2024年01月28日

スペシャル!・・・蒲田「信濃路」

IMG_20240127_181444今日(27日)は、午後からちょっとしたイベントがあって、自分はそんなに重要な役割はなかったのだが、それにしては少し疲れを感じた。職場を出たのは午後415分ごろ。冷たい風が吹く目黒通りを歩き、東急東横線「都立大学」駅に向かう。今日は前々から行きたいと思っていた店に行くつもり。100席もある大きな店ながら、大人気店でタイミングが悪いと入れないとのことだ。そこで、午後5時開店の直後を狙ってみることにしたのだ。

 

東急東横線各駅停車「元町・中華街」行き電車に乗り、「多摩川」駅で東急多摩川線に乗り換え。先週の土曜日、ちょうど1週間前にもこのルートで「武蔵新田」にある居酒屋に行っている。だから迷うことはない。東急多摩川線は7つしか駅がない。「蒲田」は終着駅だが、「多摩川」から10数分で着いてしまう。今日も空席に座ることができたが、あっという間に「蒲田」駅に到着する。

 

改札を出て、東口に向かう。通路を歩いてJR「蒲田」駅の改札前の通路まで来ると、人通りが突然多くなる。エスカレーターを降りて、駅前に出ると、大都会が現れる。さすが、ターミナル駅だ。駅前ロータリーは渡らず、左に向かって歩いて少し細い通りに入る。コンビニを目安に右に曲がり、しばらく歩く。この辺だな、と見回すと、立派な看板がある。ここかー。駅から本当に近いんだな。

 

店に近づくと、なんとなく静か。時計を見ると午後459分。開店1分前だからかな。見ると、入り口の前に黒板があり、「本日は予約のお客様で満席になりました。又のお越しをお待ちしております。」と書いてある。なるほど。さすが人気店だ。こういう風に書いてくれていると助かる。そうでない店もあるからなー。満席であることは何も書いてなくて、それどころが「お気軽にお入りください。」とか書いてあり、入ってみると「ご予約はなさってますか。してない・・・今日は予約で満席です。」みたいに断られるのが一番辛い。この店はお客さんに対する配慮が素晴らしいと聞いていたが、こういうところにそれが出ていると思われる。

 

というわけで、駅前ロータリーに戻り、横断歩道を渡ってすぐの道を進む。心惹かれる店が多いのだが、「蒲田」に行ったら、ぜひ寄ってみたいと思っていたもう一つの店である「信濃路」を探す。夏に鶯谷の「信濃路」に行ったのだが、その時蒲田の店の雰囲気も味わってみたいと思ったのだ。店はあっけなく見つかる。赤と白の看板。ああ、ここなんだな。


IMG_20240127_172920戸を開けて店の中に入る。入るとすぐに立ち食い蕎麦のカウンターがある。そこを通り過ぎると、奥に長い12席くらいのカウンターが続く。通路を挟んで壁際に5席ほどのサブカウンターがある。お客さんは8人くらい。カウンターの真ん中あたりが空いている。その辺りに大きなネタケースが取り付けてあるので、カウンンターの中にいる店員さんに注文しづらいからだと思われる。それは鶯谷店で経験したことから分かること。ただし、その時と違うのはネタケースの下のスペースが縦に広くて、ビール瓶を立てたままで通るくらいだということ。鶯谷の時はビールを80度くらい傾けないといけないくらいだったから。

 

サブカウンターで年配の男性店員さんが、何か作業をしていたので、「こんにちは。」と声をかける。気がついたその店員さんが「いらっしゃいませ。すみません。こちらの席になさいますか。」と答えてくれる。「いや、メインのカウンター席にします。」を告げて、ちょうど真ん中ぐらいの席に決める。ネタケースの下の空間を覗き込んで、正面にいた店員さんに「瓶ビール(スパードライ大瓶590円)、お願いします。」と注文して、コートを脱ぎ、鞄と共にカウンター下の棚に押し込む。

 

