今日（24日）は、午後の関係で恵比寿に。それが終わったのが午後4時45分頃。中途半端な時間だが、職場には戻らず、帰らせてもらうことにした。一気に高まる解放感に浮き立つ心。当然、どこかに寄り道したいなと思う。ちょうど先日行った「とよかつ」の前に通りかかる。縄のれんが下がっていて、そこに貼り紙が・・・。「本日、主人不在のため、まくらももつ焼きもありません。ささやかなおつまみでよかったらどうぞ」。へー、どんな感じで飲めるんだろうか。興味がそそられる。
一瞬ためらったが、思い直して恵比寿駅に向かう。違う考えがよぎったからだ。渋谷に行こう。渋谷に「千両」という店がある。ブログを更新し始めた昨年の夏から2度伺ったのだが、2回とも入れなかった。本来なら1人客用の1階カウンターも、予約でいっぱいですとのこと。以前は気軽に1人で入れる店だっただけに、なんとなく寂しい思いがした。ただ、２回とも土曜日だったからかな、平日なら大丈夫なのでは、思った。今日は水曜日、午後5時開店にぴったりの時間。もう今日は、「千両」しかないでしょう。
渋谷駅到着。信じられないくらいの人の多さ。ここを歩くの？って感じ。でも、そこは勝手知ったる渋谷駅。サッカー選手のように人混みをすり抜けながら、改札を出て西口に向かう。渋谷駅西口前はいつ終わるとも分からない再開発工事が続いている。無茶苦茶に破壊された駅前に出て、歪な横断歩道を渡り、渋谷中央街に入る。ちょうど午後5時になったらしく、音楽が流れている・・・のはわかるが周りがうるさすぎて、メロディーは分からない。
まっすぐ歩いて、少し坂を上ると「千両」の看板が見えてくる。店の前に店員さんが立っている。さあ、今日は入れるのだろうか・・・。店の前に立つ。店員さんがこちらを見る。「今日は1人、大丈夫ですか？」「ああ、ちょっと待ってくださいね。」と言って店員さんが縄のれんを入り口に掛ける。それが終わると、「カウンターの一番奥の席にどうぞ。」と言ってくれる。ああ、久しぶりに千両に入れるんだな、と思うと心が弾む。
店に入ると厨房に板前姿の男性が3人。「いらっしゃいませ！」と迎えてくれる。「お願いします。」と言いながら、まっすぐ奥に続いている7席のカウンターの、一番奥の席に向かう。1階はこのカウンター席だけになったようだ。かつてはL字型になっていて、横棒に３席あったはずだが、それはもうなくなっている。
席に座ると、さっき入口で迎えてくれた店員さんが、「お飲み物お決まりになりましたらどうぞ。」と声をかけてくれる。カウンターに立てかけてあるメニューを取り、飲み物を選ぶ。まず生ビールだな。「すみません。生ビール（680円）をお願いします。」と注文する。「とりあえず生ね。」という言い方はしない。
生ビールが届く。ジョッキの感じがいい。では、一口・・・うわー、今日もビールが最高に美味いなー。それにしても久々の店内。懐かしいぞ。ドアの感じは学生の頃来ていた時と同じだな。あの頃は1階は広くて、自分が今座っているあたりは厨房。逆に厨房のあたりがカウンターと小上がり座敷だったな。壁際にテーブル席もあったよな。と次々に思い出していく。それから2階、3階は複数客用で、みんなで座敷で飲んでたなー。ビール、ビール。
「おつまみ、お決まりでしたらどうぞ。」と、いいタイミングでさっきの店員さんが声をかけてくれる。やっぱりもつ焼きかな。「しろ、レバー、かしら、なんこつ（各150円）を1本ずつ塩でお願いします。それから、まぐろぶつ（680円）も。」と注文する。お客さんが入り始める。「予約した〇〇です。」「どうぞ、2階へ。」みたいなやり取り。カウンターには入ってこないので、今しばらくはのんびり飲めるかな。
「まぐろぶつです。」とカウンター越しに板前さんの1人が届けてくれる。小皿に醤油を入れて、一口・・・いいなー、まぐろ好きだなー。脂も適度にのっていて、美味しい！ビール、ビール！入り口付近に男性店員さんが立っているのだが、そこに2階が映っているモニターがある。それを見ながら、「新規3人さんは5番に、それからその後の4人さんは3番で」などと指示を2階に送っている。なるほど、こうやって効率よくお客さんを案内しているんだな。あの頃は女将さんが、「小上がりに入って、そう、手前のテーブルよ。」などと差配してくれたものだったが。
