2010年02月13日

寒い日には・・・新宿「ぼるが」

DSC01158今日(12日)も、午後になって少し雪が舞う天候。東京の寒さは当分続くそうだ。今日は何事もなく順調に仕事も進んだ。新宿駅に降り立ったのは午後6時頃。雨や雪は降っていないが、空気はとても冷たい。地下通路を通って、小田急ハルクの横から地上に出る。ここから西武新宿駅は近いのだが、歩くのもうんざりしてしまうような寒さだ。

いつもなら、横断歩道を渡って、パレットビルの横から「思い出横町」に入り、どこで飲もうかなと、きょろきょろしながら歩くところだ。だが今日は、小田急ハルク裏の「ぼるが」に行ってみようと思っている。時間もまだ早いし、カウンターでのんびりビールでも飲みたい。マクドナルドの横の通りから「ぼるが」に向かう。

先週、今週と、ハードな日々が続いたせいだろう、今日はとにかく疲れている。誰にも気を使わないで、しばらくぼんやりしたい。「ぼるが」が近づいてくる。なんだか雰囲気が違うような気がして、店を眺める。ん、なんだろう・・・。あ、そうか、蔦がなくなっている。「ぼるが」というと、蔦に覆われた建物をすぐに思い出すのだが、とてもすっきりしている。そうなると、入口の上の「ボルガ」という赤い片仮名の文字かくっきりと目立つ。横の電気看板には平仮名で「ぼるが」。

ドアを開けて中に入る。店は1階のテーブル席に2組、カウンター席に5人。1階奥のスペースや2階にもお客さんが入っているようだ。「こんばんは。」とカウンターの中、入口横に立っているマスターに挨拶する。すると奥にいた若い男性店員さんが「何名ですか?」と声をかけてくる。「1人です。」「じゃあ、カウンターの角の所にお願いします。」L字型カウンターの縦棒のつけ根の席に案内される。

「ビールを・・・。」「生ビールですね。」「ええ。」・・・椅子に座りながらのやりとり。椅子は高めなので、安定するまで何度か態勢を変えつつ調整する。L字型カウンターの横棒には70歳くらいの男性と65歳くらいの男性が2人座っている。2人が自分に軽く会釈をしてくれる。「ああ、どうも。失礼します。」とこちらも挨拶する。

「生ビール」とお通しが届く。生ビールを一口・・・美味しいのだが、飲めば飲むほど、自分が疲れているのが分かる感じ・・・はぁ〜。お通しはイカと大根の煮付け。この組み合わせ、確か昨日も・・・。大根を一口・・・あまり甘くない味付け。さっぱりした味だ。生ビールをもう一口。ぐびっ。
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では、つまみを・・・。壁に貼られたメニューを眺める。一皿500円均一。すぐに決める。「すみません。湯豆腐をお願いします。」注文は、入口横奥の厨房に伝えられる。また、生ビールを一口。正面の壁に、種田山頭火の句が書かれた額がかかっている。「落葉ふる奥ふかく御仏を観る」とある。・・・そういえば、山頭火は若い頃、家業の酒造業を手伝っていたんだったけ。・・・「ほろほろ酔うて木の葉ふる」という句もあったよな・・・。

「湯豆腐」が届く。茹でた豆腐の上に、葱と削り節がたっぷりかかっている。醤油のタレにつけて、一口・・・温かいなあ・・・ほっとする味だ。ビールがなくなったので、次の酒を・・・「すみません。焼酎のお湯割りをお願いします。」「芋、麦、米があります。」「麦で。」「はい、麦のお湯割りですね。」
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次々にお客さんが入ってくる。予約のお客さん。1階奥か2階に通される。ほとんどが60代のお客さん。一度にこんなにたくさんの60代の人を見るのは初めてかもしれない、と思うほどだ。男女比は7対3。時々、「へぇ〜、渋いわねえ。」「だろ。」という雰囲気の若いお客さんも混じる。

麦焼酎のお湯割りが届く。レモンも梅干しも入っていないので、見た目はグラスに入ったお湯のようだ。一口・・・これは身体が温まるなあ・・・麦だからさっぱりしてるし、美味しい!西新宿の夜の風景を眺めながら、湯豆腐をつまみに、焼酎のお湯割りを飲む・・・最高じゃないか!
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いつもはあまり飲まないのだが、焼酎のお湯割りが意外と美味しいので、ついおかわりをしてしまう。つまみをもう一つ・・・「すみません。おからをお願いします。」・・・この店は家庭料理的なおつまみが多い。「おから」も素朴な味わいなのではないだろうか。焼酎におから・・・この組み合わせは初めてだな。

1階のお客さんは、ほとんどが酎ハイを飲んでいる。ピーナッツを囓りながら酎ハイという渋いお客さんもいる。つまみは「やきとり」が多い。自分がこの店で美味しそうだといつも思うのは「手羽先」。ただ、食べるのが面倒くさそうなので注文しないのだが・・・。日本酒を飲んでいるお客さんがいないのが寂しい。・・・と、思っていたら、「最後に、ちび酒ね。」と右隣のお客さんが注文。「ちび酒」とは、小さいお銚子に入った日本酒のこと。なんだか、ほっとする。

「おから」が届く。一口・・・予想通りの素朴な味。ほのかな甘味がいい。これはなかなか美味しい・・・焼酎、焼酎。いいなあ〜。焼酎2杯では終われそうもないなあ〜。外は寒いし、もう少し温まっていくかな。・・・「すみません。麦のお湯割り、おかわりお願いします!」
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カウンターの70代の男性客は、ショートホープを吸っている。紺色のブレザーが決まっている。きっと学生時代から、この店でこのスタイルだったのではないかと思わせる。酎ハイをゆっくり飲みながら、物思いに耽っているようだ。そう!この雰囲気が「ぼるが」なんだ、と思う。

お湯割りを3杯飲んで、今日はここまで。席を立つ。マスターに「ごちそうさまでした。」と声をかけて外に出る。

ビルの谷間の冷たい風が身体に痛いほどだ。それでも、歩き始めると、酔いのせいか気持ちがいい。青梅街道に出る。人々が急ぎ足で駅に向かっている。ほろほろ酔うて・・・人々の波の中に飲み込まれてゆく・・・。
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東京都新宿区西新宿1-4-18
03-3342-4996
17:00〜23:00
日・祝休

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