2023年09月10日

マスターの教え・・・都立大学「MERRY'S BAR」

 IMG_20230909_192344土曜日(9日)。午前中は仕事が忙しく、慌ただしく時間が過ぎた。一転して、午後は仕事はあまりないが、時間的には午後6時くらいまでは拘束されるという展開。だが、いいこともあって、思いがけないプレゼントを貰ったり、興味深い話が聞けたりと、待機のみのはずが楽しい時間になった。

 

午後6時、職場を出る。土曜日の夜は時間の流れが緩やかに感じる。さて、どこへ。久しぶりに因縁深い東急東横線「都立大学」駅を目指すことにする。駅前は流石に人通りが多いが、少し駅から離れると静かな住宅街という感じの街だ。おしゃれな酒場が多く、古くからやっていた居酒屋さんは姿を消している。というわけで、駅近くの「大菊総本店」に向かうことにする。

 

この店は蕎麦屋なのだが、つまみのメニューも多く、ゆっくりとお酒を飲むこともできる。しかし、土曜日は通し営業なので、昼飲みしている地元の人も多いし、夕方からは家族客が食事目的で訪れる。入れるかなあ・・・。店の前に着く。自分の前に子供連れの家族がいて、戸を開けて「4人入れますか?」と店員さんに尋ねる。店内を見ると、入り口左の壁沿いに並んだ2人用の小さいテーブルにはずらりと1人客が座っている。これは1人では無理だなと判断する。中に入っていく家族連れとは反対にまた駅に戻る。

 

改札左側の道を自由が丘方面に歩くと、何軒かの店がある。その中の一つに郷土料理店っぽい店があって、雰囲気も良さそうだ。ガラス戸越しに中の様子が見えるのだが、狭い店内に2人客、3人客とテーブルに座っていて、1人客はいない。皆さん楽しそうなのだが、う〜ん・・・もう少しゆったりできるところがいいかなあ・・・。


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東横線の高架下を通って、逆側の通りへ出る。地下が飲食店街になっているビルへ。階段を降りると歌声が聞こえる。カラオケスナックから漏れて来るのだろう。一番奥まで歩いて右に曲がる。するとシンプルな木のドアがあって、「open」という札が掛けてある。その上には「MERRY'S BAR」と店名が書かれたプレートが貼り付けられている。

 

ドアを開けると右に暖簾がかかっていて、それを掻き分けて進むと、奥に広いスペースが広がる。長いカウンターを辿って、さらに中に進むとマスターが立っている。「お久しぶりです。寄り道です(そうは言わないが・・・本名を名乗る)。」マスターはちょっと間があって、「ああ、いらっしゃいませ。」と言う。どうやら覚えてくれていたみたいだ。

 

カウンターは入り口付近からずっと続いているのだが、使っているのは奥の半分。それでもおしゃれな赤い椅子がゆったりと間をとって8席ある。その後ろにはテーブル席やサブカンターもあって、かなりの人数が入れる広さだ。先客はなし。マスターが立っている前、手前から2つ目の椅子に座ることにする。「ここいいですか?」「どうぞ。」鞄を隣の席に置いて座る。おお、懐かしい。

 

IMG_20230909_192252この店は1991年創業。自分は17、8年前に初めて来た。その後、間を開けてだが何度か来てはいる。1人で来たのは数回で、後は職場の誰かと一緒。あまりマスターと話したことはなかった。それが、コロナ禍が始まる直前頃に1人で来て、他に客がいなかったので、マスターとじっくり話すことができた。「これから通わせてもらいます」みたいなことを言って帰ったのだが、コロナ禍もあってなかなか来ることができず、気にしつつも時間が経ってしまったというわけだ。実は、もっと長い時間飲んでいられる日に来たかった。今日は事情があって1時間が限度。だから、他の店で少しだけと思ったのだ。

 

IMG_20230909_182901久闊を叙しながらも、まずは注文を。「ビール(サッポロ黒ラベル小瓶800円)をお願いします。」「ビールですね。」マスターが冷蔵庫から、ビール瓶とよく冷やしたグラスを取り出す。ビールをグラスに注ぎ、「どうぞ。」と自分の前に置いてくれる。では、一口・・・この冷え具合、今の自分が求めていたものだ・・・いや、あなたの求めていたビールはこれでしょと正解を突きつけられたようだ・・・んめー。たまらん!

