2023年07月06日

降り始めた雨の中を・・・野方「みつぼし」

IMG_20230705_170249西武新宿線「野方駅」到着。防災行政無線で午後5時の音楽が流れている。曲名は、ドヴォルザーク作曲「新世界より」第二楽章。邦題は「家路」または「遠き山に日は落ちて」だ。中野区では3月から10月までは午後5時に放送される。11月から2月までは午後4時。日没時間の関係だそうだ。とにかく、この音楽を聴くと何となく家が恋しくなるという不思議。

 

とはいえ、今日は野方駅で寄り道。駅を出て、通りを左へ。少し歩くと左に曲がる小路がある。ここは「やきとん 秋元屋」がある通り、ちょうど開店時間のようで行列して待っていたお客さんたちが入店し始めたとこところのようだ。へー、ずっと行ってないけど、すごいことになってるんだなと感心する。で、この小路には入らず、道をさらにまっすぐ進む。

 

IMG_20230705_170158すると正面に「YAHO ROAD(ヤッホーロード)商店街」のアーケードが見えてくる。野方を音読みして「やほう」=「ヤッホー」ということらしい。スーパーが閉店したりしたが、飲食店が多くなった印象。今日は、この商店街の中のお店、「みつぼし」が目的地だ。この店の前は何度も通っているはずだが、あまり気にはかけていなかった。それが、ある人から「野方にいい店があるよ」と教えてもらい、では近いうちに行ってみようという気になった。

 

その人によると、おでんや刺身を中心に料理のメニューがかなり豊富。おでんはさっぱり系でとても美味しいし、刺身は店主自ら毎朝豊洲でしいれているという本格派。さらに日本酒や焼酎、ウイスキーなんかも充実している。聞いているだけでいい店だと分かる。1階は立ち飲み、2階はテーブル席と座敷があるとのことだが、どんな造りの店なんだろうか・・・楽しみだ。


店の前に到着。入り口の戸は広く開け放されている。厨房とそれを囲むL字型のカウンター、その奥に階段が見える。開店直後で先客はいない。黒いTシャツの男性がと女性が忙しそうに作業をしている。店の中に入る。「こんにちは。いいですか?」と声をかけると、マスターが顔を上げて、「お1人ですか?」と問う。「1人です。」と答えて、奥に進み、階段の手前の位置に立つ。足元の台に鞄を置いて、目の前の女性店員さんに「生ビール(560円)をお願いします。」とすぐに注文する。お姉さんは「生ビールですね。ありがとうございます。」と言ったとたん、階段を駆け上がっていく。お酒は2階で用意するらしい。

 

IMG_20230705_170547階段を駆け下りてきたお姉さんが生ビールを届けてくれる。では、早速、一口・・・んまい!午後4時を過ぎたあたりから雨がぽつぽつ降り始め、気温も少し下がったようだ。とはいえ、蒸し暑いのには変わりなく、ビールは抜群に美味しい。「おでん、おねがいします。」というと、お姉さんが「どうぞ」とメモをとる態勢をとる。「玉子(130円)、ちくわぶ(130円)、はんぺん(170円)、がんも(130円)をお願いします。」お姉さんが丁寧にメモをとっている。おでんの他にも何か一品。メニューを眺めて目についたところで、「あと、春巻き(210円)もお願いします。」と追加注文する。お姉さんがマスターに注文を伝えると、「今日はまだ油の準備ができていなくて」とのこと。「じゃあ、ポテトサラダ(460円)に変更してください。」「ありがとうございます。」

 

IMG_20230705_170817ビールを飲みながら、通りを眺める。傘をさしている人とさしていない人がいる。夏の夕方の小雨。それを眺めながらビールを飲む。最高じゃないか。ポテトサラダが届く。ほー。細かく砕いたじゃがいもを使ったぽってりとしたタイプ。好みだ。では、一口・・・うまー。味付けは濃い目でつまみとしてはとてもいい。ビール、ビール。ボリュームもあって、食べ応えあり。

 

