2023年02月16日

至福の30分・・・門前仲町「大坂屋」

IMG_20230215_163411今日はどうしても水曜日でなければ済ませられない用事があったっため、午後130分に職場を早退し、新宿の某所に来た。夕方までかかるはずの用事が、なんともすんなり終わり、午後3時過ぎには新宿駅に戻って来た。早退したので気は引けるが・・・やっぱりせっかくだから、どこかに寄り道したい。どうしようかなあ・・・。

 

そこで思いついたのが、先週の水曜日に行ってみたら閉まっていた門前仲町の「大坂屋」。定休日でもなかったのになぜが閉まっていたのだ。今日はまだ早いので、もし閉まっていても、次にどこかに行けばいい。とりあえず、行ってみよう。山手線で高田馬場、そこから東西線に乗り換える。門前仲町までは約20分だ。

 

門前仲町駅到着。どこの出口から出ようかと少し迷う。少しだけ早く着いたので、街の雰囲気を味わいながら店に向かうことにして、4番出口を選ぶ。地上に出ると、先週傘を買ったドラッグストアがある。おせわになりました。永代通りと清澄通りが交差する横断歩道を渡る。それにしてもいい天気だ。真っ青な空が頭上に広がっている。自分と一緒に横断歩道を渡る小学生が飛び跳ねている。日差しは春だが風は真冬。寒い、寒い。

 

ゆっくり歩いて街の雰囲気を味わう。この辺りは道も広くて気持ちいいなあ。腕時計を確認すると午後3時55分。午後4時開店だから店の前で少し待つかな。小路に入るとすぐに店は見える。ドアが開いていて、男性が白い暖簾を出しているところ。男性?女将さんは?ちょっとした疑問を持ちながら、店に近づく。暖簾を出し終えた男性と目が合う。「こんにちは。まだ少し早いですね。」と声をかけると、「いいですよ。どうぞ。」との答え。半分開けたドアから女性の姿が見える。男性がその女性に「じゃあ。」と言って去る。


店の中に入る。当然ながら先客はいない。「すみません。早く来てしまいました。」「いえいえ。いらっしゃいませ。こちらにどうぞ。」懐かしの鍋前正面の席。緩やかにカーブしているメインカウンターの真ん中だ。コートを脱いで、鞄と共に入り口横の棚に置く。「お飲み物はどうなさいますか?」右手の壁に貼られたメニューを見る。日本酒とビールと焼酎。以前と変わっていない。「ビールの小瓶(キリン550円)と焼酎(450円)をお願いします。」と注文する。

 

IMG_20230215_155900ビールの栓をポンと抜いてくれて、グラスと共に届けてくれる。同時にお通しのお新香(大根)が置かれる。わーい、懐かしいなあ。焼酎がグラスに注がれ、梅エキスを少し加えてくれて、「どうぞ。」・・・ビールをチェイサーにして焼酎を飲むつもり。では、まず、ビールを一口・・・よく冷えていて申し分なし!次に焼酎を一口・・・くぅ〜、これはガツンと効くねぇ。美味しい!お疲れ様。自分!

 

IMG_20230215_155955煮込み(1串200円)は5本でいいですか?」「はい、お願いします。」目の前の大鍋を菜箸で少しかき混ぜた後、皿に一本ずつのせていく。ナンコツ1本にフワ(肺)2本、シロ2本だ。「どうぞ。」「ありがとうございます。」・・・ああ、これだ。串に刺さった牛もつの煮込み。濃厚な味噌ベースのシチューのような汁で煮込まれた大ぶりの串。もうたまりません。早速、フアから行きますよー。弾力のある歯応え、「牛もつ」らしい風味。甘辛い濃厚ダレに絡まってたまらない美味しさ。焼酎、焼酎。はー、うめ〜。寒い風の中を歩いて来たので、温かい煮込みがまた身に沁みる。

 

