職場での1日の終わりは会議だった。無事終えて、午後6時20分に職場を出る。今日は水曜日(21日)。寄り道して帰ろうと思う。例によって、バスで目黒駅へ。山手線に乗り換えて新宿。小田急エース南館から京王モールを通って、京王新線の改札に向かう。この時間はバスも電車も地下道もすごい混雑ぶり。
7時20分発、区間急行「京王多摩センター」行き電車に乗り込む。車内は混み合ってはいるものの、京王線のホームのひどい混雑よりはマシだと思い、新線の方に回ってきたのは、以前の経験を生かしてのこと。初台、幡ヶ谷と過ぎ、電車は地上に出て高架を走る。程なく「笹塚」駅到着。笹塚で降りるのは久しぶり、意外と大きな駅だなあと改めて思う。それは一つ前の幡ヶ谷駅が地味すぎる印象だからかもしれない。
改札を出て、「京王クラウン街」という飲食店街を通り抜ける。左に曲がって、「クイーンズ伊勢丹」を左に見ながら少々歩き、「地蔵通り」という商店街に入る。おしゃれな飲食店が何軒かあり、どれもがお客さんで賑わっている。どの店もとても興味深い。商店街を終わりまで歩き、右に曲がり、緑道に入る。本当はもう一本先の通りに入るべきだったということを、少し歩いたところで気づく。
緑道の左右は店などなく、住宅が並んでいる。そして道は暗い。時々、暗い中ベンチに座っている人がいて、驚かされる。ちょっと寂しい感じ。緑道の切れ目から出て、本来の道を逆から歩く。その道にはいくつかの飲食店の看板が見える。赤い看板。「やきとりや」と白く太いひらがなが染め抜かれた紺の暖簾。あそこだな。今日の目的地「井口」だ。
入り口は開け放されている。暖簾をくぐって、店の中に入る。照明が明るい。奥に向かってまっすぐにカウンター席が10席ほど続いている。奥には小上がり座敷のテーブルが見える。カウンターの中が厨房。全体的にゆったりとした造りになっている。先客は2人。奥から3番目のカウンター席に40歳前後の男性、一つ置いて5番目の席に年配の女性。カウンターの中は真ん中にママさん。奥に息子さんと思われるマスター、入り口近くに若くて綺麗なお姉さん。焼き台の担当らしい。飲み物と料理はマスターが担当と思われる。
人気店ということなので、満席も覚悟していたのでホッとする。ママさんが「お1人?」と問う。「ええ、1人です。」と答えると、「荷物を後ろに置いて、こちらの席にどうぞ。」と笑顔で入り口から3番目の席を勧めてくれる。混んでなくても、「あっ、お客さん、詰めて座ってください!」と厳しくいう店も多い中、こういう配慮は嬉しい。この店の暖かい雰囲気はこういうところから感じられるのだろう。
席に座る。「何にします?」とママさん。「瓶ビール(スパードライ大瓶720円)をお願いします。」と即座に注文する。鞄を後ろの冷蔵庫の上に置きながら、壁のドリンクメニューをチェックしていたのだ。なせか最初の注文を即座にすると、店の人の警戒心が溶けるような気がする。ママさんがマスターに注文を伝える。マスターがカウンターから出て、冷蔵庫に行きビール瓶を取り出して、ママさんに渡す。ママさんがグラスと共に届けてくれる。
では、ビールを一口・・・うめ〜!!!馴染みの薄い街まで出かけてきて、初めての店で快く迎えられて、そして最初のビールの一口・・・たまらん!お通しなどはなし。ママさんに問われる前にホワイトボードに書いてあったメニューを注文する。「すみません。まぐろとタコのお刺身(580円)をお願いします。」と注文する。自分の注文を受けて、マスターが調理を始める。
テイクアウトのお客さんが来て、かなり多くの焼き鳥を注文する。「15分後くらいにきてください。」とお姉さんがお客さんに告げている。この辺りは住宅街になっているのでこういうお客さんも多いのだろう。「まぐろとタコのお刺身」が届く。それぞれ3切れずつ。値段からしても妥当を思われる。マグロから一口・・・疲れた身体に沁みる美味さ。やっぱりマグロの刺身って美味しいよなー、と思わせる味。タコも一口・・・こちらはさっぱりとして、また違う美味さ。ちょうどいいつまみなのだ。いいねー。
