2023年04月23日

形は変われど・・・北千住「酒屋の酒場」

IMG_20230422_182532土曜日(22日)。長くてハードな1週間がやっと終わり、職場を出たのが午後345分。目黒駅までのバスの中で、寄り道先を考える。今日は地下鉄千代田線沿線にしようかと、なんとなく考えている。目黒駅到着。地下鉄南北線のホームへと向かう。程なく「赤羽岩淵」行き電車が入ってくる。

 

「白金高輪」駅で都営地下鉄三田線に乗り換える。2分ほど待って「西高島平」行きに乗り込む。始発なのでゆったりと座れる。「大手町」駅で千代田線に乗り換え。少し歩いてホームへ。すぐにJR常磐線直通「我孫子」行きが入ってくる。こちらの電車は少し混み合っている。ドア近くに立って、路線図を眺める。新お茶ノ水、湯島、根津、千駄木、西日暮里、町屋、北千住・・・。なんと魅力的な名前の駅が続いているのだろう。どこで降りるか迷うじゃないか。

 

駅に着くたび毎に、ここで降りようかと思ってしまう。ただ、次第に「北千住」まで行こうと思い始める。落ち着いた店で静かに飲むより、ワイワイした雰囲気がいいなあ。そうなると久しぶり「大はし」に行ってみようかな。「牛煮込み」で焼酎が飲みたい。よし、決定。北千住へGo

 

IMG_20230422_183429北千住駅到着。時間は午後52分。微妙な時間だなあ。開店直後のお客さんがまだしっかり飲んでいる時間。席が空いてるといいけど・・・。西口2番出口から地上に出る。夕方というには明るすぎるくらい。昨日までより少し肌寒いが、コートなしでも大丈夫。いい季節になった。西口ロータリーを時計回りに進んで「きたロード」商店街に向かう。途中、左手の「天七」と「千住の永見」という有名店がある小路がある。心惹かれるが、まあ、今日は初志貫徹で。

 

IMG_20230422_170902「きたロード」をしばらく進んで、右折。宿場町通り商店街に入る。ああ、こんな感じだったなと記憶が蘇る。さて、この辺に「大はし」はあるはずだが・・・記憶通りに場所に店はあった。しかし、暖簾が出ていない。シャッターに2枚の貼り紙が・・・1枚目「二十二日(土) 二十三日(日)」2枚目「誠に勝手ながら 休ませて 頂きます」・・・なんですとぉ・・・超久しぶりに来たのに、ピンポイントで臨時休業の日に当たってしまうとは。通りを歩いている人がこちらを見てしまうほど、肩を落とす。


とはいえ、すぐに次のプランが浮かんでくる。よし!「酒屋の酒場」に行こう!このブログで行った店の中で一番思い出深く、そして癒された店はどこかと言われれば、この店を推す。もう一度行きたいと思いつつ、店の建て替えと代替わりで、当時の雰囲気は無くなってしまったのではないかと思い、行くのを躊躇していたのだ。でも、これはいい機会。新しい店にも行ってみようじゃないか。わーい、楽しみ、楽しみ。

 

「きたロード」に戻り、さらに西へ歩く。日光街道を渡り、しばらく歩く。目の前を歩いている大学生らしいカップルが、スマホを見ながら「この先だよね。」「何を食べよかな。」などと話しているのが聞こえる。まさか、同じ店を目指しているのか?横断歩道を渡って、左側の歩道へ。その時、カップルを追い抜く形になる。しばらく歩く。後ろのカップルもあとをついてくる。え〜、大学生カップルが来るような店だっけ?歩くスピードを上げて、2人を引き離しにかかる。なぜ?

 

IMG_20230422_182537青い暖簾が見える。ためらうことなく引き戸を開ける。女性店員さんが出てきて、「いらっしゃいませ。」と迎えてくれる。「1人です。」というと、「こちらへ。」と言って先導してくれる。店は奥に長く続いていて、左にテーブルが6つほど、食堂車のように並んでいる。左手にはカウンター。アクリル板で区切られて10席くらい続いている。カウンターの中が厨房。女性店員さんが4人。奥に魚料理担当の男性が1人。テーブルは2つほど空いている。カウンターには4人の客。「こちらの席でお願いします。」と奥から3番目の席を指示される。左右に客が座っていてその間。奥から詰めるということだろう。

 

鞄を椅子の下のカゴに入れて、カウンターの中の女性店員さんに「サッポロラガービール(大650円)をお願いします。」と言いながら座る。ふい〜。さっきの大学生カップルが入って来て、テーブル席に座る。やっぱり来たのねー。カウンターは常連さんらしき人が多く、年齢も高めの男性のみだが、テーブル席は年齢層が若い。この店が相変わらず人気店であり続けているのが分かる。

 

IMG_20230422_171914カウンターの中から、さっきの女性店員さんが「こちらからごめんなさい。」と言いながら、おしぼりと箸と小鉢を渡してくれる。小鉢の中には何も入っていない。刺身の醤油入れのようだ。刺身を食べるのが前提なのだろう。続いて、サッポロラガービールが届く。では、早速、グラスにビールを注いで、一口・・・くほー、んめー。大変な1週間お疲れ様、そして、よくぞここまで寄り道しに来たね、自分。

 

