2024年02月04日

節分の夜・・・都立家政「みいらく」

IMG_20240203_200122午後640分、職場を出る。今夜(3日)は厳しい寒さになるという予報だったので、覚悟をして外に出たのだが、意外に風もなく、それほど寒くない。それでも、バス停で15分も待たされると、身体が冷えてくる。やっとバスが来て、乗り込むと、暖房がよく効いている。バスの運転手が遅れたことをしきりにマイクで謝っている。空席に座ると、眠気が襲ってくる。

 

IMG_20240203_195700目黒から山手線外回りで高田馬場へ。高田馬場から西武新宿線各駅停車「新所沢」行きに乗り換える。電車は、下落合、中井、新井薬師前、沼袋、野方と通過して、「都立家政」駅に到着する。時計を見ると、午後8時少し前。改札を出て、南口の商店街に入る。飲食店の灯りがポツリポツリと見える。人通りは少なく、ひっそりとした感じ。でも、それぞれのお店にはお客さんがたくさん入っているようだ。時折、自転車が傍を通る。3分ぐらい歩いたところに、赤提灯と白い電光看板が見える。看板には「居酒屋みいらく」と書かれている。

 

この店のことを意識したのは、鷺ノ宮のBARペルル」でよく会っていたTさんに、「よく行く店」として紹介してもらってからだ。とはいえ、今の店舗に移る前までは、建物の2階にあって、なかなか雰囲気も分からず、いつかは行ってみようと思いながら時間が経ってしまった。そのうち「ペルル」から足が遠ざかり、Tさんにお会いすることもなくなり、15年以上経ってしまった。それが、最近、といっても3ヶ月前くらいになるのだが、鷺ノ宮の「満月」という居酒屋に寄った時、「あれっ、Tさんですか?」という感じで再会し(Tさんは自分のことをすっかり忘れていた・・・)、話しているうちに「そういえば、みいらくという店を紹介してくれましたよね。」と思い出したのだ。

 

で、話があっちこっちに飛んで恐縮なのだが、1月21日(日)に「全国都道府県対抗男子駅伝」という大会が広島であった。広島の街並みを見ることができるということもあって、自分はNHKの中継をテレビ観戦していた。その1区を区間新で駆け抜けた高校生ランナーの活躍に感動して、少しネットで調べてみた。長崎県代表のその選手は、陸上部が5人しかいない五島南高校の3年生・・・へー、五島列島の選手なのか・・・祖父の指導で練習し、全国レベルの選手になった・・・すごいなあ・・・そして、出身中学は「三井楽中学」・・・三井楽?みいらく・・・あっ、あの店の名前は地名からとったものだったのかも!

 

IMG_20240203_211046というわけで、そのことを確かめたくて、今日ここまで来たというわけだ。いつの間にか店舗が移り、1階で入りやすい雰囲気。そして、ドアのガラス越しに店内も見ることもできる。店は、奥に長い作りになっていて、手前がテーブル席その奥にカウンターと厨房。さらにテーブル席もある。手前のテーブル席に4人のグループ。カウンター席に3人くらい。さらに奥のテーブルにもお客さんがいる。よし。入ろう。


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ドアを開けて、店の中に入る。テーブル席の横を歩いて、カウンターに向かう。カウンターの中の厨房には、奥に白髪でスマートなマスター、手前にママさん。ママさんがこちらを見る。「1人です」と言いかけたが、その前に、「空いてる席にどうぞ。どちらでも。」とママさんがものすごく自然な感じで迎えてくれる。カウンターは6席。奥に2人組。一番手前に男性の1人客。3つ空いている席の真ん中に座る。「いらっしゃいませ。」と改めてママさんが言い、おしぼりを渡してくれる。「生ビール(500円)をお願いします。」と注文する。

 

IMG_20240203_200427店は新しい感じで、とても綺麗だ。テーブルは白くて、なんだかレストランのよう。入ってみて思い出したのだが、ここは以前喫茶店だった。その店には何度か来たことがある。レトロな喫茶店で、元気なママさんがいた。へー、ここに「みいらく」が移ってきたというわけなんだなー。ママさんが「生ビール」を届けてくれる。では、早速、一口・・・ああ、今週も終わりだな・・・特に週の後半は職場を出るのが午後930分だったりして大変だった・・・その疲れを癒すには、このよく冷えたビールが最高なんだよな・・・うんめー!

 

IMG_20240203_204734マスターは料理で忙しそうだ。お客さんたちは全て自分のボトルで飲んでいる。つまり全員常連さん。皆さん飲み始めてから随分時間が経っているらしく、話し声も大きくなっている。BGMは懐かしのJPOPというか歌謡曲というのか。今は山口百恵の「さよならの向こう側」だ。さらにテレビも奥の壁に掛かっていて「出川哲朗」がバイクに乗っている番組を流している。なんとなくじっくりと話す雰囲気でもないので、とりあえず、料理を注文することにしてメニューを取り上げる。

 