IMG_20240127_171223ネタケースの下からグラスが差し出される。続いてビールが現れる。「どうぞ。」という声は聞こえるが顔は見えない。では、グラスにビールを注いで、一口・・・はあー、今週も終わりだな、お疲れ様、自分・・・うんめー。最高!カウンター入り口すぐの席が空き、左隣のお客さんがその席に移る。それを見て自分も「席、移動しますね。」と店員さんに声をかけて、左側に席を移す。ネタケースの前から外れて、カウンターの中の店員さんがダイレクトに見える席になる。すぐに店員さんに「串カツ(2450円)、をお願いします。」と注文する。よかったー、なんか圧迫感があったもんなー。

 

目の前で自分の串カツが油で揚げられているのを見ながらビールを飲む。すると、カウンター奥の席で飲んでいたお客さんが「春菊天そばね。」という注文する。この店は元々立ち食い蕎麦の店なので、居酒屋のカウンターからでも締めで注文できるようだ。しばらくして、入り口側の立ち食いカウンターの中の厨房からお姉さんが蕎麦の丼を持って現れ、奥のお客さんに届けている。へー、面白いなあ。立ち食いカウンターのお客さんもひっきりなしに入ってきている。

 

IMG_20240127_172106串カツが届く。揚げたてなのでさぞ美味しかろう、などと思いながら、ソースをかけて。一口・・・熱、熱っ・・・玉ねぎが甘いなあ・・・豚肉もジューシーで良い・・・ソースと油で揚げた衣とよく合っている・・・うめー。ビール、ビール。若いカップルが入ってきて、サブカウンターに座る。お客さんは年齢も性別も様々。気軽に飲める雰囲気に惹かれてくるのだろう。いい感じ。

 

IMG_20240127_172911年配の男性客が入ってきて、少し迷って、自分のすぐ左の席に座る。入り口すぐに移動したお客さんが右の席に鞄を置いていて、その右側が空席、その右が自分だったのだ。そのお客さんは瓶ビールを注文し、すぐにおでんも注文する。自分の目の前におでん鍋があり、気になっていた。それから立て続けに麻婆豆腐を追加注文している。迷いがない。相当の常連さんと思われる。自分もおでんが食べたくなり、目の前の店員さんに「おでん、いいですか。」と問いかける。「どうぞ。」「じゃあ、ウィンナー巻き、ちくわぶ、厚揚げ(各120円)をお願いします。」「はい。3品ですね。」

 

IMG_20240127_172756皿におでん3品をのせて、最後に汁をかけて、届けてくれる。では、ウィンナー巻きから一口・・・外側のさつま揚げの部分と中身のウィンナーの不思議なマッチング・・・何より熱いのがいい・・・んまい!ビール、ビール。ふぃ〜。20代と思われる若い男性客が入ってくる。空いている真ん中辺の席に座る。なんだかオドオドしているよう見える。しばらくして、「すみません。」と自分に声をかけてくる。「なんですか?」「どうやって注文すればいいんですか?」・・・おお、この質問!自分が鶯谷店で隣のお客さんに発したのと同じではないか。そうそう、分かる、分かる。最初は戸惑うよねー。「普通に店員さんに言えばいいですよ。そこからなら、ネタケースの下から声をかければ、通りやすいかな。」と答える。「ああ、ありがとうございます。」そして、自分の言った通りの段取りで注文する。「すみません。きつね蕎麦。」

 

IMG_20240127_171439・・・なるほど。普通の立ち食い蕎麦屋だと思って入ってきたんだな。立ち食いカウンターと椅子のあるカウンターが併設されている店は多いから、椅子に座って食べるか、ってことで中まで入ってきたというわけか。それはあながち間違っていないらしくて、それは店員さんが普通に注文を受けたところから分かる。とはいえ、ようやく周りが見えてきたらしく、あれ、おかしいなという表情が浮かぶ。皆んな、酒飲んでる・・・みたいな。「きつねそば」が届く。そして、食べ始める。美味しそうだなあと思う。食べ終わって、「すみません。会計はどうすればいいんですか?」とまた自分に問う。ああ、普通は品物と交換か発券機だからなあ。「蕎麦だから、多分、向こうの立ち食いカウンターの中の店員さんに払えばいいんじゃないかな。」「ありがとうございます。」