年配の女性客が席を立つ。「ごちそうさま。美味しかった。もうお腹いっぱいよ。」と店の人に声をかけている。「ママ、気をつけて帰ってくださいね。この前みたいに怪我したら大変だから。」「もちろん、気をつけますよ。」というやり取りがしばらく続く。どうやら、近くのスナックのママさんらしい。少し前に虫を退治しようとして転倒して怪我をしたという。駆けつけた人が救急車を呼び、ついでに虫も退治してくれたという話だ。「もう80を超えたから、気をつけなきゃ。」・・・えー、全然見えない。
では、先日中野富士見町で食べ損ねた「もつ焼き」を注文しよう。焼き台のお姉さんに、「すみません。レバ、カシラ、ナンコツ、シロを塩で1本ずつ(1本120円)、それから、白レバー(1人前2本300円)をお願いします。」と注文する。テイクアウトで忙しそうではあるが、笑顔で注文を復唱してくれて、「少し、お待ちくださいね。」と言ってくれる。いい感じ。
奥の男性客は常連さんらしく、マスターと話が盛り上がっている。どうやら、このお客さんも飲食店をやっているらしい。店舗物件の相場とか、ああいう店の作りはいいなあとかそんなやり取りが聞こえてくる。さっきのテイクアウトのお客さんが「できてますか?」と入ってくる。「はい、お待ちしておりました。どうぞ、気をつけてお持ちください。」「わー、美味しそう。」「ありがとうございます。」・・・こういう雰囲気、いいよなー。
「はい、お待ち遠さま。」とお姉さんがもつ焼き4本を届けてくれる。では、カシラから一口・・・焼きたてはやっぱり美味しいなあ・・・脂が程よくのっていて、かしら特有の香りが口の中に広がる。全体的に小ぶりだが、それがまた食べる時のいいサイズ感を演出している。さすが人気焼き鳥店だけのことはある。これはもう酎ハイだな。「すみません。酎ハイ(380円)をお願いします。」とたまらず注文する。
シロもカリッと焼けていて、塩焼きの良さを引き出している。そこに酎ハイが届く。一口・・・爽やかそのもの。やっぱり、もつ焼きには酎ハイだな。レバもなんというジューシーさ。これもいい。軟骨も肉の部分の脂が美味しくて、しかもコリコリ。小さく切ってあるので食べやすい。美味いなー。
「白レバーです。」とお姉さんが、はいっという感じで皿を届けてくれる。こちらはたれ焼き。では一口・・・ぬわんですとー、この絶妙な柔らかさ・・・それでいて表面に火が通っているのでしっかりとした食べ心地・・・さらに、タレが美味い!注文してよかった。美味しい、美味しすぎる。2本あるのでそれも嬉しい。「すみません。酎ハイおかわり、お願いします。」・・・んもう、1人で盛り上がってしまう。
この店の明るさ、そして、気安い雰囲気・・・あまり喋らなくても、受け入れてもらえている感じが嬉しい。いい店だなー。こういう店にいると、本当にずっと飲んでいたくなる。もうちょっとだけのんびりさせてもらおう。ふぃ〜。
・・・さて、今日はここまでにするかな。「ごちそうさま。」「ありがとうございました!2840円です。」会計を済ませて席を立つ。マスターが改めて「ありがとうございました。またどうぞお越しください。」と送ってくれる。入れ替わりに若いカップル客が入ってくる。これからまた忙しい時間が始まるのかな。
外に出る。涼しくて気持ちいい。商店街を駅に向かって歩く。ゆったりとした気分が身体を包んでいる。今日もまたこういう時間を持つことができた。明日は雨になるという。それもまた楽しみな気さえしてくるのだ。
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Posted by hisashi721 at 12:29│
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