店内のBGMは80年代から90年代にかけてのJ POP、だと思うが知らない曲が続いて流れている。でも曲の雰囲気はその頃そのもの。へー、なんか落ち着いて飲めるなあ。自分と同年代と思われるグループが入ってきて、階段を上る。もしや知り合いではないかとさえ思って、顔を確認してしまう。そんな偶然あるわけないよな。どうやら、学生時代を偲ぶ感傷に囚われてしまったらしい。
もつ焼きが届く。学生時代は「やきとり」というメニューだったのだが、自分の知っている焼き鳥と全然違う味なので、気持ち悪いとさえ思っていた。これは豚のモツなんだよ、と先輩に教えてもらって、びっくりしたこともいい思い出だ。注文した４本を見ると、なんこつがない。注文していないタンが入っている。まあいいか、とそのタンから一口・・・ぷりぷりしていて美味しい。これはこれで良かったかな。「すみません。酎ハイ（350円）、お願いします。」とこのタイミングで注文する。
やっと知っている曲が流れる。虎舞竜の「ロード」だ。「大雪が降った夜の・・・」でまた思い出してしまう。東京に大雪が降った夜のことだ。その日は午後から雪が降り始め、それが降り止まず、夜になって大雪になり多分30�儖幣綫僂發辰燭隼廚Α�自分は午後までアルバイトをしていて、雪も大したことはないだろうと思い、新宿のデパートのレストランでのんびり食事をしていた。それから渋谷に向かい、道玄坂のバーに行くつもりだった。渋谷駅に降りた時、この雪はちょっとまずいなと思ったが、勢いで道玄坂を上り始めた。雪がかなり積もっていたので歩くのさえ大変な状況になってきて、戻ろうにも戻れず、そのバーに着いた時、本当に安堵した。客は1人もおらず、マスターが笑顔で迎えてくれて、「今日はもうどうにもならないね。」と言ったのが印象的だった。その夜、いや朝までそのバーで飲んでいた。そのバーの名は「パナマ・ジョーズ」。懐かしすぎる。
「ハムカツ（380円）お願いします。」と注文する。もう、完全に思い出に浸りながら自分の世界に入っている。1階には相変わらずお客さんは入ってこない。板前さんたちは黙々と料理を作っている。聞こえてくるのは注文を通す声のみ。
「ハムカツ」が届く。たっぷりのキャベツとレモン、マヨネーズが添えてある。ソースをかけ回して、一口・・・サックサク。うめー。酎ハイ、酎ハイ！次はキャベツをのせて・・・これもいいねー。酎ハイ、酎ハイ。で、「酎ハイ、おかわりお願いします。」目の前の板前さんが「ありがとうございます。」と注文を受けてくれる。声が優しい。
2階の客はどんどん入って来るのに、1階には誰も入ってこない。1人客がいないということだ。まだ時間が早いとはいえ、ちょっと不思議。まあ、のんびり飲めて好都合ではあるのだが・・・。
2杯目の酎ハイを飲み終えて、今日はここまで。「ご馳走様。」と声をかけると、板前さんたちが一斉に「ありがとうございました。」と応えてくれる。入り口近くで会計。「いやー、久しぶりに来ました。良かったです。」と言いそうになる。でも、今日は言わない。さっと飲んで、さっと帰る。それでいい。
外に出る。まだ街は明るい。駅に向かいながら、僅かに残る当時の面影を探す。学生だった自分が歩いた街は、もう消えていく。「もう帰るの？まだまだこれからだろ。」と誰かに言って欲しいと思う。
東京都渋谷区道玄坂１丁目６−６
03-3476-4634
Posted by hisashi721 at 19:13│
Comments(0)
今日（24日）は、午後の関係で恵比寿に。それが終わったのが午後4時45分頃。中途半端な時間だが、職場には戻らず、帰らせてもらうことにした。一気に高まる解放感に浮き立つ心。当然、どこかに寄り道したいなと思う。ちょうど先日行った「とよかつ」の前に通りかかる。縄のれんが下がっていて、そこに貼り紙が・・・。「本日、主人不在のため、まくらももつ焼きもありません。ささやかなおつまみでよかったらどうぞ」。へー、どんな感じで飲めるんだろうか。興味がそそられる。
渋谷駅到着。信じられないくらいの人の多さ。ここを歩くの？って感じ。でも、そこは勝手知ったる渋谷駅。サッカー選手のように人混みをすり抜けながら、改札を出て西口に向かう。渋谷駅西口前はいつ終わるとも分からない再開発工事が続いている。無茶苦茶に破壊された駅前に出て、歪な横断歩道を渡り、渋谷中央街に入る。ちょうど午後5時になったらしく、音楽が流れている・・・のはわかるが周りがうるさすぎて、メロディーは分からない。