 

IMG_20240127_173803ビールの後は・・・「すみません。角ハイボール(390円)お願いします。」と注文する。各ハイボールは角瓶を模したジョッキで届く。一口・・・爽やか・・・安定の味・・・美味しい。左隣の年配の常連さんが、目の前の店員さんに「今日、トロ、ある?」と問う。「え?トロですか・・・ちょっと待ってください・・・んー、今日はブリです。」「ブリ?」「ええ、お出ししますか?」「じゃあ、いい。」・・・トロって?そこに店長さんらしき、年配の男性が出てきて、「あれっ?久しぶりじゃないですか?2年ぶりくらいじゃない。」「そうだね。」「もっと来てくださいよ。最近じゃあ、競馬の話する人がいなくて寂しいよ。今も競馬やってる?」「ああ、この前も川崎競馬に行ったよ。・・・ところで、トロある?」「あるよ。切ろうか?」「うん。」・・・あるんかい。壁のメニューには刺身そのものはなくて、定食の部に刺身定食というのがある。それが今日はブリだったんだろうと、前の店員さんの言葉を理解する。

 

右隣の常連さんにマグロのトロが届く。素晴らしい。分厚く切られたトロはいかにも美味しそうだ。「美味しそうですね。」と思わず声をかける。「スペシャルだろ。」「ええ。」・・・角ハイボールはすぐになくなってしまう。常連さんは樽酒に移っている。升を持ち上げてキュッと飲み込み、うっという感じで斜め横を向く姿が堂に入っている。自分も日本酒にしようかな。樽酒もいいが、熱燗で。「すみません。日本酒(390円)を燗で、お願いします。」と注文する。

 

IMG_20240127_175938燗酒が届く。皿の上にグラスが乗っているスタイル。コップ酒って雰囲気が盛り上がるんだよなー。一口・・・少し熱め・・・それがいい・・・飲みやすい酒だなあ・・・うまー。ここでもう一品。「すみません。ハムオムレツ(400円)をお願いします。」こういう時、いつもハムエッグを注文してしまいがちなので、それを避けたつもりだったが、考えてみればハムと玉子の組み合わせ。どんだけ好きなんだ、自分。

 

IMG_20240127_175627ハムオムレツが届く。一口・・・玉子がとろーりとしてるよ・・・ハムの塩っぱさとケチャップがいいアクセント・・・美味しいなあー。燗酒、燗酒・・・意外と合う。立ち食いコーナーの厨房から「わっ!」という声が聞こえる。どうやら店員のお姉さんが、何かに驚いて思わす発したものらしい。その後、しきりにお客さんに謝っている。その謝る姿が、とても素直な感じで初々しくていい感じだ。何があったのだろう?

 

右隣の常連さんが席を立つ。「どうも。」と自分に挨拶してくれる。店長さんが来て「また、来てよ。本当に。」と心から言っている。先ほどのお姉さんが片付けに来る。「何かに驚いたの?」ときいてみる。「すみません。大きな声を出してしまって。」と謝られてしまう。「いえいえ。そんな。気にしないで。」と慌てて付け加える。

 

さて、今日はここまで。「ごちそうさまでした。会計お願いします。」「ありがとうございます。2580円です。」会計を済ませて席を立つ。厨房から「ありがとうございました。またどうぞ。」と大きな声がかかる。店を出る時、さっきのお姉さんと目が合う。「お姉さん、ごちそうさま。」と声をかけると、「ありがとうございます。すみませんでした。」と答えてくれる。「頑張ってね。」と言って戸を開ける。

 

外に出る。夕闇が街を覆っている。冷たい風の中、駅に向かって歩きはじめる。穏やかな1日の終わりだ。


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東京都大田区蒲田5丁目16

03-3738-5343

 


Posted by hisashi721 at 15:18│Comments(0)