2023年08月27日

何もかも気分よく進むわけではないけど・・・神保町「ランチョン」

IMG_20230825_153940今日(25日)も暑い1日になった。午後、仕事の一環で神保町へ。昼間来るのは久しぶりだなと思いながら、何ヶ所か回って用事を済ます。こういうのはオンラインがいいよな、と心から思う。実際、こういうことになっているのはオンラインでは埒があかなかったからなのだが・・・。午後3時過ぎ、なんとか用事は終わり。後はどこかで報告をまとめるだけ。喫茶店を探す。

 

IMG_20230825_144943ということで、靖国通りを少し入ったところにある「ミロンガ・ヌオーバー」に入る。壁際のカウンター席に座り、アイスコーヒー(650円)を注文する。やっと冷房が効いた店内に入ってホッとする。当たり前だが、歩き回るとすぐ汗が出て嫌だなあと思う。アイスコーヒーが届く。一口・・・もう少し濃いほうが良かったかな・・・。パソコンを出して、文章を打つ。

 

IMG_20230825_141050この店はレトロな雰囲気でBGMも古風なのだが、何しろ音が大きい。お客さんは皆さん神妙な顔つきで本や雑誌を読んでいる。ケーキを食べている人も多い。近くのおじさんもティラミスを食べているのだが、妙に音を立てる人でちょっと気にしてしまう。コーヒーを啜る音も、「そんなに啜らないでも」と思うほど大きい。服装はおしゃれなので、店の雰囲気には合っている。

 

左隣の若者は芸術家っぽい雰囲気。ただ、ものすごく鼻をかむ。ティッシュの山ができている。それはいいのだが、その山を残したまま、無言で席を立ち、レジに向かう。いいのか?片付けるお姉さんが気の毒だ。・・・色々気になってしまうが、なんとか文章を書き終える。ふい〜。もう少しここでゆっくり・・・という気にはならない。時計を見る。午後3時。


IMG_20230825_153918外に出て、靖国通りに出る。交差点まで戻って、横断歩道を渡る。それにしても陽射しが痛い。日陰もなく直接なので辛い。白山通りの方向に歩き、なんとか目的の店の前に着く。久しぶりだなー。学生時代にはよく来たが、社会人になってからは数度来たくらいかな。「ビアホール ランチョン」。人気店だが、この時間なら少し空いていたような気がするが・・・。

 

IMG_20230825_153900ドアを開けると、螺旋階段がある。それを上ろうとすると、後から入ってきた70前後の男性が無理やり自分を追い越していく。何か急ぐことでも?階段を上り切ると、広い店内。奥までずらっとテーブルが並ぶ。7割くらい埋まっている感じ。窓際の4人用テーブルは向かい合って2人客がずらっと座っている。一つだけ一番手前の席に1人客。それはさっき自分を追い越して行った人。自分を見てニヤリと笑う。・・・なんだよ。空いているのは2人用の小さいテーブル2つ。階段横の窓際、狭いスペース。「おひとり様ですか?窓際のテーブルにどうぞ。」

 

追い越して行った人を背に座る。後ろで店員を呼び止めて、「ええとね、生ビールとね、チキンカツ・・・。」と早速注文している声が聞こえる。店員のお姉さんが来てくれたので、「生ビール(700円)とソーセージの盛り合わせ(1250円)をお願いします。」と注文する。「はい、お待ちください。」と丁寧に頭を下げてくれる。夕暮れ前の貴重な時間。ゆったりと楽しみたいもの。

 

自分の前には、もう一つの2人用テーブルに座った60歳前後と思われる男性客。奥の席に座っているので、向かい合う形。ハンバーグとサラダの皿を前に生ビールを飲んでいらっしゃる。ナイフとフォークを使って優雅にハンバーグを食べ、そしてビールを口に運ぶ。実に余裕ある雰囲気。学生の頃、この店に来るとこういう大人のお客さんが多かったなと思い出す。心が落ち着く。

 

IMG_20230825_145615生ビールが届く。さて、一口いただきますか・・・それほど「冷え」を感じないが、ビールの味がよくわかる温度・・・ああ、これは労働の後のキンキンに冷えたビールではなく、時間を味わう贅沢なビールという感じ。これこれ、あの頃憧れていたのはこういう雰囲気だったんだよなー。向かいの紳士っぽいお客さんが、それを思い出させてくれた。後ろのおっさんのことはもう忘れることにする。

 



IMG_20230825_145553窓際の席のいいところは、下の通りを眺められるということ。道向かいには古本屋が並び、靖国通りには車が走り、歩道には人が歩いている。眺めていると、人生を客観的に考えられるというか、生きている時間の貴重さが感じられる。ああ、こうやって毎日働いて、食べて、飲んで・・・そうやって年月が過ぎて行き、さて、これからどこに向かって行くのだろうか・・・みたいな。

 

IMG_20230825_150202ソーセージの盛り合わせが届く。4種類4本のソーセージ。芥子が添えられている。チョリソーと思われるソーセージから。ナイフとフォークを使って、一口大に切り分け、芥子をつけて一口・・・ピリッとした味・・・芥子が効くなー、でも美味しい。ビール、ビール。今月、新宿の2軒のビアホールに行ったが、ソーセージを注文していなかったので、今日はぜひ食べたかったのだ。なんたって、ビアホールっぽいしね。

 

会計を済ませて出ていく客も、螺旋階段を上ってくる客も、仕事リタイア組と思われる年代の人が多い。ポロシャツ、短パン、薄い夏用ジャケット・・・こういう服装の人が多い。会社帰りとかいう感じの人はいない。まあ、時間的にそうなるけど。それにしても、なぜ皆さん、白い短パンなのだろうか?

 

ソーセージは流石にビールに合う。ビールをゆっくり味わうには最適だ。学生時代はこの店でどう過ごしていたかなあ・・・やっぱり、本でも読みながらビールを飲んでいたんだよな。三省堂書店で買った本を持ってこの店に来て、ビールとハヤシライスかなんかを注文して、新しく買った本のページをめくっていたんだよな。・・・じゃあ、今日も少し読書してみるかな。バッグからiPad miniを出して、Kindleのライブラリーから「西瓜糖の日々」を探し出して読み始める。全てが懐かしい。

 

IMG_20230825_151529ビールをおかわり。2杯目は「ハーフ&ハーフ(730円)」にする。店員のお兄さんが届けてくれる。これまた丁寧に頭を下げて去っていく。ありがとう、気分よく過ごさせてもらってます。では、一口・・・冷え方がキツくない分、やはりこちらも味わい深い。コクが程よく感じられる。美味しいなー。

 

前の紳士も後ろのおっさんも、もう席を立っている。自分もそろそろかな。テーブルの上の番号カードを持って、レジに向かう。「ありがとうございました。2680円です。」とお姉さんが丁寧に頭を下げて伝えてくれる。クレジットカードを出して支払う。

 

螺旋階段を降りて、ドアを開ける。強い陽射しが襲いかかってくる。地下鉄の駅に向かって歩き始める。何もかも気持ちよく進むわけではない。でも、最後にはいい時間がやってくるのだなあと思う。

 

東京都千代田区神田神保町1丁目6

03-3233-0866


Posted by hisashi721 at 11:33│Comments(0)