2023年05月05日

五月風が吹く午後・・・阿佐ヶ谷「川名」

IMG_20230504_165606連休に入った4日(木)、新宿で所用を済ませた後、久しぶりに阿佐ヶ谷に向かう。快速電車が止まらない休日、各駅停車の電車が阿佐ヶ谷駅に着いたのは、午後345分過ぎ。北口を出て、松山通りを歩く。人通りはいつもと変わらないようだが、いくつかの店に行列ができているのは流石に連休だからだろうか。自分も連休中に一度は「川名」に顔を出しておきたい。そんな気持ちでやって来た。午後355分、川名に到着。開店5分前。

 

入り口のドアは開け放たれている。5月らしく爽やかに晴れた一日。初夏という言葉が相応しい日だ。自分も半袖のポロシャツ姿。それでも暑いくらいだ。店に入る。マスターはカウンターに座って、今日のおすすめメニューをホワイトボードに書き込んでいる。「こんにちは。」と声をかけると。「いらっしゃい。」という返事が即座に返ってくる。先客はなし。それでも6席あるカウンターの一番手前と一番奥は、毎日来る常連さんの指定席なので、それを避けて奥から2番目の席に座る。すぐにその常連さんたちが入ってきてそれぞれの席に落ち着く。開店まで後3分。

 

IMG_20230504_160511開け放たれた入り口から吹いてくる風が心地よい。「昨日は大変だったよ。お客さんが多くて、忙しかったー。入れなくて帰ってもらったお客さんもいて申し訳なかったな」とマスターが言う。「連休ですもんね。みなさん普段から川名でゆっくり飲みたいと思っていたでしょうから。」と答える。「うん。頑張らないとね。」「今日も忙しいですよ。きっと。」「ありがたいね。」と言う会話。マスターがホワイトボードを書き終えて立ち上がる。そのタイミングで飲み物を聞かれる。「酎ハイ(440円)、お願いします。」と注文する。


お客さんは、いつも5時前ごろからどんどんやってくる。そうなると、店は大忙しになる。テイクアウトのお客さんの大量の注文に応えながら、奥の座敷のクループ客に対応し、カウンターやテーブルのお客さんの細かな注文を聞き、片付けや会計など、2人でよく回せるものだと感心する。それが閉店時間までずっと続くから、狙い目はこの開店時間。「マスター、この時間しかないと思って、調整して来たんですよ。」「正解!」

 

IMG_20230504_155814開店時間になり、酎ハイとサービスの果物(オレンジ)が届く。レモンをぐりぐり絞って、ジョッキに注ぎ込み、一口・・・爽やかな酸味が口の中に広がる。この季節にぴったりの味だ(一年中飲んでいるけど)。「ご注文、どうぞ。」とマスター。「鳥中おち(1本154円)とふりそで串(鳥肩小肉1本154円)を2本ずつ塩で。それから白菜漬け(198円)をお願いします。」と注文する。

 

早くもテイクアウトのお客さんが大量の注文をしている。電話が次々とかかってくる。「ええ、やってますよ。6時に4名様ですね。お待ちしております。」みたいに・・・さすがだな。カップルが入って来て、テーブル席に座る。何を食べようかと2人で相談。そのウキウキした感じが伝わってくる。楽しみにしてたんだろうな。

 

IMG_20230505_150144ぼんやりしていると、マスターが白菜漬けを届けてくれる。「白菜漬けです。ありがとうございます。」と言って、風のようにカウンターの中に去っていく。では、一口・・・塩味に唐辛子のピリ辛が加わって、とても美味しい。つまみとして最高だ。酎ハイ、酎ハイ!。テレビはジャイアンツ対スワローズの中継放送。熱戦が繰り広げられている。時折、「打ちましたー。」などというアナウンサーの絶叫が聞こえると、みんなテレビを見る。でも、この試合に興味を持っている人は、現時点ではいないらしく、一瞬テレビに目を向けるだけ。でも、居酒屋のBGMとしてはとてもいい味出してる。

 

IMG_20230505_150116焼き鳥が届く。では、ふりそで串から、一口・・・うん、味が少し濃い、それでいて脂も適度にあって美味しい。塩の加減もちょうどいい。炭火焼きの風味も加わって、とてもいい感じ。川名の焼き鳥だなあと改めて思う。これに生レモンの酎ハイが抜群に合うんだよなー。では、中落ちを一口・・・こちらはやや軽め。でも安定の美味しさ。何本でも食べられる、そんな感じ。

 

通りを人が行き交うのを眺めながら飲む。通りの風景をドア越しに眺めるのが好きだ。それが雨であっても、真夏の強い日差しであっても。季節によってメニューも変わり、そして空気も変わる。でも、全てを忘れて、のんびりできるような気がする。長い年月この店で飲んでいるからだろうか。酎ハイのおかわりを注文。マスターが忙しい手を止めて、手早く作って届けてくれる。一口・・・濃い!美味い!

 

IMG_20230503_142714季節の移り変わりといえば・・・。昨日(3日)は中野の「第二力酒蔵」で飲んでいた。午後2時開店と同時に続々とお客さんが入っていく。すぐに2階までお客さんが埋まった。そんな中、自分はいつものカウンターで、芋焼酎のロックを飲んでいた。刺身盛り合わせと蕨のおひたし。もう申し分ない組み合わせだ。年配のご夫婦が隣でワインを召し上がっている。そのご主人が、店員さんに「鰹は刺身だけ?」と尋ねる。店員さんは「もどり鰹になるとタタキができますが、今は刺身ですね。」とか答える。いい感じ。季節を感じさせる店って貴重だな。

 

IMG_20230504_155922今日の川名も次々とお客さんが入ってくる。常連さん2人はいつの間にか帰ってしまった。じゃあ、自分も。席を立つ。会計を済ませながら、マスターに話しかける。「これで連休は何も思い残すことがないですよ。この店で飲むと本当に心が休まります。」「ははは、それはよかった。またおいでください。」「マスター、ありがとう。」「こちらこそ、ありがとうございました。」

 

外に出る。中杉通りのバス停まで歩くことにする。軽い酔いが心地よい。明日はさらに気温が上がるらしい。そして、週末は雨模様とか。そんな季節の移り変わりを感じながら、この道をずっと歩いて来たのだと思う。

 

東京都杉並区阿佐ヶ谷北3丁目11―20

03-3339-3079


Posted by hisashi721 at 15:05│Comments(0)