さて、まずは刺身だけど、何にしようかな・・・「テレビの下のホワイトボードに、今日のおすすめが書いてありますよ。」と女性店員さん。身体を捻って右斜後ろのホワイトボードを見る。いろいろあるけど・・・「じゃあ、刺身3点盛り(1200円)、お願いします。」と注文する。すると、なぜか女性店員さんと右隣のお客さんが「ふふふ。」と笑う。ん?多分、初めから、3点盛りを勧めようと思っていたからだと思われる。

 

男性店員さん(マスターかもしれないが)が魚を捌いている。次々に注文が入るので、休む暇もないようだ。大学生カップルも「3点盛り」。どんどん勧めて、捌いていかないと、量がこなせない。そうなると安価での提供も難しいのだろう。このスタイルは以前の店を思い出させる。もちろん、味に自信があるからこそそれができる。「カワハギ、ヤマです。」と店員さんたちが確認し合う。売り切れということだと思われる。すると左隣のスーツ姿のお客さんが「カワハギ、ヤマなの?注文しといてよかった。」と店員さんに話しかけている。こういうことだ。「〇〇、ヤマです。」が次々に厨房から確認されている。さすが。

 

IMG_20230422_172100刺身3点盛り」が届く。「マグロ、カンパチ、ヒラメです。」と女性店員さん。分厚く切られた刺身がそれぞれ3切れずつ。美味そー。カンパチから・・・一口・・・分厚い切り身はコリコリといっていいほど・・・脂の旨みがじわーと口の中に広がる。美味しいなあ。ビール、ビール。次はマグロ。中トロだな。紅色が見事。一口・・・ひょほー、マグロってこんなに上品な味だっけ?いいなー。ヒラメはどうだ?うーん、淡白な味のようで、噛むとしっかりと濃い旨みを感じる。これも、いい!ビール、ビール。あっという間に食べてしまう。

 

そうだ!「すみません。牛もつ煮込み(400円)をお願いします。」と注文。「大はし」には行けなかったけど、やっぱり食べたい。左隣のお客さんはカワハギの後、「かつお塩焼き」を食べている。飲み物は日替わりの地酒。これはいい組み合わせだなあ。右隣のお客さんは、大きなお椀に入った「味噌汁」。味噌汁といっても、いろいろな魚のアラが入ったボリュームたっぷりの海鮮汁だ。こちらは燗酒。これもいい。お二人とも60代と思われる。

 

IMG_20230422_173613「牛もつ煮込み」が届く。一口・・・うわー、ぷりぷりしている。甘くなく、醤油味でさっぱりしている。美味しいなー。ここで飲み物を。「酎ハイ(410円)、お願いします。」と注文する。程なく、酎ハイが届く。氷と焼酎とレモンが入ったジョッキと、カナダドライの炭酸の瓶が別々に出てくる。ジョッキに炭酸を注いで、一口・・・ふ〜。まさにオーソドックスな酎ハイ。煮込みに合うことこの上ない。

 

IMG_20230422_173752両隣の常連さんに、以前の店のことを聞いてみたくなる。懐かしいあの店、そして、本当に優しく気を配ってくれたマスター。最高の酒場体験だった。しかし、大きなアクリル板がそれを妨げる。話かけ辛いのだ。だから、カウンターのお客さんは近くに来た店員さんとは言葉を交わすが、お客さん同士は話さない。1人黙々ということになってしまう。諦めて、自分の世界に集中する。

 

もう一品何か・・・「すみません。手作り厚揚げ(280円)、それと、酎ハイの中(焼酎330円)をお願いします。」と注文する。焼酎はジョッキの4割くらい入っているので、炭酸一本で2杯分になるのだ。4人の女性店員さんたちは本当に楽しそうに働いている。その中心的な役割を担っているお姉さんはとても元気がいい。お客さんたちに「〇〇食べない。美味しいよ。」と勧めたり、ちょっとした世間話をしたり・・・。お客さんも元気をもらえる感じ。それにすごい美人なので、店が華やかな雰囲気になる。これが、今の「酒屋の酒場」なんだなあ。

 

IMG_20230422_181141「手作り厚揚げ」が届く。こんがり焼かれて熱々だ。箸で割って、一口・・・外はカリッとしているが、中は滑らかな絹ごし豆腐。とても美味しい。これはいい!酎ハイが進む。さて、後はゆっくりこの店の雰囲気を味わいながら過ごそう。気づいてみれば、店は満席になっている。大学生カップルもたくさん料理を注文して、店を楽しんでいるようだ。よかった、よかった。

 

酎ハイを飲み干して、今日はここまで。近くの女性店員さんに「ごちそうさま。会計を願いします。」と告げる。ささっと計算して「ありがとうございました。3270円です。」と知らせてくれる。

 

席を立つ。店員さんたちが「ありがとうございました。」と口々に送ってくれる。外に出る。まだ十分明るい。形や雰囲気は変わってしまったが、思い出の店にまた来ることが出来て嬉しかった。あの時、笑顔で席を作って店に入れてくれたマスター。久しぶりに来ましたよ。暮れていく街が、却って思い出を鮮やかにしてくれるようだ。

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東京都足立区千住中居町2717

03-3882-2970


Posted by hisashi721 at 13:16│Comments(0)