IMG_20230215_155959「今日は寒かったですね。」と話しかけられる。「もう、耳がちぎれそうなほど風が冷たかったです。」「本当に。」「先週、お休みでしたか。」「ええ金曜日はお休みをいただきました。」・・・ということは自分が来た水曜日は営業してはいたが早仕舞いだったのだろうか。午後7時は軽く回っていたからな。これ以上追及するのも野暮なので、自分なりに考えて納得する。お陰でいい店にも行くことができたし・・・。

 

「すごく久しぶりなんですよ。」「そうなんですね。どれくらい前ですか?」「えーと、女将さんがスペインに旅行に行った頃です。]「わー、それは随分前ですよね。」「2005年ですかね。」「母は旅行好きで、随分色々なところに行ったんですよ。」・・・」ああ、そんなんだ。娘さんなんだな。「女将さんはお店には・・・。」「ちょっと体調を崩してまして。」「そうなんですね。」・・・ついこの前、この席で女将さんと話しながら飲んでいたような気がする。店の中も変わっていない。でも柱のカレンダーの日付が違うように、確実に時は流れている。この瞬間を味合わねば・・・。

 

それにしても、煮込みは美味しい。ナンコツは相変わらずコリコリとした食感がいいし、シロときたら脂肪の部分がぷっくりと花のように開いて、脂の甘みが美味しい、美味しい。それに焼酎はすごく合う。さらにビールを流し込めば至福の世界が広がる。昼食を抜いていたせいもあってか、どんどん食べてしまう。

 

店はメインのカウンターの他に、入り口左手の壁沿いにサブカウンター、そして奥にちゃぶ台のある座敷がある。自分の座っているメインカウンターは6席。2席ずつアクリル板で区切られている。壁には「コロナ禍で滞在時間を1時間以内にしてください。」と書かれた貼り紙。「コロナで去年や一昨年は大変だったでしょうね。」「ええ、店を閉めざるを得ない時期もありましたから。」

 

ここまで滞在時間20分くらい。「焼酎のおかわりお願いします。それから、シロとフワを2本ずつ追加で。」「はい。」・・・ああ、居心地がいい。煮込みも美味しいし、焼酎もうまい。何より雰囲気がいい。会話も自然にできるし、黙っていても気まずく感じない。最高じゃないか!2杯目の焼酎を飲みながら、身体全体がリラックスしているのを感じる。「このシロ、プリップリでしょう。」と女将さんの娘さん。「本当に、美味しくて、何本でもいけそうですね。」「ふふふ。」・・・いい感じ。
 

IMG_20230215_161458ドアが開いて、50代くらいの男性が入ってくる。ちょっと緊張気味。自分の左隣の席に促されて座る。「お飲み物は?」「あっ、ええと・・・ビールで。」「大瓶でいいですか?」「はい、大瓶で。」「煮込みは一人前5本でいいですか。」「は、はい。」・・・ビールの大瓶はサッポロラガー。そこに、20代後半と思われる男性客が入ってきて、自分の右隣に座る。こちらも緊張気味。「お飲み物は?」「えーーー、だいびんで。」「大瓶ですね。」「あっ、ええ。」・・・初めてのお客さんたちだな。最初は緊張するよなー。でも初めてなのに変にリラックスしてる振りをする人よりも気持ちがいい。

 

さて、自分はこの辺で。午後430分。こんなもんかな。「ごちそうさまでした。」「ありがとうございます。またおいでください。お待ちしています。」・・・席を立ってドアを開ける。すると60代後半くらいのおじさんが中を覗っている。「いっぱいだよなー。うん。」と独り言。「え?2人だけしかいませんよ。」と話しかけると。ドアをそっと閉めて、「やっぱり、いっぱいだ。やめとこう。」と呟く。・・・入る勇気がないんだな。勿体無い。こんないい店なのに・・・。

 

駅に向かって歩き始める。風は本当に冷たい。でも、まだ街は明るさを保っている。確実に日は長くなり、春が近づいている。

 
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東京都江東区門前仲町2丁目912

03-3641-4997


Posted by hisashi721 at 12:59│Comments(0)