2023年10月19日

すっかり暮れた街で・・・鷺ノ宮「あかり」

IMG_20231018_192634午後525分、中野にある東京警察病院正門前のバス停にいる。この病院に今日入院した人のお見舞いに来たのだが、コロナ対策が継続している厳しさで、面会はできなかった。仕方なく、帰ることにして、鷺ノ宮に向かうバスを待っているのだ。1時間に1、2本しかない新青梅街道に向かうバスが、タイミングよくやってくる。今日は10月にしては気温が高く。この時間でも、上着が邪魔なほどだ。

 

20分ほどで「鷺ノ宮駅入口」バス停に到着。バスを降りて、駅方面に向かう。今日はどこかで食事をして帰ろうと思う。向かったのは「みやこや」というとんかつ屋さんだが、水曜日が定休日。久しぶりに「ミックスかつ定食」をと思ったのだが叶わず。細い路地を抜けて、鷺ノ宮図書館の前の通りに出る。19時開店のペルルはまだ灯りが付いていない。その隣の店には、白い暖簾が出ている。入り口が開け放されていて、中の様子が伺える。L字型のカウンターに先客が3人。

 

この店は、開店して10年ちょっと経つだろうか。その前にこの場所には「春よこい」という広島風のお好み焼き屋があった。その時は何度か入ったこともあり、広島市安佐南区沼田出身のマスターと広島の話で盛り上がったものだ。そのマスターがいつも言っていたのは、「近所の店のおばちゃんが焼くお好み焼きの味が最高」という言葉。確かにその通りで、近所の店でいつも食べていた味に勝るものはないと自分も思う。

 

などという思い出が頭をよぎる。今の店は「鉄板焼き」がメインらしい。入ってみようかな。暖簾を掻き分けて、店の中に入る。カウンターの中が厨房。女性の店主さんがこちらを見る。「入れますか?」「どうそ、カウンターに。」というわけで、一番奥の席に座ることにする。

フロア係のお姉さんがメニューを持ってきてくれる。「生ビール(550円)をお願いします。」と注文する。「生ビールですね。お待ちください。」とお姉さんが答えてくれる。その声がものすごく可愛いのに驚く。


IMG_20231018_175639生ビールとお通しが届く。お通しはウインナーソーセージ、冷奴、梨だ。細長いお皿に上品に盛ってある。へー、おしゃれだなあ。とにかく、生ビールを一口・・・・ああ、今日もお疲れ様・・・んめー。そこで、ウインナーソーセージを・・・ケチャップ味、文句なし。昼食を食べてないので、こういう濃い味は沁みる。ビール、ビール・・・美味い!

 



IMG_20231018_175728では、料理を。メニューは多い。メニュー表の他にも、店の黒板に美味しそうな料理名が並んでいる。その中で・・・「すみません。ハムカツ(580円)、チーズオムレツ(700円)をお願いします。」とお姉さんに注文する。お姉さんはそれを厨房の女性店主に伝える。いい声が響く。癒されるなあー。

 



先客は地元の常連さんのようだ。もちろん地元とはいえ知らない人。60代くらいの男性が3人だ。生ビールを前に、注文した料理が届くのを大人しく待っている感じ。お互い会話をしているという感じではなく、それぞれが女性店主と言葉をかわしている。これもまた楽しみなんだろうな。そこに40代くらいの男性客2人組が入ってくる。そして自分の右隣に座る。こちらも馴染みのようで、慣れた風で注文している。BGMは微かにジャズ。

 

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ハムカツが届く。丸いカツが4つに切られている。野菜がたっぷり添えられているのもいい。ではソースをかけて、芥子をちょっとつけて、一口・・・サクサク・・・うわー、美味しいなー、このハムカツ。なんだろう。パン粉の細かさとか、揚げ方とか、油とか、何かが違う。美味しい!これはビールに合うなー。ビール、ビール。いやー、本当に美味しい。たまらんぞな。

 

