4月から慌ただしい日々が続き、予約のタイミングが合わず髪の毛を切りに行くこともできなかった。今日(22日)は早く職場を出ることができるということで、美容院の予約を午後5時に入れておいた。幸いに仕事上のハプニングも起きず、午後4時に職場を出て、地元である「鷺ノ宮」へと向かう。
午後4時50分に鷺ノ宮駅前の美容院に入り、髪の毛をカット。終わって、すっきりしたなーと髪の毛を触りながら時計を見ると、5時40分。駅から自宅まで10分かからないから、帰るにはまだ早いよなー。ということで、久々に地元で寄り道しようと思い立つ。かつては地元の店にも馴染みの店がいくつかあったのだが、店が無くなったり、業態を変えたり、経営者が変わったりといろいろあって、だんだん足が遠のいてしまった。中野や新宿に馴染みの店ができて、そちらの方が居心地がよくなったというのもある。。
さて、どこに行こうかな。駅前を歩いてみる。もつ焼き屋さんがあり、海鮮料理の居酒屋がある。馴染みだった「寿々喜家」さんは和食割烹の店だったのだが、業態を変えてテイクアウト専門の総菜屋さんになってしまった。あとは「竹寿司」。ここも一時期よくかよったが、立ち退きを機に店を閉めてしまった。通った頃のことをいろいろ思い出してみると妙に懐かしい。
で、決めたのが「満月」。鷺ノ宮駅北口徒歩1分。パチンコ屋とオリジン弁当の間の道を入ってすぐ。この店の前は朝晩通っているが、考えてみるとあまり馴染みがあるとはいえない。一人で入ったのは多分1、2回。あとは誰かと一緒に何回か来た程度。二代目になってからは2回目かな。
入口は二つ。左側の入口から入ると7席ほどのカウンターがある。右側の入口から入ると、カウンターもあるが、テーブルもあってどちらかというとグループ向けかと思われる。平行した二本のカウンターの右側が広くなっていて、そのスペースにテーブルが置いてあるイメージ。暖簾をかき分けて、左の入口の戸を開ける。
先客はない。カウンター奥のガス台があるところに二代目マスターがいて、ちょっと困った表情で迎えてくれる。「えーと、まだ何もできてないけど・・・。」なるほど、いつもならカウンターの上に大皿料理が並んでいるはずだが、今日は一つもおいていない。「じゃあ、とりあえずビール(キリンラガー大瓶700円)をください。」と言って、カウンターの入口から3番目に座る。
すぐにビールが届く。じゃあ、地元でのビール、いただきましょう。一口・・・よく冷えてる。ビールが最高に美味しい季節になったなあ。マスターは大急ぎで料理を作っている。手際が非常にいい。ガス台と流しは左側奥、魚を焼くグリルと電子レンジは右側の奥にあるので、行き来しながら同時に何種類もの料理を作っている。途中、壁とカウンターの間が非常に狭いところがあり、そこを皿を持ってするりと通り抜けるところなんか、見とれるぐらいだ。ふと不安になって聞いてみる「もしかして6時開店でした?」「いや、一応5時開店なんだけど、準備がおそくなってしまって・・・。」笑顔が人懐っこいのがいい感じ。
正面の壁のテレビは大相撲夏場所を映し出している。結びの一番。横砂「照ノ富士」対前頭六枚目「明生」だ。マスターが手を止めて画面を見ている。明生が勝って金星。「明生勝った!」「よくやったねー」みたいな会話。それだけでもビールが進む。大皿料理が並べられ始める。ほうれん草のおひたし、大きな焼売、それからソーセージのケチャップ炒め。そこでたまらず「そのソーセージ(500円)をください。」と注文する。マスターは「はい」といって小皿にソーセージを取り分けて届けてくれる。
では、ソーセージのケチャップ炒めを一口・・・ぷりっとした歯触り、溢れる肉汁、そしてケチャップの甘さが絡んで・・・んまい!ビール、ビール。6時を回ったところで、お客さんが1人入って来る。地元の年配の方だ。とても慣れた感じ。入口近くの席に座って、「魚は?」と問う。「ホッケ。」「じゃあ、ホッケ。」グリルで焼いているのはホッケだったか。ホッピーがそのお客さんに届けられる。注文しなくても出てくるなんてよほどの常連さん。