 

マスターはマラソンランナーなので、とても引き締まった体つきで、顔も精悍な感じ。「やっぱり、毎日走ってるんですか?」「この夏だけは暑すぎたので、身体は動かしてましたが、外を走るのは控えました。」「ああ、そうですよね。最低気温でも28℃くらいの日が続いてましたもんね。」「ええ、これからは走るのも気持ちのいい季節になります。」「そうですね。」

 

「何かつまみますか?」「じゃあ、ナッツを。」「お好きなものは?」「ジャイアントコーン」をお願いします。」・・・ビールの次はウイスキーにするつもりだ。・・・「ウイスキーの最高のつまみはジャイアントコーンですね。」と教えてくれたのは、野方にあったBARPure」のマスターだ。ウイスキーのことをいろいろ教えてもらったよなー。心の中で手を合わせる。

 

白い皿に入ったジャイアントコーン(300円)が届く。では一つ・・・この塩気がいいんだよな。少し硬めの歯応えもいい。「食事はまだですか?」「ええ、さっきまで職場にいましたから。」「お忙しいですか?」「まあ、日によって違いますね。」・・・ここで次の飲み物を「角ハイボール(ダブル900円)をお願いします。」と注文する。この店の角ハイボールは抜群に美味しい。グラスにダブルのウイスキーを注ぐ。そして炭酸の瓶を逆さまにして一気に注ぎ入れる。最後にレモンピール。そう老舗BAR「サンボア」風。

 

IMG_20230909_184518では、角ハイボールを一口・・・ダブルだから当然濃い、でも口当たりは冷たく爽やかで、滑らかに喉を通っていく・・・うわー、美味いなー。これ飲んだら他のウイスキーハイボールは飲めないよな。「テレビを見ますか?今日は野球はデーゲームだったので、バスケットの特集でも。」マスターはスポーツ好き。今年のWBCやバスケットやラグビーのW杯、世界陸上の話で盛り上がる。スポーツBAR的な雰囲気にもなる。この店で箱根駅伝をライブ中継で見たいなと思う。

 

「何かスポーツはなさっているんですか?」「今は特には・・・でも、ランニングには興味があります。」・・・というのも、最近ランニングに関する非常に興味深い本を読んだからだ。ランニングといえばマスターはプロ。「まずは、走れる時間を作ること。30分とか、1時間とか。そして、まずは週2日からでも続けてみる、これが大切です。」・・・1時間で週2日って「寄り道Blog」みたいだ。その時間、ブログをとるかランニングをとるかだな、などと真剣に考える。シューズのことやウエアのこと、さらにはマラソン大会やサークルのことまで詳しく教えてもらう。

 

若い20代の男性客が1人入ってきて、自分の一つ置いた右の席に座る。名前で呼ばれているところからして常連さんのようだ。仕事帰りではなく、リラックスしたTシャツ姿。注文はビール。いいなあ、近くに住んでいて。こういうBARが近所にあると、それだけでも幸せというものだ。角ハイボールをおかわり。濃いので気をつけないと酔いが回ってしまう。ゆっくり、ゆっくりね。

 

自分の住んでいるのが中野区だというところから、「中野には第二力酒蔵といういい居酒屋がありますね。」とマスターが話題を変える。「そうです!自分も大好きで、準常連というところです。」「そうですか。他にいい店ありますか?」「いろいろありますよ。」・・・こういう情報は得意なのだ。そして、その話題は杉並区にまで広がり、もう1人のお客さんも加わって、さらに盛り上がる。楽しー。

 

2杯目を飲み終わって、今日はここまで。BARでは酔っ払ってはいけないのだ。爽やかに席を立ち、笑顔で去ること・・・これも「Pure」のマスターの教え。「ごちそうさまです。楽しかったー。また近いうちに寄りますね。」「ええ、お待ちしてます。」

 

階段を上って外に出る。会話の余韻が自分を自然と笑顔にさせる。駅に向かって歩き始める。やっぱりいつもよりも少しだけ酔いが回ってるかなあ。でも、土曜日の夜はこれくらいじゃなきゃ。人生の楽しみは些細であるほど大きいのかもしれない。

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東京都目黒区中根1丁目6

03-3725-5222


Posted by hisashi721 at 16:03│Comments(0)