2024年04月07日

中央線3駅・・・三鷹「満月」

IMG_20240406_1554404月3日(水)の事なのだが、前日小岩「けやき」で初鰹を食べたら、やっぱり中野の「第二力酒蔵」に行きたくなり、仕事帰りに寄ってみた。お客さんは予想通り多くて、どうかなと思ったが、いつものカウンター席が奇跡的に空いていて、座ることができた。お店のお姉さんが自分の焼酎ボトルを出してくれたので、オンザロックで飲むことを伝える。




IMG_20240403_153204「初鰹が入りましたよ。」とお姉さん。待ってました。そのために来たので嬉しい。お勧めのメニューを見ると「富山 ホタルイカわさ」とある。春を満喫しつつ、焼酎をロックで少し飲んで帰ろうと思う。その前にまずはビール(キリンラガー大瓶800円)を注文し、お通し(無料)の、梅肉とわさび漬けを乗せた豆腐をつつきつつ、待つことにする。




IMG_20240403_153508初鰹とホタルイカわさ(2350円)が届く。鰹の厚い切り身が食欲をそそる。そして、ホタルイカはツヤツヤ。醤油を入れた小皿が二つ用意される。鰹は生姜で、ホタルイカは山葵で。では、早速、初鰹刺しを一口・・・切り身が大きいので、口一杯に鰹の香りが広がる。春の味・・・んめー、満足だ。ホタルイカは山葵醬油をつけて・・・一口・・・ぷりっぷり・・・甘い・・・噛むとわたが中から出てきて、それが甘い身と一緒になってえも言われぬ旨みの爆発。美味しすぎる。ビールをグッと飲み干す。ふぃ〜。


IMG_20240205_142928ビールを飲み干したタイミングで、氷とロックグラスが用意される。芋焼酎(幻の露)を氷をたっぷり入れたラスに注いで、一口・・・いやー、この甘みがたまらないね。という感じで、飲んでいると、お姉さんが「いらっしゃったら、言おうと思っていたんですけど、また、美味しそうな店を見つけたんですよ。」とスマホの画面を見せる。ん?ラーメン屋さんか。このお姉さんはグルメで、ラーメンにも目がないのであるが、何せ休みが日曜日だけということでなかなか自分で行くことができない従って、仙川の「しば田」に行った時もそうだったが、「食レポ、お待ちしております。」と笑顔。今度の店は三鷹。近いといえば近いとも言えるが、なかなか足を伸ばす気になれない街でもある。「行けたらね。」とそっけなく答えつつ、行ってみようじゃないか、と心では決めてしまう。


ということで、今日(6日)、来週から激務が始まる嵐の前の静けさで、最後ののんびりした1日であることをいいことに、職場を早めに出て、三鷹までやってきた。午後420分。朝は小雨混じりで寒かったが、午後からは気温が上がり、今は15度くらいになっている。来る途中の目黒川沿いの桜並木には花見客が溢れ、早くも盛りを過ぎようとする桜の季節を惜しむようにスマホで写真を撮っていた。

IMG_20240406_160645三鷹駅南口。おお、こうなっているのか。10年ぶりくらいの駅前はすっきりとした都会感が漂っている。エスカレーターで地上に降りて、三鷹中央通りへ。真っ直ぐに、どこまでも続いているように見える大通り。南に向かって歩いていくと、おしゃれなカフェや、趣のあるフルーツ店などが点在する。三鷹って、こんなにおしゃれだっけ?以前は深大寺にお蕎麦を食べに行く時に、バスに乗るために三鷹には来ていた。最近は深大寺にも行ってないなー。今頃、植物園では桜が綺麗だろうな。



IMG_20240406_160236_BURST1意外に遠い。スマホの表示を見ると、駅から12分とあった。ひたすら、真っ直ぐ、真っ直ぐ歩く。それらしい店が見えてこないなー。えーと、そろそろのはずなんだけどな。あれっ?ここかな。思ったより地味な感じ。お昼時は行列ができる人気店ということだが、流石にこの中途半端な時間には行列はない。看板には「ワンタンメンの満月」。山形県酒田市に本店がある、山形ラーメンの店だ。着いたー。

戸を開けて、店の中に入る。右手に券売機がある。お店の女性店員さんが「いらっしゃいませ。」と言って、自分が券を買うのを待っている。さてと・・・醤油、スタミナ、塩と3種類の味。スタミナにも惹かれるけど、初めてなので、まずは醤油で。この店のウリはワンタンということなので、味玉入り醤油ワンタンメン(1100円)を選ぶ。券を購入すると、女性店員さんが、「空いている席にどうぞ。どちらでもいいですよ。」と言ってくれる。カウンターが7席。2人が並んで座れるテーブルが2つ。4人テーブルが2つ。先客はカウンターに1人。4人テーブルに2人。入り口側のカウンターに座る。店員さんが、さっと水を出してくれる。

生ビールや日本酒(初孫魔斬)がある。各500円。そそられるなー。おつまみのワンタンや餃子もある。グッと我慢して、待つ。カウンターのもう1人のお客さんにワンタンメンが届く。丼を前に、髪の毛をググッとまとめて縛っている。気合いが違う。テーブルのカップルが席を立つ。女性の方が「美味しかったです。」と心を込めて店の人に告げている。期待が高まる。

IMG_20240406_154257厨房から男性店員さんが出てきて、自分の丼を届けてくれる。ほー、チャーシューにメンマ、ネギにワンタン(雲呑)がそれこそ雲のように浮かんでいる。では、蓮華でスープを掬って、一口・・・まろやか・・・醤油の旨みだけ残して、尖ったところを消している・・・それは、そう煮干しの出汁がしっかり効いているからだ・・・いくらでも飲める味だ。うんめー。

では、麺をひと啜り・・・太くはない麺だが、もちもち感があり、香りもいい。スープとよく調和している印象。美味いなー。さて、さて、ワンタンに行ってみようかな・・・一口・・・わー、薄くて、広くて長い・・・口に入れると・・・とろけるー・・・初めての食感だ・・・で、具がまたしっかりといい味・・・美味いぞー。流石、「ご当地ラーメン総選挙」初代日本一だ。最高!