大皿料理はまだ続々と出てくる。ポテトサラダ、アスパラと豚肉の炒め物、生姜焼き、焼ホッケ・・・。どれも出来立てで、どれも美味しそうだ。入口近くのお客さんは、届けられた焼きたてのホッケを美味しそうに食べながらホッピーを飲んでいる。スマホをカウンターの棚に置いて、何やら動画を見ながら呟く。「なんだもう終わってたのか。」・・・どうやら将棋の名人戦第五局のことらしい。画面は将棋盤を使っての解説を映している。渡辺明名人に藤井聡太6冠が挑戦し、3勝目をあげて7冠へ後一勝とのこと。
では、自分もホッピーにしようかな。「すみません。ホッピー(450円)をお願いします。」と料理が一段落のマスターに注文する。それで、ホッケの次にグリルに入れられた塩サバが焼き上がるのを待つとしよう、と思っている。ホッピーが届く。氷と焼酎が入ったジョッキとホッピーの瓶。早速、ジョッキにホッピーを注ぎ入れて一口・・・美味い!最近ホッピーが続いたので、味に慣れて来たかな。爽やかな味がソーセージによく合うよー。
テレビはニュース番組になり、東京オリンピックの選手村高層マンションの転売問題を報じている。マスターが「高層ビルなんて、どこがいいのかな。」と笑いながらコメントする。「確かに!。」と答える。先代のマスターつまり、今のマスターのお父さんのことを思い出す。中杉通りの脇道に入ったところ、新青梅街道の一本手前の通りに、かつて長屋風の建物があった。狭い玄関先に盆栽が並べられていたり、玄関の前に花が植えられていたり、風情のあるいい建物だった。そこを通りかかった時、自転車に乗った先代のマスターとママさん(現役です)とすれ違った。その時、マスターが「俺はこういう家に住んでみたいな。」と言ったのが聞こえた。ママさんはそれには答えなかったが・・・。
塩サバが焼き上がり、大皿にのせられる。「サバ(500円)ください。」と注文する。届いたのはサバの半身。ボリュームがある。何より焼きたてで美味しそう。では、一口・・・脂ののりが素晴らしい。塩加減がちょっと控えめなのがいい。サバの旨みが最高に引き出されている。美味しいなー。ホッピー、ホッピー。隣のお客さんに話しかけてみる。「将棋のタイトルって8つでしたっけ。」「そう、今は8つ。」「そのうちの7つ目ってすごいですね。」「後は王座かな。」・・・相撲に将棋、居酒屋にはもってこいの話題。いい感じ。
ホッピーのナカ(焼酎300円)を注文。サバが大きいのでつまみとしては十分だ。隣のお客さんは囲碁のファンでもあるらしく、その衰退を嘆いている。「中国、台湾、韓国に勝てないからなー。頑張って欲しいよ。」「将棋における藤井聡太みたいなスターが欲しいですよね。」みたいな会話。いいよねー。
隣のお客さんは、あっさり席を立つ。「では。」という感じで渋く去っていく。こういう出会いがあるから、地元で飲むのも楽しいよな。後はのんびりマスターと話しながら過ごす。テレビは天気予防。明日は今日より最高気温が14℃下がり、3月下旬並みの寒さと報じている。
さて、今日はここまで。「ご馳走様。」「今日は2300円。」とマスター。「Hさん、最近来てる?」と尋ねてみる。この店に来る時には一緒のことが多い地元の友人だ。「久しぶりにこの前来たけど。今は飲みが中心みたい。」「羨ましいね。」「本当に。」・・・また、この店で一緒に飲みたいな。
外に出る。風もなく、穏やかな夜だ。もったいないから、少し遠回りして帰ろうかななどと思いながら歩き始める。
東京都中野区鷺宮4丁目1−11
03-3339-1510
Posted by hisashi721 at 17:46│
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