焼き鳥や煮込み、刺身という居酒屋っぽいメニューだけではなく、グラタンやパスタ、ピザなどの洋風料理も充実している。すごいなあ。ここのメニュー。テレビの横の黒板にも今日のおすすめが書いてある。うーん、色々あって迷うなあ。刺身は、カンパチもあるぞ・・・ん?「太刀魚の炙り刺身(700円)」。いいなあ。これにしよう。という感じで決める。下を向いて何か作業しているママさんに声をかけて注文する。

 

IMG_20240203_202805カウンター奥の2人組はサラリーマンらしく、職場の話をしている。仕事帰りではなく、休日のリラックスした服装。料理の皿が並んでいて、「今日は、まだまだ飲むぞー。」と上機嫌でもある。自分の右側の1人客は、焼酎の緑茶割りを飲みながら、タバコを燻らせている。「おでん」のメニューが目の前にあって、心惹かれる。「すみません、おでん(1品150円)いいですか?」「どうぞ、お好きなものをおっしゃってください。」「じゃあ・・・牛すじ、はんぺん、いわし団子、それと・・・ちくわぶ・・・んー、厚揚げも。お願いします。」「はい。」

 

IMG_20240203_201513おでんは大きな鍋で煮えているというのではなく、それぞれの具とスープを普通の鍋で温めて出すというスタイルのようだ。なので少々時間がかかる。まず、「太刀魚の炙り刺身」が届く。美味しそうだなあ・・・では、醤油と山葵を少しつけて、一口・・・上品な脂・・・太刀魚の淡白な味わいに炙った香ばしさが加わって・・・いやー、これは最高じゃないですか!うめー。ビール、ビール。

 

マスターはホワイトソースを使ってパスタを作っている。ものすごく美味しそうなパスタ料理が出来上がる。そして、カウンターの後ろのテーブル席に届けられる。50代くらいのご夫婦が「うわー、美味しそう」と声をあげる。・・・さて、自分は次の飲み物を・・・サワー類が充実してるなあ・・・ああ、カクテルもすごい種類あるじゃん。ワインのボトルもあるのか・・・日本酒は、「八海山」と・・・おお「賀茂泉」があるじゃないですか!決めた。「すみません。賀茂泉(純米500円)をお願いします。」と注文する。

 

IMG_20240203_202108ママさんがカウンターの後ろを通り、奥の大きな冷蔵庫から一升瓶を取り出し、グラスに注いで届けてくれる。「どうぞ。」「どうも。」「賀茂泉を注文する人って珍しいわね。」「自分は広島出身なんですよ。だから。」「そうなんだ。なるほどね。」という会話があって、店に溶け込む。ここですかさず、「みいらくって、五島列島の三井楽から来てるんですか?」と問う。「そう、マスターがね。そこの出身なの。」「この前の広島の駅伝で走ってた長崎の高校生、三井楽中学の出身ということで、そうかなと思ったんですよ。」「そうなんですか。」・・・問題解決。では、賀茂泉を一口・・・芳醇な香りと味わい・・・そして、爽やかな後味・・・いいねー。美味い!

 

IMG_20240203_201627おでんが届く。想定より3回りも大きな皿が届く。おでんの具は一つ一つが大きい。では、はんぺんから、一口・・・味が沁み沁み・・・この店のおでんの汁は、醤油味の中にほんのりとした甘みを感じる。これは美味しいぞ。冷酒、冷酒。ほー、よく合うなあ。ここで、牛すじを一口・・・おでんの牛すじってなんて美味しいんだろ。ほんと、芥子をつけたら、もう至福の味だ・・・これも賀茂泉によく合うなあー。

 

IMG_20240203_202339マスターは、ピザ作り。こんなに載せるんだと思うくらいのサラミソーセージ。丁寧にじっくりと作り上げていく。何種類かのピザを作ってあとはオーブンで焼き上げるだけ。その工程を見ているだけでも楽しい。料理が好きなんだなと思う。手が空いたところで、ママさんがマスターに話しかける。「こちらのお客さんが、三井楽中学のことをお話しでしたよ。」マスターが人懐っこい笑顔で、「私は三井楽中学の出身ですよ。」「駅伝で知ったんですよ。」「ああ、川原選手ね。区間新記録はすごかったね。隣町の子だね。」「そうなんですね。」「五島にぜひ行ってみてください。教会しかないけどね。」「それときれいな海ですね。」「そう。でも墓参りに帰るたびに過疎化してるのを感じるよ。」・・・話が弾む。賀茂泉おかわり。

 

ピザが焼き上がる。焼きおにぎりも。皆さんそろそろ締めかな。一人客のお客さんは、さっきまでの無言から打って変わって、大きな声でママさんや常連のご夫婦と話している。カラオケに行きましょう。え?行かない。じゃあ、こんど釣りに行きましょう。これも行かないの。ははは。みたいに。

 

それでは、今日はここまで。「ごちそうさま。五島の話を聞けて嬉しかったです。」「福岡からも長崎からも飛行機が出てるから、本当にぜひ。」

 

「ありがとうございました。」マスターとママさんの声に送られて、外に出る。鷺ノ宮の自宅までは歩いて25分くらい。電車に乗るまでもない。歩こう。時刻は午後930分。静かな節分の夜だ。


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Posted by hisashi721 at 16:13│Comments(0)