2024年02月18日

春はもうすぐ・・・銀座「三州屋」

IMG_20240217_151152今日(17日)は有給休暇を取る予定だったが、気にかかる事があり、いつも通りに出勤。ただし、その仕事は午前中に終わってしまい、午後は時間を持て余し気味になる。そこで、午後2時ごろ職場を出ることにする。いつものようにバスで目黒駅に向かっている時は、新宿の馴染みの店に行こうと思っていたのだが・・・。

 

目黒駅に着いて、山手線のホームに降り、渋谷新宿方面行きの外回り電車がちょうど入線して来たところだったのにも関わらず、乗らずにやり過ごしてしまう。それは、電車が混み合っていたということもあるが、せっかくの土曜の午後なのだから、ちょっとのんびりしたいという気持ちが強かった。じゃあ、馴染みの店に行けばいいじゃないか、というわけなのだが、最近のその店の変化が自分にはちょっと重かったのだ。

 

どういうことかというと、コロナ禍の営業自粛期間が開けて、常連さんたちと再開し、ああいつもの時間が戻ってきたと思ったのも束の間、客層が徐々に変わっていった。最初は気づかない程度だったが、新しく入って来たお客さんが、自分の知り合いを次々に連れてきて、店に行けば常にその人たちがいるという状況になった。それはそれでいいのだが、かつての常連さんたちが来なくなってしまった。客が変われば雰囲気も変わる。それは仕方のないことなのだが・・・。

 

IMG_20240217_150625というわけで、今日は反対側のホームから品川東京方面行きの内回り電車に乗ることにする。品川駅でお客さんがどっと降りて、ゆったりと座れる。ぼんやりと外の風景を眺めていると、有楽町駅に到着。京橋口改札を出れば、目の前は交通会館。地下には最近2回ほど行った「平戸こんね」がある。交通会館を左に回り込むように進み、銀座インズの前を通り過ぎて「銀座柳通り」に入る。いい雰囲気の道をしばらく歩いて右に曲がると「並木通り」だ。少し進むと銀座らしからぬ看板が見えてくる。細い通路の奥が「三州屋」だ。


IMG_20240217_160222暖簾をかき分けて引き戸を開ける。7割程度のお客さんの入りだなと瞬時に判断する。奥のお姉さんがこちらを見る。「1人です。」と告げる。「食事ですか?飲みますか?」という確認の質問に対して「飲みます。」と答える。「では、カウンターにどうぞ。」・・・カウンターは入り口右すぐのL字型。席は多くなくて、Lの縦棒に5、6席、横棒に2席。縦棒には一番奥に男性の1人客、一つ置いて女性の2人客。縦棒に入るか、横棒にするか・・・横棒はカウンターの下に奥行きがないから、ちょっとだけ座り心地が良くない。が、結局、のんびりできる横棒にする。2席の左の椅子にコートと鞄を置き、一番端っこの席に座る。

 

IMG_20240217_151657いお姉さんがおしぼりを持って近づいてくる。「いらっしゃいませ。」「エビスビール(大瓶950円)お願いします。」とまず注文する。「はい。」とお姉さんはいったん店の奥に去り、ビールとグラス、お通しを持って帰ってくる。このタイミングで料理も注文してしまう。「とり豆腐(680円)といわしフライ(980円)をお願いします。」お姉さんはサッとメモすると奥の厨房に「とり豆腐、いわしフライでーす。」と注文を通す。

 

IMG_20240217_151442さて、早速エビスビールを・・・一口・・・くぅ〜、いいねー、味が上品。うんまい!銀座の昼酒最高!この店のビールはサッポロ系でエビスの他は黒ラベルとラガー(赤星)。自分は、新宿の馴染みの店ではラガー、新井薬師四文屋では黒ラベルを注文している。ちなみに中野「第二力酒蔵」ではキリンラガー。色々、飲みたいからね。お通しは「ひじきの煮物」・・・一口・・・甘さは控えめ・・・大豆とこんにゃくのアクセントがいい。ビール、ビール。

