんに頭を下げている。続いて自分にも・・・。バーテンダーさんも自分も「そんなことないですよ。」と答える。・・・2人は50代半ば。「大丈夫か。気をつけろよ。酔ってないか?」と「大丈夫だ。お前はどうだ。」とお互い相手を気遣っている。「お前」と言い合える友達同士。何だかうらやましくなる。「お気をつけて。」と声をかけると、「どうも。おやすみなさい。」と言って、肩を組み合うようにして店を出て行く・・・友達っていいな。
また店がしんとする。2杯目のホットウイスキーを飲み終えたので、次は違うものを・・・。「タンカレーをオンザロックで。ライムをカットしてつけてください。」と注文。「
ペルル」でご馳走してもらった「ジンライム」を再現するつもり。「ライムはこちらで搾りますか?」とバーテンダーさん。「自分で搾ります。」と答える。タンカレーと氷の入ったロックグラスに、カットしたライムが添えられて出てくる。
ライムを搾りいれて、一口・・・爽やかだ・・・ジンの癖のある味がライムの酸味で爽やかな味に変わっている・・・美味しいなあ。もう一口飲んだ後、さらにライムを搾り入れる。こんどはほのかな苦味も加わって、味わいが深くなる。いいなあ・・・。ホットウイスキーで身体を温めた後、さわやかなジンライム・・・たまらないなあ〜。
テーブルのお客さんたちは、50代後半だと思われるが、地元の同級生グループのようだ。女性は和服姿、男性たちもダンディだ。昭和40年代の中学時代の話のようだ。「そうだ、思い出したよ・・・」「そうだったよな〜」などと懐かしそうに話が弾んでいる。・・・いつまでも、こんな風に話ができる同級生がいるなんていいよなあ。
ジンライムを2杯飲んで、今日はここまで。「ごちそうさま。」「ありがとうございました。寒いですから、気をつけてお帰りください。」「身体が温まったので、ちゃんと帰りますよ。」「そうですね。」
外に出る。店の中との温度差を感じる。やっぱり寒いなあ〜。早く帰ろう。急ぎ足で駅へと向かう。ふと、こんな寒い夜にみんなで走った中学時代の帰り道を思い出す。「寒いけえ、走って帰ろうや。」・・・誰かが言った言葉を思い出す。
Posted by hisashi721 at 17:30│
Comments(6)│
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いいですねぇ。
ホットウイスキーにポテサラ・・・
締めにタンカレーでジンライムですか☆
最高ですね。
先日はお誘い頂き、とっても嬉しかったです♪
今、ちょっと飲めない事情がありまして・・・
残念!!!
あ、体を壊してとかの理由ではないのでご安心下さいね。
せめて寄り道さんのブログで
酔いの気分を味あわせて頂きます☆
じゃんじゃん飲んでくださいね♪
あ〜ドライマティー二が恋しいなぁ。
年末年始帰広されても精力的に街歩きをされていましたね。先日そごうの「市松寿司」に行きました。回転鮨なのに注文の都度職人さんがケースからネタを出して目の前で握ってくれました。美味しかったですよ。
尚、「アッセ」は広島駅でそごうは「アクア」です。
ブリックは何度か足を運んだことがあります。この店が静かな感じになると、確かに、ちょっとした声が響いてしまって慣れない人は「すいません・・・」ってなるかもしれない(笑)。
でも、同級生グループとか、「お前」と呼び合う同士とか…、ブリックは一応バーではあるんだけど、バーという先入観からは想像つきにくい組み合わせの人たちなんだけど、このお店に合いますよね。
いのこ♪さん、こんにちは。
お酒が飲めないのは辛いですね〜。
でも、病気とかが原因ではないということなので、安心しました。
飲める状況になりましたら、是非!
それまで、マイペースで飲んでますね。
ブログをよろしくお願いします。
志ん朝命さん、こんにちは。
お久しぶりです。
「市松寿司」、いいですよね〜。
狭いですが、それもまた職人さんと近くていいです。お盆に帰省したら、真っ先に行きたいと思います。
朝10時からビールを飲めるのも嬉しいです(笑)
「アッセ」と「アクア」を混同してしまいました。昔は駅ビルとセンター街でわかり安かったんですけどね。
「アクア」の広島ランメンが無くなっていたのは残念でした。
ファンの一人さん、こんにちは。
ブリックは気取ってないですからね。
どんな人でも気軽に楽しめます。
時々、緊張しているように見えるお客さんを見かけますが、大丈夫ですよと声をかけたくなります。
仰るとおり、仲間でわいわい飲むのが似合う店ですね。
1人で飲んでいると、時々羨ましくなってしまいます。