IMG_20231018_181913続いてチーズオムレツが届く。鉄板で焼いたフワフワのオムレツだ。見るからに美味しそう。どれどれ、一口・・・むわー、本当にフワフワだ!しかも、中のとろけたチーズがまたいい・・・このチーズ、普通のプロセスチーズなんかじゃない・・・そう、名前はわからないがナチュラルチーズに違いない・・・味わいが全然違う。んまいなー。ビール、ビール。ビール無くなっちゃたよ。「すみません。ハイボール(550円)、お願いします。」

 

IMG_20231018_181521ハイボールが届く。一口・・・角瓶のハイボールだな。すっきりした味わいがいい。料理にも合うしね。それにしても、一人で料理を作るのも大変だろうなー。お客さんたちは、お酒をゆっくり味わいながら、料理を待ち、そして、来た料理を楽しむ。そんな感じの時間がゆったり流れている。自分も、このハイボールはじっくり楽しもうと思う。料理を味わいながら・・・。

 

さて、次の料理を注文しようかな。迷うなー。それに、メニューの全貌が掴めないというのもある。右隣のお客さんに出てくる料理は、小さな鍋料理だったり、あれ?これは何だ。でも美味しそう、というものばかり。じゃあ、自分は・・・「すみません。豚しゃぶおろしポン酢(800円)をお願いします。」豚肉を使った料理が何種類かあって、一番さっぱりしてそうなものを注文してみる。

 

気がつけば、店内は満席。人気店なんだな。まあ、この料理を味わえば分かる。一人で来ても、何人かで来ても楽しめる雰囲気。こんな店が地元にあったなんて、迂闊だったなあ。そんなことを思いながら、ハイボールを飲む。前のお好み焼き屋さんだった時も、BGMがジャズで、大きな鉄板を中心にしたおしゃれな店だったけど、その雰囲気を受け継ぎながらも、女性特有の優しさを加えた感じだ。和むなあ。

 

IMG_20231018_183400「豚しゃぶおろしポン酢」が届く。おお、ボリュームたっぷり。いいねー。では、豚肉におろしを乗せて、一口・・・甘辛い味付けがいい・・・肉そのものの味も素晴らしい・・・やっぱり美味しかった!ハイボール、ハイボール。食べ応えがある。これにご飯があれば何杯でも行けるというやつ。素晴らしい。これは止まらない。「すみません。ハイボール、おかわり、お願いします。」ふぃ〜。

 

お腹がいっぱいになってきた・・・が、気になるのは「あかりお好み焼き(950円)」だ。飲みながら、前のお好み屋さんのことを思い出していたせいで、やっぱり、お好み焼きを食べたい。食べ過ぎかもしれないが・・・「すみません。お好み焼き、お願いします!」と元気よく注文する。果たして、どんなお好み焼きなのだろうか。楽しみ、楽しみ。

 

IMG_20231018_190815お好み焼きが皿に盛られて・・・来たー、と思ったが、隣のだった。隣の客も注文していたのか。いつの間に?もう少し待つか・・・ハイボールを殊更ゆっくり味わう。程なくお好み焼きが届く。へー、大きいんだなー。丸くて平らなお好み焼き、マヨネーズが綺麗な模様のようにかけ回されてあって、紅生姜が添えてある。うまそー。早速いただきます。一口大に切り分けられているのも、細かな配慮だなあ。一口・・熱っ!・・でも、いやーこれはなんという柔らかな食感なんだ・・・滑らかな口当たり、上品な味わい・・・だけど、ソースとマヨネーズがお好み焼きのワイルドさを保たせて・・・うめー、こりゃ、大層うめーよー。

 

夢中で食べ勧めて、お腹いっぱい。いやー食べたなー。でも元気が出たよ。じゃあ、今日はここまで。「ごちそうさまでした。」「ありがとうございます。」・・・忙しそうだった女性店主さんが、すごく魅力的な笑顔で「これからも、またお願いします。」と送ってくれる。そういえば、今日はお話しできながったな。「こちらこそ。また来ます。」

 

外に出る。すっかり暮れた街に駅前の灯りが美しく輝いている。また1日が終わる。こうした日々を繰り返すことが、やはり自分には愛しいのだ。

 

東京都中野区鷺宮3丁目17 要ビル

03-6322-7714


Posted by hisashi721 at 17:10│Comments(0)