 

時間が時間だけに、食事の人も多い。真ん中のテーブル席の30歳くらいの男性は、ご飯の大盛りをワシワシ食べていて、見ているだけで気持ちがいい。焼き魚と刺身が美味しそうだ。年配の女性も何人かいらっしゃって、上品に召し上がっている。飲んでいる人たちは、カップルであったり、5人のグループであったり、様々。大きな声を上げる人も、笑い転げる人も勿論いなくて、至って平和な雰囲気。

 

IMG_20240217_151946「とり豆腐です。」とお姉さんが届けてくれる。醤油ベースの出汁で鶏肉と絹ごし豆腐、小松菜を煮たもの。ポン酢の小皿も添えてあって、鶏鍋のようだ。では、鶏肉から一口・・・味がしっかりしている。じわっとした歯応えで、鶏肉の旨みが口の中に広がる。美味しいなー。豆腐も一口・・・これはポン酢をつけて・・・滑らかー、美味しいなあ。冬に食べる暖かい豆腐料理は格別だな。ビール、ビール。

 

カウンターの女性2人客はとても楽しそうに話している。久しぶりに会った親友同士という感じだ。生ビールを時折飲みながら話に夢中。「それでね。私が心配したから運転免許を返納することになったんだけど、意地を張ってね。俺はしっかり現役だということを示したいって言って、免許をちゃんと更新してから、返納したのよ。男って面白いわね。」なるほど、わかる気がする。

 

IMG_20240217_152403いわしフライが届く。たっぷりのキャベツとレタスのサラダが添えられている。では、レモンを絞って、ソースをかけて、一口・・・サクサク。いい塩梅の脂感・・・いわしの旨みと衣の油が最高にマッチしている。うめー。ビール、ビール。こちらも最高に合う!美味しいなあ。刺身も塩焼きもいいのだが、フライもめちゃうま。

 


IMG_20240217_153953白鶴、熱燗で2合(980円)、お願いします。」と注文する。ここ何日か暖かい日が続いている。2月も半ばを過ぎて、いよいよ春が近づいてくる。熱燗が美味しい時期には、やっぱり飲んでおきたい。2合徳利と杯が届く。では、一口・・・やや熱め・・・香りがいい・・・味は辛口。ふくよかな香りが心を暖かくしてくれるようだ。美味しいなあ。ホッとするよ。

 

年配の男性客が入ってくる。長身痩躯の2枚目で、もしかしたら俳優さん?と思ったくらいだ。「やっ」という感じで、店のお姉さんに手を挙げて、カウンター席に座る。「刺身定食」と一言告げて、出されたお茶をゆっくり飲む。服装はナイキのグレーのスエットなのだが、様になっているというか、おしゃれな感じすらする。「刺身定食、味噌抜きです。」とお姉さんが届ける。味噌抜きとは味噌汁の具抜きらしい。優雅に食べて、サッと出ていってしまった。粋!

 

ゆっくり燗酒を飲んでいると、時間が止まったようだ。様々なことが頭の中に浮かんでは消える。それを追ってみたり、振り払ってみたり。思いもよらないことを思い出して、ああ、それはこういう意味だったのかと妙に納得したりする。こういう時間が好きなんだなと思う。

 

サラリーマン2人組が入ってきて、「軽く飲みたいんだけど。」と店の人に声をかけている。ふと見ると店はなんと満席になっている。お店のお姉さんがちょっと迷いながら、「カウンターの角になりますが、よろしいですか。」と答えている。そろそろ席を立つかな。

 

「ごちそうさま。」と声をかけると、お姉さんが会計をしてくれる。席を立つ。「ありがとうございました。」と元気な声で送ってくれる。

 

外に出る。銀座並木通り。別世界のようだ。ちょっと散歩して帰ろうかな。夕方になると流石に風は冷たい。でも、何か春を感じさせる優しさがあった。


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東京都中央区銀座2-3-4

03-3564-2758

 


Posted by hisashi721 at 15:26│Comments(0)