2022年12月01日

坂の途中に・・・参宮橋「さつき」

IMG_20221130_195910渋谷、ハチ公前スクランブル交差点近くのバス停にいる。もちろんすごい人出。暗い空と輝く地上のコントラストの中、ぼんやり午後740分発「新宿駅西口」行きバスを待っている。昼間の気温は20℃を超えていたらしく、気温が下がったこの時間も寒くはない。11月の最後の日(30日)だというのに、コートも着ていない。明日から12月、急に寒くなるとのこと。今夜は秋の最後を楽しもう。

 

バスが来る。降りるお客さんが先なのはわかっているので、そのまま空を眺めている。しばらくして乗車を促されて、乗り込む。自分の後に2人ほど続いて乗車して来る。座席に座って、ほっと一息。新しくできた高層ビルなどを眺めているうちに、バスはゆっくり動き始める。いつも思うのだが、この人混みを縫って走るバスはすごい。特に支障なく、バスはNHK放送センターに近づく。

 

代々木公園の横を走り、バスは参宮橋の駅を目指す。途中のバス停で7.8人のお客さんが乗ってくる。ぼんやりと車窓を流れる風景を眺める。この時間が割と幸せであることに気づく。

755分、参宮橋バス停に到着。小田急線の「参宮橋駅」の方に戻り、坂を降りる。駅の横を通って商店街へ。駅近くの町中華が賑わっていて心引かれる。さらに二股に分かれている道を左へ進む。今度は坂を少し上る。あまりに地味すぎて通り過ぎてしまいそうな店構え。今日は「さつき」に寄り道だ。


ドアを開ける。入り口から奥に向かってカウンターが奥に向かって8席ほど続いている。カウンターの中が厨房。奥は広くなっていて、奥左が小上がり座敷、右がテーブル席。カウンターには誰もいない。奥の小上がりの様子は見えないが、賑やかな声が聞こえてくる。テーブル席には1組のお客さんが見える。カウンターの奥にいるママさんに「こんばんは。」と声をかけると、自分が1人であることを確認して、「いらっしゃい。カウンターにどうぞ。」と迎えてくれる。暖かい雰囲気にほっとする。カウンターの奥から3番目に荷物置き、4番目の席に座る。すぐにママさんがおしぼりを出してくれる。

 

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「生ビール(ジョッキ700円)をお願いします。」と注文する。ママさんがにっこりして「生ね。」と答えてくれる。カウンターはアクリル板で奥から2席、3席、3席と緩やかに区切られている。その真ん中の3席分を自分が占領しているので、ゆったりとできる。生ビールが届く。一口と行きたいところだが、お通し(400円)を待つ。「どうぞ。」とママさんが煮物の小鉢を置いてくれる。さて、ビールを一口・・・ふぃ〜。今日もお疲れ様、自分。

 

さて、料理を。目の前でマスターが料理を始めたので、「どじょうの唐揚げ、お願いします。」と直接注文する。「今日は河岸の関係で、どじょうが入ってないんだよ。」・・・どじょう料理を楽しみにしていただけに。絶句してしまう。気を取り直して、「そうですか。じゃあ、とりの竜田揚げを。」「とりも今日は入ってないんだよ。」・・・なんとな。とり料理も楽しみにしていたのに・・・。ママさんが気の毒そうに、「ホワイトボードのメニューとかはあるわよ。」と言ってくれる。刺身や生牡蠣などが書いてある。う〜ん。「じゃあ、たこ刺し(650円)をお願いします。」・・・咄嗟に注文してしまったが、たこ・・・ねえ。

 

IMG_20221130_200443たこ刺しが届く。山葵醬油をつけて、一口・・・ん!これは、上品な甘みを感じる・・・美味しいなあ。この一年間で食べたたこ刺しの中で一番美味しいと言っていい・・・もっとも、そんなにたくさん食べたわけではないが・・・。とにかく美味しいのでどんどん食べてしまう。もう一品・・・「マスター、肉どうふ(450円)。を」「はい。」

 

 

ドアが開いて、年配の男性が入ってくる。「一人いけますか?」関西弁。ママさんが「どうぞ」と笑顔。ちょっと迷って、入口近くのカウンター席に座って「生」と一言。その後、鼻歌みたいなのを歌ってみたり、店を眺めまわして「ん、ほー」などと呟いたり、鼻を啜ったりする。・・・わかる。初めての店で一人だと、どうしていいかわからなくなって、こういうことをしてしまいがち。そこにスマホに電話がかかってくる。「あー、どないや」・・・ほっとした雰囲気が漂う。

 

IMG_20221130_201748肉どうふが届く。肉は鶏肉。ここで鶏に出会えた。豆腐を一口・・・比較的さっぱりとした味付け。くどくないのがいい。これは美味しい。さて、生ビールも無くなったが、次は・・・。奥のお客さんの注文は大体、芋焼酎のお湯割り。どうしようかな。ふとカウンターの上を見ると懐かしいお多福の絵。広島の酒「千福」だ。こうなると飲みたくなる。「すみません。燗酒2合、お願いします。」と注文する。

 

IMG_20221130_201610燗酒が届く。徳利と盃に千福のロゴ。では、一口・・・ほわっと優しい香り。甘口の飲みやすい柔らかな味。いいねー。肉どうふも残っているけど、豆腐繋がりで、自家製の厚揚げも。「マスター、厚揚げ(450円)お願いします。」と注文する。揚げたての厚揚げ、楽しみだなあ。で、燗酒、燗酒。美味しい、美味しい。

 

 

IMG_20221130_204113厚揚げが届く。一口・・・熱々・・・ハフハフ・・・滑らかな絹ごしの美味しさ・・・これもいいねえ・・・。ここで、2合の酒が終わり・・・あれっ、もう終わりか・・・「マスター燗酒1合(350円)で。」「はい。1合ね。」・・・うんうん。追加の1合が届く。味わねば。

 

最後は比較的ゆっくり飲んで、今日はここまで。「ごちそうさまです。」ママさんが「ありがとうございます。」と答えてくれる。「どじょう、食べたかったな。」とつい口に出してしまう。マスターが「すみません。また、お待ちしてますんで、その時は必ず。」「そうですね。楽しみにして、また来ます。」

 

外に出る。さっきより若干寒くなっているような気がするが、まだそれほどでもない。駅に向かって歩く。急行電車が駅を通過する音が聞こえてくる。その後は静かが街に戻る。秋は終わり。駅の灯りが暖かい。

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東京都渋谷区代々木5丁目55

 03-5453-7733

 


Posted by hisashi721 at 18:03│Comments(0)