IMG_20230705_170727買い物帰りっぽいおじさんが入って来る。マスターが「もうすぐできますので、少々お待ちください。」と言う。ん?「ごめんねー。」と男性客。「いえいえ。」とあマスター・・・カウンターの上に見るからに上質をそうな鰹がのっている。それを丁寧に柵に切り分け、そして切り身にしていく。持ち帰り用のどんぶりが用意され、シラスを敷き詰め、そして鰹の切り身なたっぷりのせられる。玉子の黄身を落として・・・。絶対美味いやつ。テイクアウトのお客さんだったか。その準備で忙しかったんだな。

 

IMG_20230705_171124おでんが届く。まず目につくのは大きなはんぺん。普通のはんぺんの2倍から3倍はある。そしてきれいに透き通った汁。では、はんぺんを一口・・・とろける〜。こんなおいしいはんぺんは初めて、と敢えて言いたいくらい。ビール、ビール。「すみません。開店前にテイクアウトの注文を受けたもので、バタバタしてしまって。油も準備できてなくてすみませんでした。」とマスター。「あの海鮮丼なら開店前にでも注文したくなりますよね。ポテトサラダが美味しくてびっくりしました。」などと答える

 

IMG_20230705_171416酎ハイを注文。例によってお姉さんが階段を駆け上がって行く。元気だなー。酎ハイが届く。では、一口・・・すっきり。安定の味。それにしてもお酒の種類がすごいなあー。一升瓶が棚にズラリだが、2階にはもっとたくさんあるそうだ。貼り紙のドリンクメニューにもずらりと銘柄の名が並んでいる。特に目を引くのはウイスキーやブランデーなどの洋酒。ボウモア12年とかヘネシーVSとか・・・。

 

マスターは野方の店にくる以前は神田で立ち飲み屋をやっていたとのこと。その店の近くにヘネシーの輸入取扱い会社があり、その関係の方々がそういうお酒を飲んでいたとのこと。「神田は客層がよかったんですね。」「会社が多いですからね。」「じゃあ、住宅街の野方とは全く違うでしょうね。」「最初は戸惑いましたが、6年経って慣れてきました。」・・・なるほど。

 

それにしても、これだけ美味しそうな酒に囲まれていると、酎ハイだと物足りない気がするなー。そこで、壁の貼り紙メニューの中から選んで、「茜霧島(480円)をオンザロックでお願いします。」と注文する。お姉さんは家族連れ客を2階に案内して上がってしまっている。マスターが胸元の小型マイクに向かって「茜霧島ロックお願いします。」と呟く。しばらくすると階段を下りてくる足音が聞こえて、「茜霧島です。どうぞ。」と届けてくれる。

 

IMG_20230705_172351では、茜霧島を一口・・・華やかな香り・・・フルーツのような味わい・・・いいねー。美味しい!・・・マスターは中野駅南口辺りの出身ということだが、地元の知り合いのたまり場的な店にならないよう、少し離れた野方を選んだらしい。「二店舗目の場所を探してるんですよ。」とマスター。「ぜひ、鷺ノ宮へ。」「そうですね。鷺ノ宮とか下井草がいいと思っているんですが。」・・・期待が高まる。

 

茜霧島ロックをおかわり。マスターと中野の話で盛り上がる。中野区立の中学は数が半分になったとのこと。マスターの出身校である中野九中もうない。九中は立派な温水プールがあって、自分もかつて区主催の水泳教室に通っていたことがある。なつかしい。そういえば、やはりなくなってしまった六中ではテニス教室が開かれていて、そこにも通ったなあ。広島カープのクローザー矢崎投手の出身校八中ももうない。そして、中野サンプラザの話になり・・・。

 

ずっと話をしていたいが、これから忙しくなる時間だろう。そろそろこの辺で。「じゃあ、ごちそうさまです。楽しかったし、何より美味しかったです。」「ありがとうございます。」

 

外に出る。弱い雨が降っている。傘をさすまでもないかなあ。駅に向かわず、鷺ノ宮方面に向かって歩きはじめる。まだ日は落ちてはいない。いつまで降り続けるかもわからない雨もなぜか心地よい。

 

東京都中野区野方5-23-7

03-5356-8487


Posted by hisashi721 at 18:06│Comments(0)