夢中になって、食べ終える。席を立つ。「ごちそうさま。すごく美味しかったです。」という言葉が自然に出てくる。「ありがとうございます。」と3人の店員さんが同時に答えてくれる。

外に出る。さて、どうしようかな。第二力酒蔵に行って報告するのはまた今度にして、山形出身のマスターがいる阿佐ヶ谷の「バルト」に行って、この感動を分かち合いたい。そんなことを考えながら三鷹駅に戻り、改札を抜ける。今日は土曜日なので、快速電車は阿佐ヶ谷には止まらない。各駅停車のホームに降りて上り電車を待つ。

阿佐ヶ谷駅到着。バルトの開店時間は午後6時。まだ少し時間がある。そこで、商店街に入って買い物を済ませ、駅前ロータリーの側の「八重洲ブックセンター」に入る。かつては大型書店がいくつもあった阿佐ヶ谷だが、最後に残った「書楽」が閉店することになり、文化の街阿佐ヶ谷から書店が消えると話題になった。それを「八重洲ブックセンター」が後を引き継ぎ、「書楽」の後に入ってくれたということで、多くの人が胸を撫で下ろしたという経緯がある。

阿佐ヶ谷は、昭和初期から多くの文学者が集い、文士村を形成した。その1人である青柳瑞穂のお孫さんである青柳いづみこさんの『阿佐ヶ谷アタリデオオザケノンダ』という本を購入。文士村と現在の阿佐ヶ谷の雰囲気が伝わってくるという。見つけて購入。本の題名は、盛唐の詩人高適の「田家春望」の井伏鱒二の大胆な訳から取られている。面白いに決まってる。

「バルト」へ。ドアが開け放してある。「こんばんは。」と声をかけて、店内に入る。「いらっしゃい。」とマスター。開店直後のはずだが、フライングのお客さんがカウンターの端っこに1人。自分はそのお客さんから2席あけて座る。「今日は、お仕事ですか?」とマスター。「ええ、ただ早くに出て、三鷹に行ってきました。山形ラーメンの美味しい店があると聞いたもので。」「ほー。なんという店ですか。」「満月です。酒田に本店があるそうですよ。」「なるほど。行ってみたいですね。偶然ですが、今日は三鷹からバスに乗って、深大寺に行ってきました。通って来ていた猫の命日だったものですから。お蕎麦も食べて来ました。」というわけで話が弾み始める。

「こういう本を読んでいるんですよ。バルトのことも書いてあります。」と言いながらマスターが出したのは、『阿佐ヶ谷アタリデオオザケノンダ』。偶然が重なる。「作者の方がこの店を借り切ってくれたこともあります。」「へー、バルトの大テーブルはヨットの帆の形だったんですね。この本で初めて知りました。」「ははは、そうなんですよ。」

IMG_20240406_181449いつものように、ベルギービールのヒューガルデン白(800円)から始める。お通し(300円)は、大好きな「里芋の明太子ソースかけ」を出してもらう。「先日、小岩に行ったんですけど、平井も通りましたよ。」「そうですか。」「やっぱり、川が多いですね。」「本当に、江東区から江戸川区にかけては川が多いですよね。」などと話していると、男性の一人客が入ってくる。そのお客さんは大阪の出身で、東京と大阪の川の多さについて、話が盛り上がる。



IMG_20240406_180935マスターが大きな蒸し鶏を料理している。それをアレンジしたものが最初の1人客に出される。「美味しいね。」と感嘆の声が漏れる。自分はハイボール(700円)に移っている。大阪のお客さんは豚肉の味噌漬けを焼いてもらっている。いい匂いが店に漂う。ワンタンメンを食べているので軽くと思っていたが、たまらず「牡蠣の燻製」(950円)を注文してしまう。




IMG_20240406_185106牡蠣の燻製が届く。一口・・・この店の牡蠣の燻製は固くなくて、ふっくらとしている。うめー。濃い味がハイボールに合うので、すぐにおかわりしてしまう。こんなつもりはなかったのだが、楽しくなってしまったので仕方がない。そこに、着物を粋に着こなした女性が入ってくる。「あら、この時間なのにお客さんが多いわね。」と言いつつ、自分の左隣に座る。「こんにちは。」と声をかけられると、すぐに帰るわけにはいかない。最初のお客さんが、今日、「タラの芽をとって来たんだよ。」とマスターに渡す。「へー、立派ですね。ちょっと待っててください。天ぷらを揚げますから、皆さん食べて行ってください。」・・・わー、嬉しー。でも、帰れないよー。

「トコロガ会ヒタイヒトモナク アサガヤアタリデオオザケノンダ」が井伏鱒二の訳詩なのだが、会いたい人がいると、さらに大酒になってしまうようだ。

IMG_20240406_182905

東京都三鷹市下連雀4丁目1615 東洋三鷹コーポ 104

0422-24-8557


Posted by hisashi721 at 13:40│Comments(0)